カンボジア経済

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JETRO カンボジアの脱炭素化動向

2024年12月10日 | 経済
 11月28日、日本貿易振興機構(JETRO)は、カンボジアの脱炭素化動向と題するレポートを発表しました。著者は、JETROの春田麻里沙プノンペン事務所長(執筆当時)です。
 レポートでは、カンボジアの温室効果ガス削減目標とそれに向けた主要分野(林業、農業、工業)での取り組みとプロジェクト進行の状況、民間事業者が直面する課題、カンボジアで開設準備が進む世界初のSecurity Token Offeringを活用したカーボンクレジット取引所開設の動きや今後の展望について分析しています。
 カンボジア政府は、2020年に国連に提出した「国が決定する貢献」の中で、2030年までに対策を実施しなかった場合と比べて温室効果ガス排出量を42%削減する目標を定めています。また、2021年12月の「カーボンニュートラルに向けた長期戦略」では、2050年までに排出量実質ゼロを目指しています。
 主要分野別では、林業は、森林保護プロジェクトが進行中であり、植林の展開にも期待できるとしています。農業については、カーボンクレジットビジネスへの理解が浸透中であり、プロジェクトに前向きな企業もでてきています。工業では、縫製・製靴業を中心に屋根置き太陽光パネル等の対応方法を模索中であるとしています。
 カーボンクレジット取引に関しては、カンボジアでは二国間カーボンクレジット取引として日本との間で2014年に締結されたJCM(Joint Crediting Mechanism)だけが活用可能となっています。企業やNGOなど民間主導でのボランタリークレジットを活用したプロジェクトでは、2016年からカーボンクレジットの販売が開始されており、主にカーボンクレジット認証を行う米国の非営利法人(NPO)VERRAを通じて、ディズニー、シェル、アマゾン、デルタ航空などに販売されてきたとのことです。
 カンボジアの証券取引監督庁(SERC)と韓国のKS Greenは2024年2月、カンボジアでのSecurity Token Offering(STO)を活用したカーボンクレジットの取引所の開設に向け、金融技術や取引システム、セキュリティーに関する技術供与などを目的とした覚書を締結しました。カンボジアにおけるこの取り組みが世界初となる見込みとのことです。
(写真は、森林が広がるモンドルキリ州)

日本貿易振興機構のサイト
https://www.jetro.go.jp/biz/areareports/2024/1d9cc40265954a9e.html


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