9月26日、中国が主導するアジアインフラ投資銀行(Asian Infrastructure Investment Bank: AIIB)は、カンボジアに3300万ドルの借款と1000万ドルの贈与を供与する契約に調印したと発表しました。今回の借入金の使途は、カンボジアの家畜健康及びバリューチェーン・インフラ改善事業となっています。なお、この事業は、アジア開発銀行(ADB)との協調融資であり、ADBは6290万ドルの借款を供与する予定です。
AIIBについては、中国共産党に支配されていると非難してカナダ人幹部が辞任したことを受け、カナダ政府は6月14日、AIIBとの取引を全面停止し、同行への中国共産党の影響力を調査すると発表しています。調査の結果によっては脱退する可能性もあることを示唆しているとのことです。
AIIBは日米が主導する世界銀行やアジア開発銀行などに対抗する形で、2016年に中国主導で設立されました。2023年6月時点で世界92カ国・地域が加盟していますが、日本や米国は運営が不透明であること等を理由として加盟していません。当初は、日本もAIIBに加盟すべきだとの意見が野党や経済界からありましたが、今となっては加盟していなかったことは妥当であったとの意見が多数派となっているものと見られます。
カンボジア(政府及び民間企業)は、これまでAIIBから6件、総額4億6000万ドルを借り入れています。親中派の国としては、貸付金額が伸び悩んでいるものと見られます。また、カンボジア政府の借入残高に占めるAIIBのシェアも、0.3%と微小です。
中国の一帯一路政策や過剰な貸付により、いわゆる「債務の罠」に陥る国々もある中で、カンボジアは、日本や国際機関からの譲許的借入を活用することで債務の健全性を保っています。引き続き慎重な対外債務コントロールが継続されることが期待されます。
(写真は、プノンペンポスト紙より)
AIIBの発表(英文です)
https://www.aiib.org/en/news-events/news/2023/AIIB-Signs-Agreements-for-Cambodia-Cross-border-Livestock-Health-and-Value-chain-Infrastructure-Improvement-Project.html
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AIIBについては、中国共産党に支配されていると非難してカナダ人幹部が辞任したことを受け、カナダ政府は6月14日、AIIBとの取引を全面停止し、同行への中国共産党の影響力を調査すると発表しています。調査の結果によっては脱退する可能性もあることを示唆しているとのことです。
AIIBは日米が主導する世界銀行やアジア開発銀行などに対抗する形で、2016年に中国主導で設立されました。2023年6月時点で世界92カ国・地域が加盟していますが、日本や米国は運営が不透明であること等を理由として加盟していません。当初は、日本もAIIBに加盟すべきだとの意見が野党や経済界からありましたが、今となっては加盟していなかったことは妥当であったとの意見が多数派となっているものと見られます。
カンボジア(政府及び民間企業)は、これまでAIIBから6件、総額4億6000万ドルを借り入れています。親中派の国としては、貸付金額が伸び悩んでいるものと見られます。また、カンボジア政府の借入残高に占めるAIIBのシェアも、0.3%と微小です。
中国の一帯一路政策や過剰な貸付により、いわゆる「債務の罠」に陥る国々もある中で、カンボジアは、日本や国際機関からの譲許的借入を活用することで債務の健全性を保っています。引き続き慎重な対外債務コントロールが継続されることが期待されます。
(写真は、プノンペンポスト紙より)
AIIBの発表(英文です)
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