森於菟の四男森樊須(もり・はんす)については こちら
著書をアマゾンでゲット☆ けっこう高かったんですが・・・・(泣
(高い本はそれなりに理由があったりすることもあるんですけれどもね)
「ダニによるダニ退治 ――カナダからアメリカへ――」
文芸社 2001年
題名についつい深読みをしたくなってしまうのだけれど、いろいろな示唆に富む本だと感じられました。
目次
まえがき
第一章 ダニ研究の留学――カナダからアメリカへ
(1)カナダ日記 (2)カリフォルニア日記 (補)カリフォルニア大学から
第二章 天敵利用によるハダニ類の生物的防除
(1)ハダニ類の天敵 (2)植物ダニ類の食物連鎖 (3)カブリダニ類の生態
(4)チリカブリダニの天敵としての有効性 (5)土着天敵と輸入天敵及び交替餌
(6)カブリダニ類の利用の課題 (7)天敵農薬への道
第三章 生物的防除余話
(1)中国の旅から――上海、重慶、北京の講演紀行
(2)キャッサバ・プロジェクト (3)応用動物学遍歴四十年
(4)随筆「魚眼図」から
あとがき
主な参考論文
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第三章 (4)は北海道新聞に執筆した随筆「魚眼図」より五十余篇が採られたものとのこと。
この中から
植物は話をするのか(1990年4月18日)
害虫に襲われた植物が、助っ人として天敵を呼び寄せる――これだけでも話はうますぎるのに、傍らの植物が食害されると、付近にある同種の植物がまだ被害を受けていないうちに、ボディガードとして天敵を呼び寄せるという。そう聞くと、ほとんど信じがたくなってくる。これは先日、京都で開かれた日本応用動物昆虫学会での興味深い講演である。発表者は京大農学部の新進・高林純示(じゅんじ)博士。内容はオランダのワーゲニンゲン農科大学で二年間、マーセル・デイッケ博士と行った共同研究であった。
ナミハダニに食害されたリママメ(インゲンの類)やトマトなどの被害葉では、食害部位から揮発性の匂い物質を大量に生産して、ハダニの天敵・チリカブリダニを誘引する。ボディガードを呼び寄せる生理活性物質は複数あったが、ガスクロマトグラフィーによって分離し、固定された。天敵誘引には単一物質より複数物質、つまり匂いのブレンドがより効果的だという。
生物間の相互作用を起こす信号物質のうち、このように生産者と需要者の両方に有利な生理反応、行動を引き起こす活性物質はシノモンと呼ばれている。揮発性のシノモンは被害植物だけでなく、何と、被害葉が発散する匂いをかいだ同種の健全植物でも、同一の揮発性物質を生産して、自前でチリカブリダニを誘引することを実験で確かめた。天敵ダニの行動の実験には、Y字型の嗅覚試験装置を使っている。植物と動物の間のコミュニケーション――植物は話をしていることになる。
例年になく春が早い三月下旬、庭木の枝を思う存分に剪定(せんてい)した。切られた木々は情報科学物質を発散して、信号をキャッチできない愚鈍な人間に痛みを訴えていたのではなかろうか。
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その他にも、北海道の風土病「エキノコックス」やミミズの知能についてなど興味深いことが書かれています。
こうして、親、子、孫が書いたものを読んでいくと、全体が歴史の読み物として感じられてきます。
退屈だと批判された森鴎外の歴史小説の立体版のような・・・・
ほのぼのとした思いとはこのようなもの?
ハラハラ ドキドキばかりを求めていると、大切なものがわからなくなる?