2024年も押し詰まりました。カンボジア総合研究所チーフエコノミスト鈴木博の選ぶ「カンボジア経済2024年10大ニュース」です。(なお、日付はブログ記事掲載日です)
(写真は、シアヌークビルで多数見られる工事が中止されたままの不動産物件)
第1位 不動産不況が重荷 マクロ経済は順調
国際通貨基金(IMF)は、カンボジアのGDP成長率が2022年5%、2023年5%から、2024年5.5%へと加速すると見ています。その要因としては、縫製品・農産品輸出の好調と観光の回復を挙げています。他方、建設・不動産セクターの調整は長引いているとしています。
物価上昇率については、2023年2.1%から2024年1.5%程度へと落ち着くものと見ています。国際収支については、2023年に黒字化した経常収支は、2024年には1.8%程度の赤字となると見ています。外貨準備は安定的な水準にあるとしています。対外債務についても「低リスク」と見ています。
世界銀行、アジア開発銀行、AMRO等の国際機関の見方もほぼ同様となっています。各機関共通で、カンボジア経済のリスクとして長引く不動産不況とその影響による不良債権増加をあげています。
カンボジアの不動産投資の多くが中国の投資家や不動産業者によるものでした。中国自体の不動産不況が解決のめどが立たない状況では、カンボジアの不動産の状況が好転するまでにはかなりの時間を要するものと見られます。
12月23日 世界銀行 カンボジア経済アップデート2024冬 不動産不況に懸念
https://blog.goo.ne.jp/economistphnompenh/e/c6b8fd87cf60d49d89c70da93327978d
10月4日 IMF IV条協議結果2024 不動産向け不良債権に懸念
https://blog.goo.ne.jp/economistphnompenh/e/f203e66f49bf4e894cb7f990a702af6e
9月30日 アジア経済見通し2024秋 長引く不動産不況に懸念
https://blog.goo.ne.jp/economistphnompenh/e/302954e0df72223535bade4adb4fca0d
9月13日 AMRO カンボジアとの年次協議報告書2024を発表 不動産不況を懸念
https://blog.goo.ne.jp/economistphnompenh/e/1f22d4c7e9f6191e4054e034506ef057
第2位 LDC卒業が決定 2029年に
国連開発政策委員会(CDP)は3月4日から8日にかけて実施した後発開発途上国(LDC)リストの3年に1度の見直しで、カンボジアのLDCからの「卒業」を勧告しました。また、LDC卒業に向けた準備期間については、通常の3年から延長し、5年が必要としました。2024年を起点として5年の準備期間を経た2029年にカンボジアはLDC卒業となります。
後発開発途上国に対しては、欧米や日本から特別特恵関税等の優遇措置が与えられています。カンボジアもこの点を活用して、縫製品や靴を先進国に無関税で輸出し、輸出を増大させてきました。
カンボジアが後発開発途上国から卒業した場合には、こうした特恵関税の資格を失う等のネガティブな影響も大きいものと見られるため、政府として影響緩和策を検討し、着実に実施していく必要があります。具体的には、自由貿易協定の拡充や投資環境の整備等、十分な準備を行う必要があるものと見られます。
4月1日 カンボジア LDC卒業が決定 5年間の準備期間後の2029年に
https://blog.goo.ne.jp/economistphnompenh/e/9dc86726a74bab16b751051f95f2dda7
11月25日 カンボジアのLDC卒業に向けて 雇用や成長への影響を懸念
https://blog.goo.ne.jp/economistphnompenh/e/d73763f79a0a2a11cf4592baf9698469
第3位 フナン・テチョ運河着工 様々な懸念も
8月5日、フナン・テチョ運河の起工式が大々的に開催されました。当日は急遽国民の祝日とされました。フナン・テチョ運河(Funan Techo Canal)は、プノンペンを流れるバサック川から、カンダール州、タケオ州、カンポット州を経てケップ州の海岸までを結ぶものです。延長180キロメートルで、水路の幅は80~100メートルで、水深は5.4メートルとしています。総工費は17億ドル(約2480億円)で、2028年の完工を見込んでいます。
フナン・テチョ運河事業は、かなり野心的な計画と見られ、いくつかの懸念の声も出ています。経済面では、プノンペン港とシアヌークビル港間のコンテナ輸送やガソリン類の輸送には一定の効果があるものと見られるものの、総事業費が大きい上に実際の工事費が上振れするリスクがあります。また、需要面でも高速道路・鉄道等と競合するといった懸念があります。
また、メコン川下流のベトナムからは、水位が低下する等の環境への影響を懸念する声も出ています。米国等からは、中国軍進出疑惑のあるリアム海軍基地の関連で、運河が中国に軍事利用されかねないとの懸念も出ています。
8月14日 フナン・テチョ運河 大々的な起工式 様々な懸念も
https://blog.goo.ne.jp/economistphnompenh/e/fe4a58b95a6076e1a26325f4a52aa0bd
第4位 豊田通商 カンボジアでトヨタ車の生産工場を稼働
5月2日、豊田通商は、カンボジアのプノンペン経済特区で建設してきた自動車組立工場が稼働を開始し、記念式典を開催したと発表しました。
カンボジアでは、完成車輸入時の税金(関税・特別税等)が高いため、国内販売向けに部品を輸入して組み立てるノックダウン生産を行う工場が増え始めています。また、カンボジアの周辺国であるタイやベトナムには、トヨタ車の部品を製造する多くの企業が進出しています。その一部は、カンボジアでも部品を製造しており、こうした部品を南部経済回廊を通じて輸送し、組み立てる方式は、完成車輸入時の税金を避けるとともに、製造コストの安い部品を選んで組み合わせることで、完成車のコスト引き下げに有効であるものと見られます。カンボジアで「トヨタ」車が製造されるということは画期的なことであり、今後の発展が大いに期待されます。
5月7日 豊田通商 カンボジアでトヨタ車の生産工場を稼働
https://blog.goo.ne.jp/economistphnompenh/e/2b63e1a7db065c6820f1a45585dc4dab
第5位 中国大使に汪報道官 習近平大通りも誕生 中国 カンボジアへの影響力拡大
中国が外務省報道官を4年近く務めた汪文斌(Wang Wenbin)氏をカンボジア大使に起用しました。米欧や日本への厳しい言動で「戦狼(せんろう)外交官」とも呼ばれていました。また、完成したプノンペンの環状3号線は、中国の習近平国家主席の名前を冠し「習近平大通り」と命名されました。中国の支援で整備されたリアム海軍基地には中国の軍艦がほぼ常駐しています。
中国は、カンボジアへの影響力拡大を目指しているものと見られます。「親中国」とも呼ばれるカンボジアですが、一般国民の対中国感情は決して良いものではありません。小国であるカンボジアは、あざとい外交も行いますが、主権や面子に傷をつけられることには敏感です。新大使が「戦狼」を衣の下に隠していけるかどうかが注目されます。
6月14日 駐カンボジア大使に汪報道官 中国 カンボジアへの影響力拡大を図る
https://blog.goo.ne.jp/economistphnompenh/e/c35d42352339cd3360519543cd97fe08
6月7日 プノンペン環状3号線を習近平大通りと命名
https://blog.goo.ne.jp/economistphnompenh/e/7fc276b9604071dd03382383c3b9b61b
第6位 日本もカンボジアに外交攻勢 外務大臣、防衛大臣が続々訪問
カンボジアは、アジアで最も親日的な国と言われます。日本もカンボジアとの友好関係を維持・拡充するために外交攻勢をかけており、今年は外務大臣、防衛大臣他多数の高官がカンボジアを訪問しました。
7月にカンボジアを訪問した上川陽子外務大臣は、フン・マネット首相、フン・セン上院議長(前首相)、ソック・ チェンダ・サオピア外務大臣等と会談しました。また、「日カンボジア地雷イニシアティブ」を立ち上げることを発表しました。
8月には、木原稔防衛大臣がカンボジアを訪問し、フン・マネット首相とフン・セン上院議長(前首相)を表敬訪問しました。また、ティア・セイハー国防大臣と日カンボジア防衛相会談を実施しました。
親中派と言われるカンボジアですが、日本に対する信頼感は高いものがあり、日本が様々なチャンネルを活用してカンボジアが中国に傾き過ぎないように努力することには大きな意義があるものと見られます。
7月15日 上川外務大臣 カンボジア訪問 フン・マネット首相やフン・セン上院議長と面談
https://blog.goo.ne.jp/economistphnompenh/e/58218026c12bf98a63b67e362173ab75
7月16日 日本カンボジア外相会談 地雷イニシアティブを打ち出す
https://blog.goo.ne.jp/economistphnompenh/e/fe50b9b8316d6da596752ea166602cb9
8月13日 木原稔防衛相 カンボジア訪問 日カンボジア防衛相会談を実施
https://blog.goo.ne.jp/economistphnompenh/e/4c067850326583575fb0b517f2452115
第7位 観光回復に向けて 首相も様々な指示 旅行者用バコンも
カンボジア経済にとって、観光業は重要なエンジンの一つですが、新型コロナの影響を最も厳しく受けて不況も厳しいものがありました。訪問客数は、次第に回復しつつありますが、観光業は引き続き厳しい状況にあるため、フン・マネット首相は8月下旬に様々な支援策を指示しました。
8月19日、カンボジアの中央銀行であるカンボジア国立銀行は、中央銀行デジタル通貨バコンの観光客向けアプリの稼働を記念する式典をシェムリアップで開催しました。観光客向けのバコンアプリは、観光客がダウンロードすることにより使用可能となります。統一QRコードのKHQRを使って、全国の330万カ所で利用可能としています。
9月6日 カンボジアの観光回復に向けて 首相が様々な改善指示
https://blog.goo.ne.jp/economistphnompenh/e/5d953e55cc6f3023f3a5f4726fd3fbe8
8月28日 カンボジアの中央銀行デジタル通貨バコン 旅行者用アプリ稼働 式典開催
https://blog.goo.ne.jp/economistphnompenh/e/597928fa7e60a8f32707de45c1e5da32
第8位 カンボジア入国手続きの電子化 9月1日から本格運用
カンボジア到着時の入国、税関及び検疫に係る手続きのオンライン化(Cambodia e-Arrival Card)については、9月1日から本格運用となりました。同日以降は、紙媒体のフォームによる手続きは行えなくなっています。なお、紙媒体の代わりに、空港到着時に備え付けのタブレットで入力することも可能な模様です。
9月2日 カンボジア入国手続きの電子化 9月1日から本格運用
https://blog.goo.ne.jp/economistphnompenh/e/1901a30f7383f01955ff7fa9060fef97
第9位 初のLNG火力発電所起工式 コストに課題
10月16日、カンボジア南西部のコッコン州で、900MWのLNG火力発電所の起工式が開催されました。発電所は、カンボジア最大手の財閥であるロイヤルグループが建設・運営するもので、総投資額は13億4000万ドル(約2010億円)に達します。450MWの2基のコンバインドサイクル発電設備で構成されます。1号機の商業運転は2027年4月を目指すとしています。
カンボジアは、電力を水力、石油・石炭火力に依存してきましたが、今後のエネルギー計画では、石炭火力はこれ以上建設せず、再生可能エネルギーと液化天然ガス(LNG)の導入に焦点を当てています。輸入LNGへの期待は高いものの、世界のガス市場やインフラのリスクは、カンボジアのエネルギーシステムの価格と安定性を脅かす懸念があります。
10月23日 カンボジアで 900MWのLNG火力発電所の起工式
https://blog.goo.ne.jp/economistphnompenh/e/aa5095025e2d61330eda199c88f91c78
12月3日 カンボジアのLNG発電 高コスト等の課題に懸念
https://blog.goo.ne.jp/economistphnompenh/e/1a1a329d5f6085f239c82f1a59d9bfbe
第10位 引退のJR北海道の特急型ディーゼル車 キハ183系 カンボジアへ
2023年3月に定期運行を終えたJR北海道の特急型ディーゼル車「キハ183系」の11両が、カンボジアの鉄道会社「ロイヤル鉄道」へ売却されました。国鉄時代に製造されたキハ183系のうち、国内に残る最後の車両です。
整備を終えたキハ183系は、南線に投入されています。既存のディーゼルカー等に比べると非常に立派で、カンボジアでも「キハ トレイン」と呼ばれて親しまれています。
4月25日 引退のJR北海道の特急型ディーゼル車 キハ183系 カンボジアへ
https://blog.goo.ne.jp/economistphnompenh/e/65ad437976365ce42862a84faa583338
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(写真は、シアヌークビルで多数見られる工事が中止されたままの不動産物件)
第1位 不動産不況が重荷 マクロ経済は順調
国際通貨基金(IMF)は、カンボジアのGDP成長率が2022年5%、2023年5%から、2024年5.5%へと加速すると見ています。その要因としては、縫製品・農産品輸出の好調と観光の回復を挙げています。他方、建設・不動産セクターの調整は長引いているとしています。
物価上昇率については、2023年2.1%から2024年1.5%程度へと落ち着くものと見ています。国際収支については、2023年に黒字化した経常収支は、2024年には1.8%程度の赤字となると見ています。外貨準備は安定的な水準にあるとしています。対外債務についても「低リスク」と見ています。
世界銀行、アジア開発銀行、AMRO等の国際機関の見方もほぼ同様となっています。各機関共通で、カンボジア経済のリスクとして長引く不動産不況とその影響による不良債権増加をあげています。
カンボジアの不動産投資の多くが中国の投資家や不動産業者によるものでした。中国自体の不動産不況が解決のめどが立たない状況では、カンボジアの不動産の状況が好転するまでにはかなりの時間を要するものと見られます。
12月23日 世界銀行 カンボジア経済アップデート2024冬 不動産不況に懸念
https://blog.goo.ne.jp/economistphnompenh/e/c6b8fd87cf60d49d89c70da93327978d
10月4日 IMF IV条協議結果2024 不動産向け不良債権に懸念
https://blog.goo.ne.jp/economistphnompenh/e/f203e66f49bf4e894cb7f990a702af6e
9月30日 アジア経済見通し2024秋 長引く不動産不況に懸念
https://blog.goo.ne.jp/economistphnompenh/e/302954e0df72223535bade4adb4fca0d
9月13日 AMRO カンボジアとの年次協議報告書2024を発表 不動産不況を懸念
https://blog.goo.ne.jp/economistphnompenh/e/1f22d4c7e9f6191e4054e034506ef057
第2位 LDC卒業が決定 2029年に
国連開発政策委員会(CDP)は3月4日から8日にかけて実施した後発開発途上国(LDC)リストの3年に1度の見直しで、カンボジアのLDCからの「卒業」を勧告しました。また、LDC卒業に向けた準備期間については、通常の3年から延長し、5年が必要としました。2024年を起点として5年の準備期間を経た2029年にカンボジアはLDC卒業となります。
後発開発途上国に対しては、欧米や日本から特別特恵関税等の優遇措置が与えられています。カンボジアもこの点を活用して、縫製品や靴を先進国に無関税で輸出し、輸出を増大させてきました。
カンボジアが後発開発途上国から卒業した場合には、こうした特恵関税の資格を失う等のネガティブな影響も大きいものと見られるため、政府として影響緩和策を検討し、着実に実施していく必要があります。具体的には、自由貿易協定の拡充や投資環境の整備等、十分な準備を行う必要があるものと見られます。
4月1日 カンボジア LDC卒業が決定 5年間の準備期間後の2029年に
https://blog.goo.ne.jp/economistphnompenh/e/9dc86726a74bab16b751051f95f2dda7
11月25日 カンボジアのLDC卒業に向けて 雇用や成長への影響を懸念
https://blog.goo.ne.jp/economistphnompenh/e/d73763f79a0a2a11cf4592baf9698469
第3位 フナン・テチョ運河着工 様々な懸念も
8月5日、フナン・テチョ運河の起工式が大々的に開催されました。当日は急遽国民の祝日とされました。フナン・テチョ運河(Funan Techo Canal)は、プノンペンを流れるバサック川から、カンダール州、タケオ州、カンポット州を経てケップ州の海岸までを結ぶものです。延長180キロメートルで、水路の幅は80~100メートルで、水深は5.4メートルとしています。総工費は17億ドル(約2480億円)で、2028年の完工を見込んでいます。
フナン・テチョ運河事業は、かなり野心的な計画と見られ、いくつかの懸念の声も出ています。経済面では、プノンペン港とシアヌークビル港間のコンテナ輸送やガソリン類の輸送には一定の効果があるものと見られるものの、総事業費が大きい上に実際の工事費が上振れするリスクがあります。また、需要面でも高速道路・鉄道等と競合するといった懸念があります。
また、メコン川下流のベトナムからは、水位が低下する等の環境への影響を懸念する声も出ています。米国等からは、中国軍進出疑惑のあるリアム海軍基地の関連で、運河が中国に軍事利用されかねないとの懸念も出ています。
8月14日 フナン・テチョ運河 大々的な起工式 様々な懸念も
https://blog.goo.ne.jp/economistphnompenh/e/fe4a58b95a6076e1a26325f4a52aa0bd
第4位 豊田通商 カンボジアでトヨタ車の生産工場を稼働
5月2日、豊田通商は、カンボジアのプノンペン経済特区で建設してきた自動車組立工場が稼働を開始し、記念式典を開催したと発表しました。
カンボジアでは、完成車輸入時の税金(関税・特別税等)が高いため、国内販売向けに部品を輸入して組み立てるノックダウン生産を行う工場が増え始めています。また、カンボジアの周辺国であるタイやベトナムには、トヨタ車の部品を製造する多くの企業が進出しています。その一部は、カンボジアでも部品を製造しており、こうした部品を南部経済回廊を通じて輸送し、組み立てる方式は、完成車輸入時の税金を避けるとともに、製造コストの安い部品を選んで組み合わせることで、完成車のコスト引き下げに有効であるものと見られます。カンボジアで「トヨタ」車が製造されるということは画期的なことであり、今後の発展が大いに期待されます。
5月7日 豊田通商 カンボジアでトヨタ車の生産工場を稼働
https://blog.goo.ne.jp/economistphnompenh/e/2b63e1a7db065c6820f1a45585dc4dab
第5位 中国大使に汪報道官 習近平大通りも誕生 中国 カンボジアへの影響力拡大
中国が外務省報道官を4年近く務めた汪文斌(Wang Wenbin)氏をカンボジア大使に起用しました。米欧や日本への厳しい言動で「戦狼(せんろう)外交官」とも呼ばれていました。また、完成したプノンペンの環状3号線は、中国の習近平国家主席の名前を冠し「習近平大通り」と命名されました。中国の支援で整備されたリアム海軍基地には中国の軍艦がほぼ常駐しています。
中国は、カンボジアへの影響力拡大を目指しているものと見られます。「親中国」とも呼ばれるカンボジアですが、一般国民の対中国感情は決して良いものではありません。小国であるカンボジアは、あざとい外交も行いますが、主権や面子に傷をつけられることには敏感です。新大使が「戦狼」を衣の下に隠していけるかどうかが注目されます。
6月14日 駐カンボジア大使に汪報道官 中国 カンボジアへの影響力拡大を図る
https://blog.goo.ne.jp/economistphnompenh/e/c35d42352339cd3360519543cd97fe08
6月7日 プノンペン環状3号線を習近平大通りと命名
https://blog.goo.ne.jp/economistphnompenh/e/7fc276b9604071dd03382383c3b9b61b
第6位 日本もカンボジアに外交攻勢 外務大臣、防衛大臣が続々訪問
カンボジアは、アジアで最も親日的な国と言われます。日本もカンボジアとの友好関係を維持・拡充するために外交攻勢をかけており、今年は外務大臣、防衛大臣他多数の高官がカンボジアを訪問しました。
7月にカンボジアを訪問した上川陽子外務大臣は、フン・マネット首相、フン・セン上院議長(前首相)、ソック・ チェンダ・サオピア外務大臣等と会談しました。また、「日カンボジア地雷イニシアティブ」を立ち上げることを発表しました。
8月には、木原稔防衛大臣がカンボジアを訪問し、フン・マネット首相とフン・セン上院議長(前首相)を表敬訪問しました。また、ティア・セイハー国防大臣と日カンボジア防衛相会談を実施しました。
親中派と言われるカンボジアですが、日本に対する信頼感は高いものがあり、日本が様々なチャンネルを活用してカンボジアが中国に傾き過ぎないように努力することには大きな意義があるものと見られます。
7月15日 上川外務大臣 カンボジア訪問 フン・マネット首相やフン・セン上院議長と面談
https://blog.goo.ne.jp/economistphnompenh/e/58218026c12bf98a63b67e362173ab75
7月16日 日本カンボジア外相会談 地雷イニシアティブを打ち出す
https://blog.goo.ne.jp/economistphnompenh/e/fe50b9b8316d6da596752ea166602cb9
8月13日 木原稔防衛相 カンボジア訪問 日カンボジア防衛相会談を実施
https://blog.goo.ne.jp/economistphnompenh/e/4c067850326583575fb0b517f2452115
第7位 観光回復に向けて 首相も様々な指示 旅行者用バコンも
カンボジア経済にとって、観光業は重要なエンジンの一つですが、新型コロナの影響を最も厳しく受けて不況も厳しいものがありました。訪問客数は、次第に回復しつつありますが、観光業は引き続き厳しい状況にあるため、フン・マネット首相は8月下旬に様々な支援策を指示しました。
8月19日、カンボジアの中央銀行であるカンボジア国立銀行は、中央銀行デジタル通貨バコンの観光客向けアプリの稼働を記念する式典をシェムリアップで開催しました。観光客向けのバコンアプリは、観光客がダウンロードすることにより使用可能となります。統一QRコードのKHQRを使って、全国の330万カ所で利用可能としています。
9月6日 カンボジアの観光回復に向けて 首相が様々な改善指示
https://blog.goo.ne.jp/economistphnompenh/e/5d953e55cc6f3023f3a5f4726fd3fbe8
8月28日 カンボジアの中央銀行デジタル通貨バコン 旅行者用アプリ稼働 式典開催
https://blog.goo.ne.jp/economistphnompenh/e/597928fa7e60a8f32707de45c1e5da32
第8位 カンボジア入国手続きの電子化 9月1日から本格運用
カンボジア到着時の入国、税関及び検疫に係る手続きのオンライン化(Cambodia e-Arrival Card)については、9月1日から本格運用となりました。同日以降は、紙媒体のフォームによる手続きは行えなくなっています。なお、紙媒体の代わりに、空港到着時に備え付けのタブレットで入力することも可能な模様です。
9月2日 カンボジア入国手続きの電子化 9月1日から本格運用
https://blog.goo.ne.jp/economistphnompenh/e/1901a30f7383f01955ff7fa9060fef97
第9位 初のLNG火力発電所起工式 コストに課題
10月16日、カンボジア南西部のコッコン州で、900MWのLNG火力発電所の起工式が開催されました。発電所は、カンボジア最大手の財閥であるロイヤルグループが建設・運営するもので、総投資額は13億4000万ドル(約2010億円)に達します。450MWの2基のコンバインドサイクル発電設備で構成されます。1号機の商業運転は2027年4月を目指すとしています。
カンボジアは、電力を水力、石油・石炭火力に依存してきましたが、今後のエネルギー計画では、石炭火力はこれ以上建設せず、再生可能エネルギーと液化天然ガス(LNG)の導入に焦点を当てています。輸入LNGへの期待は高いものの、世界のガス市場やインフラのリスクは、カンボジアのエネルギーシステムの価格と安定性を脅かす懸念があります。
10月23日 カンボジアで 900MWのLNG火力発電所の起工式
https://blog.goo.ne.jp/economistphnompenh/e/aa5095025e2d61330eda199c88f91c78
12月3日 カンボジアのLNG発電 高コスト等の課題に懸念
https://blog.goo.ne.jp/economistphnompenh/e/1a1a329d5f6085f239c82f1a59d9bfbe
第10位 引退のJR北海道の特急型ディーゼル車 キハ183系 カンボジアへ
2023年3月に定期運行を終えたJR北海道の特急型ディーゼル車「キハ183系」の11両が、カンボジアの鉄道会社「ロイヤル鉄道」へ売却されました。国鉄時代に製造されたキハ183系のうち、国内に残る最後の車両です。
整備を終えたキハ183系は、南線に投入されています。既存のディーゼルカー等に比べると非常に立派で、カンボジアでも「キハ トレイン」と呼ばれて親しまれています。
4月25日 引退のJR北海道の特急型ディーゼル車 キハ183系 カンボジアへ
https://blog.goo.ne.jp/economistphnompenh/e/65ad437976365ce42862a84faa583338
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