国際通貨基金(IMF)は、IMF協定第IV条に基づき、毎年加盟国政府と政策協議を行うこととなっています。7月12日から来訪したIMF調査団とカンボジア政府との協議結果について、7月25日にIMFから発表がありました(なお、詳細なレポートは、通常2ヶ月ほどで発表されます)。
IMFは、カンボジアが、2017年、2018年ともに7%前後の高成長を維持すると予測しています。民間投資の伸びが若干弱まるものの、政府支出、建設、観光等により成長が続くとしています。経常収支の赤字の縮小が続き、2016年にはGDP比8.8%となりました。この赤字は、海外直接投資等により埋め合わされて、2017年6月末には外貨準備は79億ドルにまで拡大しています。
IMFは今回の協議で、金融リスク管理、財政健全化、包括的成長を維持するための構造改革について議論しました。金融リスクについては、民間銀行からの貸出しが伸びており、GDP比で70%を超えてきていることに懸念があるものの、カンボジアの中央銀行であるカンボジア国立銀行(NBC)が金融機関の健全性維持のための規制を導入・拡充していることを評価しています。財政健全化については、これまでの慎重な政策により財政赤字を抑制し、公的債務も大きくないことを評価しています。税収が2016年にGDP比15%に達したことも評価し、継続的な努力に期待しています。また、財政支出を、今後とも生産性の高い開発事業に集中させることが必要と指摘しています。
カンボジアの課題としては、国際競争力の強化と産業多様化を挙げています。そのために、電力コストの引下げ、人造り、インフラ整備、法規制と透明性の強化が必要であると指摘しました。また、産業課発政策の確実な実施により、中小企業の振興と、国際的サプライチェーンへの統合が必要としています。この他、金融市場開発、自国通貨(リエル)使用促進、金融理解の促進等による金融包括の進展等を重要なポイントとして挙げています。
IMFの新聞発表(英文です)
http://www.imf.org/en/News/Articles/2017/07/25/pr17297-cambodia-imf-staff-completes-2017-article-iv-visit?cid=em-COM-123-35669
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