4月28日、一帯一路会議のため中国・北京を訪問しているフン・セン首相は、国有鉄道運営会社の中国国家鉄路集団有限公司など経済界の代表者とも懇談しました。新聞報道によりますと、首相はその中で、「中国国家鉄路集団有限公司がガンボジアのロイヤル鉄道と鉄道運営で協力し、カンボジアの列車の運行速度を速めてくれることを望んでいる」と述べたとのことです。また、他の報道では、世界最大の鉄道車両メーカーである中国中車(CRRC)に対しカンボジアの鉄道運営の効率化のためにロイヤル鉄道と協力してほしい旨述べ、スン・チャントル公共事業運輸大臣に交渉を命じたとしています。
カンボジアの鉄道は、内戦で破壊されてしまいましたが、カンボジア政府はアジア開発銀行等の支援を受けてプノンペン~シアヌークビルの南線を復旧させ、また、自己資金により昨年、プノンペン~ポイペト(タイ国境)の北線を復旧させ、本年4月22日に開通式典を開催しました。運営・管理については、民間活力を活用するとして、2009年にそれまでの国鉄を廃止し、民間企業(地場ロイヤルグループとオーストラリアのトールの合弁)に委託しました。しかし、トールは、2014年に撤退し、ロイヤルグループのみで運営してきました。しかし、鉄道運営ノウハウが不十分で、事故が多発する等の状況となっていました。列車の速度が遅く移動時間が長いなど利便性も悪く、利用者が少ないことも批判されています。こうした中で、3月29日の政府民間フォーラムで、フン・セン首相は、ロイヤルグループとの契約を打ち切ると発表しました。カンボジアの鉄道運営については、以前から中国が食指を伸ばしているとの噂も絶えずあり、今回それが現実化したとも言えます。
スリランカで、中国からの債務返済ができず、中国にハンバントタ港を奪われた事例は、中国による「債務の罠」の事例として喧伝されており、今回の一帯一路会議でも中国はそのイメージ払しょくに追われました。カンボジアは、債務状況が良好なため、簡単には債務の罠にはまる状況ではありませんが、主要インフラである鉄道を中国に押さえられることについては、懸念する向きも多いものと見られます。今後の交渉に注視してく必要があるものと見られます。
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カンボジアの鉄道は、内戦で破壊されてしまいましたが、カンボジア政府はアジア開発銀行等の支援を受けてプノンペン~シアヌークビルの南線を復旧させ、また、自己資金により昨年、プノンペン~ポイペト(タイ国境)の北線を復旧させ、本年4月22日に開通式典を開催しました。運営・管理については、民間活力を活用するとして、2009年にそれまでの国鉄を廃止し、民間企業(地場ロイヤルグループとオーストラリアのトールの合弁)に委託しました。しかし、トールは、2014年に撤退し、ロイヤルグループのみで運営してきました。しかし、鉄道運営ノウハウが不十分で、事故が多発する等の状況となっていました。列車の速度が遅く移動時間が長いなど利便性も悪く、利用者が少ないことも批判されています。こうした中で、3月29日の政府民間フォーラムで、フン・セン首相は、ロイヤルグループとの契約を打ち切ると発表しました。カンボジアの鉄道運営については、以前から中国が食指を伸ばしているとの噂も絶えずあり、今回それが現実化したとも言えます。
スリランカで、中国からの債務返済ができず、中国にハンバントタ港を奪われた事例は、中国による「債務の罠」の事例として喧伝されており、今回の一帯一路会議でも中国はそのイメージ払しょくに追われました。カンボジアは、債務状況が良好なため、簡単には債務の罠にはまる状況ではありませんが、主要インフラである鉄道を中国に押さえられることについては、懸念する向きも多いものと見られます。今後の交渉に注視してく必要があるものと見られます。
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