カンボジア経済

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カンボジア 英国と貿易交渉 EUの特恵関税並みを目指す

2020年10月06日 | 経済
 9月15日、カンボジア商業省次官と在カンボジア英国大使館公使が面談し、二国間の貿易促進に向けた議題が討議されました。カンボジアとしては、二国間自由貿易協定またはEUの特恵関税制度EBAと同等の「Special and Differential treatment(特別のかつ異なる待遇)」を求めたものと見られます。英国がEUから離脱すると、現状のままではカンボジアは特恵関税の対象とならなくなってしまうため、二国間での貿易協定が必要となっています。
 「Special and Differential treatment(特別のかつ異なる待遇)」は、世界貿易機関(WTO)協定で途上国やLDC諸国に対して「特別」または「(先進国とは)異なる」扱いを認めているものです。EUのEBAでは、カンボジアは武器以外全ての品目について関税免除、数量制限なしの輸出が認められていました。しかし、まず2019年1月からコメに対するセーフガード関税が課されるようになり、更に今年8月12日から輸出の約20%に当る品目についてEBAの対象外とされています。英国がEUから離脱するにあたり、コメについては英国内に生産者はいないため、セーフガード課税は引き継がれず関税免除となることが期待されます。また、カンボジアの強権的措置への制裁として実施されている20%に当る品目への課税について、英国では免税に戻される可能性も十分にあるものと見られます。
 カンボジアは、中国、韓国、モンゴル、ロシアを中心としたユーラシア経済連合(EAEU)等と自由貿易協定交渉を行っていますが、カンボジアからの輸出を短期間に増加させる効果は限定的なものと見られます。他方、英国向けの輸出は2019年で9億7800万ドル(約1030億円)に達しており、特恵関税を含む協定が成立すれば、大きな効果が見込まれます。英国との間で、制裁的関税やセーフガード関税抜きの協定に向けた交渉が進展することが大いに期待されます。
(写真は、英国向けの輸出に必要不可欠なシアヌークビル港)



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