カンボジア経済

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EU 特恵関税資格停止に関する報告書 カンボジア側に送付

2019年11月20日 | 経済
 11月12日、カンボジアへの特恵関税制度EBAの資格停止を検討しているEUは、これまでの調査結果をまとめた報告書案をカンボジア側に送付し、1カ月以内の回答を求めました。特恵関税制度EBAのカンボジアの一時的資格停止に関する公式手続きは、2月11日に着手されました。まず、6か月間の監視・対話強化期間があり、その後3カ月間のEUでの報告書作成期間を経て、12カ月後(2020年2月11日)までに結論を出すこととなっています。停止が決定された場合は、最終決定後6か月間の過渡期間を経て、18カ月後(2020年8月11日)から特恵関税措置の対象外となります。
 報告書の内容は公表されていませんが、最終的な結論は先送りされているものと見られます。EUの欧州委員会は11月12日の報告書の声明で「EBAの見直し回避には、カンボジア政府が人権問題の懸念などを改善する必要がある」と指摘し、1カ月以内に具体策を返答するよう求めています。
 この報告書のタイミングに合わせて、海外亡命中の野党救国党の元党首のサム・レンシー氏は、カンボジアへの帰国を図りましたが、予想通り、帰国することはありませんでした。しかし、パフォーマンスとしては成功で、パリ空港でのやり取り等が各国のメディアで取り上げられました。他方、「寝業師」とも呼ばれるフン・セン首相は、救国党前党首のケム・ソッカ氏の自宅軟禁の解除や、サム・レンシー氏の帰国を支援したとして拘束していた関係者の保釈等を打ち出し、必ずしも一枚岩でないEUに揺さぶりをかけています。また、ケム・ソッカ氏とサム・レンシー氏の間にくさびを打ち込む意図もあるものと見られます。
 カンボジア政府では、関係各省、カンボジア縫製製造業協会(GMAC)等からの意見もあわせて、1カ月以内に回答を取りまとめてEU側に伝える見込みです。EU側も来年2月に向けて慎重に検討を進めるものと見られています。特恵関税制度は、カンボジア経済のエンジンである縫製品の輸出に大きな影響を与える事項であり、引き続き注目していく必要が高いものと見られます。



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