カンボジア経済

カンボジアの経済について、お堅い数字の話から、グルメ情報といったやわらかい話まで、ビジネス関係の方にお役に立つブログです

経済財政省 公的債務統計報告書2021秋 債務状況は問題ないレベル

2021年09月29日 | 経済
 9月3日、カンボジア経済財政省は、公的債務統計報告書(Cambodia Public Debt Statistical Bulletin)第12号を公表しました。2021年6月末現在のカンボジア政府の債務状況について詳細な統計により報告しています。
 1993年から2021年6月末までの累積で見ると、借款契約の総額は、148億3652万ドル(約1兆6320億円)となっています。そのうち、83.6%がインフラ整備に向けたものです。国別では、中国が最大で52億7341万ドル(全体の35.5%)、以下、アジア開発銀行34億5599万ドル(23.3%)、日本18億7300万ドル(12.6%)、世界銀行16億4294万ドル(11.1%)、韓国10億1847万ドル(6.9%)等となっています。2020年6月末の公的対外債務残高は、91億2212万ドル(約1兆34億円)となっています。
 債務持続性分析を見てみると、公的対外債務の現在価値の対GDP比率は25.1%(基準値40%)、同対輸出比率37.1%(同180%)、債務返済比率(債務返済の対輸出比率)2.0%(同15%)、債務返済の対歳入比率6.2%(同18%)と、いずれも健全とされる基準値を大きく下回っており、全く問題ありません。ストレステストでも基準値を超えることは全くなく、対外債務については、カンボジアは大変な優等生ということができます。世界銀行・国際通貨基金の判定でも「低リスク国(青信号国)」に分類されています。
 多くの途上国が、新型コロナ対策で多額の財政支出を余儀なくされ、また、経済状況も悪化する中で、対外債務に苦しみ始めています。カンボジアは、債務の過半が日本や世界銀行・アジア開発銀行からの譲許的借款であることに加え、債務マネジメントをしっかり行ってきたため、対外債務については概ね問題ない状況にあります。また、カンボジア経済は高度にドル化しているため、この先予想されるドル高によって、いくつかの新興国で懸念が高まっている急激な債務膨張や為替レートの変動の可能性も低いと言えます。いわゆる「債務の罠」に陥らないためにも、特定国に偏り過ぎないようにバランスを取りつつ、引き続き公的債務を管理していくことが必要と見られます。
(写真は、日本の円借款で整備されてきたシアヌークビル港)

経済財政省のサイト(英文及びクメール語です)
https://mef.gov.kh/documents/%e1%9e%96%e1%9f%92%e1%9e%9a%e1%9e%b9%e1%9e%8f%e1%9f%92%e1%9e%8f%e1%9e%b7%e1%9e%94%e1%9e%8f%e1%9f%92%e1%9e%9a%e2%80%8b%e1%9e%9f%e1%9f%92%e1%9e%8f%e1%9e%b7%e1%9e%8f%e1%9e%b7%e2%80%8b%e1%9e%94-10/



↓にほんブログ村のランキングに参加しています。よろしければクリックしてください↓
にほんブログ村 海外生活ブログ カンボジア情報へ
にほんブログ村

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« アジア経済見通し2021秋 新... | トップ | カンボジア信用保証公社 中... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

経済」カテゴリの最新記事