6月8日、シアヌークビル近郊のリアム海軍基地で、中国の資金援助を得て倉庫やドックを建設する工事の起工式が開催されました。式典には、ティア・バン副首相兼国防大臣や中国大使等が参加しました。今回の工事は、同基地の「近代化」を念頭に置いたものであり、乾ドック、埠頭、船台といった設備の建設・改修を行うものとしています。
他方、米国等は、カンボジアと中国がリアム海軍基地の利用に関して秘密合意を行っていると批判しており、中国軍の拠点拡大の兆候として警戒しています。6月12日までシンガポールで3年ぶりに開催されたアジア安全保障会議(シャングリラ会合)でも、台湾問題、南太平洋への中国進出に加え、本件が取り上げられています。
リアム海軍基地は、シアヌークビル空港の南の海岸にある小規模な基地で、現在は、桟橋が1本あるだけです。また、周辺海域は、水深が浅く、大型船舶の入港は現状では困難と見られます。直ちに中国軍の軍事拠点となるのは難しいものの、タイ湾の湾口を押さえる重要な戦略拠点となりうる場所にあり、万が一にもこの基地が中国の手に落ち、中距離ミサイル等を配備された場合、タイや周辺諸国との海上サプライチェーンの安全保障に重大な脅威となりかねません。また、3300メートル級の滑走路を有する空港が近いこともあり、航空輸送で展開可能な電子戦部隊の進出等も危惧されます。
中国としては、直ちに進出しなくとも、有事の際にはいつでも進出できると見せることで、周辺国を威嚇する効果を出すことで得点となっていると見ているものと推測されます。他方、米国もリアム海軍基地が中国軍の影響下にあるとの認識を各国に植え付けることで、有事の際には同基地を躊躇なく攻撃する口実を実質的に確保したものと見られます。また、米国としては、絶対に譲れない一線(レッドライン)を明確にカンボジア側に伝える意図があるものと見られます。
本件の取扱いはカンボジアにとって非常に重要なものとなりかねません。米中対立激化の中で綱渡り外交を続ける小国カンボジアにとって、慎重な対応が必要な状況と見られます。
(写真は、起工式。AKPより)
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他方、米国等は、カンボジアと中国がリアム海軍基地の利用に関して秘密合意を行っていると批判しており、中国軍の拠点拡大の兆候として警戒しています。6月12日までシンガポールで3年ぶりに開催されたアジア安全保障会議(シャングリラ会合)でも、台湾問題、南太平洋への中国進出に加え、本件が取り上げられています。
リアム海軍基地は、シアヌークビル空港の南の海岸にある小規模な基地で、現在は、桟橋が1本あるだけです。また、周辺海域は、水深が浅く、大型船舶の入港は現状では困難と見られます。直ちに中国軍の軍事拠点となるのは難しいものの、タイ湾の湾口を押さえる重要な戦略拠点となりうる場所にあり、万が一にもこの基地が中国の手に落ち、中距離ミサイル等を配備された場合、タイや周辺諸国との海上サプライチェーンの安全保障に重大な脅威となりかねません。また、3300メートル級の滑走路を有する空港が近いこともあり、航空輸送で展開可能な電子戦部隊の進出等も危惧されます。
中国としては、直ちに進出しなくとも、有事の際にはいつでも進出できると見せることで、周辺国を威嚇する効果を出すことで得点となっていると見ているものと推測されます。他方、米国もリアム海軍基地が中国軍の影響下にあるとの認識を各国に植え付けることで、有事の際には同基地を躊躇なく攻撃する口実を実質的に確保したものと見られます。また、米国としては、絶対に譲れない一線(レッドライン)を明確にカンボジア側に伝える意図があるものと見られます。
本件の取扱いはカンボジアにとって非常に重要なものとなりかねません。米中対立激化の中で綱渡り外交を続ける小国カンボジアにとって、慎重な対応が必要な状況と見られます。
(写真は、起工式。AKPより)
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