8月26日、カンボジア経済財政省は、公的債務統計報告書(Cambodia Public Debt Statistical Bulletin)第15号を公表しました。2022年6月末現在のカンボジア政府の債務状況について詳細な統計により報告しています。
2022年6月末の公的対外債務残高は、97億4058万ドル(約1兆3930億円)と2021年12月末の95億272万ドルから2.5%の増加となっています。国別では、中国が最大で40億4357万ドル(全体の41.5%)、以下、アジア開発銀行19億7203万ドル(20.2%)、日本9億7163万ドル(10.0%)、世界銀行8億9130万ドル(9.2%)、韓国4億7197万ドル(4.8%)等となっています。
債務持続性分析を見てみると、2022年末予測で公的対外債務の現在価値の対GDP比率は24.9%(基準値40%)、同対輸出比率33.9%(同180%)、債務返済比率(債務返済の対輸出比率)2.1%(同15%)、債務返済の対歳入比率7.8%(同18%)と、いずれも健全とされる基準値を大きく下回っており、全く問題ありません。ストレステストでも基準値を超えることは全くなく、対外債務については、カンボジアは大変な優等生ということができます。世界銀行・国際通貨基金の判定でも「低リスク国(青信号国)」に分類されています。
多くの途上国が、新型コロナ対策や世界的インフレで多額の財政支出を余儀なくされ、また、経済状況も悪化する中で、対外債務に苦しみ始めています。また、米国の金融緩和終了に伴うドル金利上昇やドル高によって、いくつかの新興国で懸念が高まっています。既に、スリランカが破たんし、パキスタン等も厳しい状況です。しかし、カンボジアは、債務の過半が日本や世界銀行・アジア開発銀行からの譲許的借款であることに加え、債務マネジメントをしっかり行ってきたため、対外債務については概ね問題なく、急激な為替レートの変動や外貨危機の可能性も低いと言えます。いわゆる「債務の罠」に陥る可能性は現状では低いものの、特定国に偏り過ぎないようにバランスを取りつつ、引き続き公的債務を管理していくことが必要と見られます。
経済財政省のサイト(英文及びクメール語です)
https://gdicdm.mef.gov.kh/2022/08/26/10941.html
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2022年6月末の公的対外債務残高は、97億4058万ドル(約1兆3930億円)と2021年12月末の95億272万ドルから2.5%の増加となっています。国別では、中国が最大で40億4357万ドル(全体の41.5%)、以下、アジア開発銀行19億7203万ドル(20.2%)、日本9億7163万ドル(10.0%)、世界銀行8億9130万ドル(9.2%)、韓国4億7197万ドル(4.8%)等となっています。
債務持続性分析を見てみると、2022年末予測で公的対外債務の現在価値の対GDP比率は24.9%(基準値40%)、同対輸出比率33.9%(同180%)、債務返済比率(債務返済の対輸出比率)2.1%(同15%)、債務返済の対歳入比率7.8%(同18%)と、いずれも健全とされる基準値を大きく下回っており、全く問題ありません。ストレステストでも基準値を超えることは全くなく、対外債務については、カンボジアは大変な優等生ということができます。世界銀行・国際通貨基金の判定でも「低リスク国(青信号国)」に分類されています。
多くの途上国が、新型コロナ対策や世界的インフレで多額の財政支出を余儀なくされ、また、経済状況も悪化する中で、対外債務に苦しみ始めています。また、米国の金融緩和終了に伴うドル金利上昇やドル高によって、いくつかの新興国で懸念が高まっています。既に、スリランカが破たんし、パキスタン等も厳しい状況です。しかし、カンボジアは、債務の過半が日本や世界銀行・アジア開発銀行からの譲許的借款であることに加え、債務マネジメントをしっかり行ってきたため、対外債務については概ね問題なく、急激な為替レートの変動や外貨危機の可能性も低いと言えます。いわゆる「債務の罠」に陥る可能性は現状では低いものの、特定国に偏り過ぎないようにバランスを取りつつ、引き続き公的債務を管理していくことが必要と見られます。
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