
9月9日、カンボジア国民議会(下院)は、地域的な包括的経済連携(RCEP)協定を批准する法案を可決しました。今後、上院の承認の後、国王が公布して批准手続きが完了することとなります。RCEPは、関税の削減などを通じて貿易の自由化を進める協定で2020年11月に15カ国(ASEAN10か国、日本・中国・韓国・オーストラリア・ニュージーランド)が署名しました。参加国の国内総生産(GDP)と人口の合計は世界の3割を占める規模となります。環太平洋経済連携協定(TPP)に比べると貿易自由化率やルール水準は低いものの、中国が参加する唯一の大型自由貿易協定となる見込みです。
RCEP協定は、参加しているASEAN10カ国のうちの6カ国と非ASEAN5カ国のうちの3カ国の批准書がASEAN事務局長に寄託された日から60日後に発効すると定められています。9月13日にオンラインで開催された第24回ASEAN+3(ASEAN10カ国と日本・中国・韓国)経済大臣会合の共同声明では、RCEP協定について2022年1月までの発効を目指す方針を盛り込みました。発効のめどを示したのは初めてとなるとのことです。批准手続きについては、日本と中国は手続きを終えており、韓国とニュージーランドは現在、手続きを進めている状況です。一方、ASEAN諸国では、これまでにシンガポールだけしか手続きを終えておらず、今回の合意通りに来年1月までに発効できるかは不透明なところもあるものと見られます。
発効を早めたい要因としては、RCEPを足がかりにASEANとの結びつきをさらに強めたい中国の存在があると見られています。米国と同盟国による「中国包囲網」が強まる中で、中国と米国との貿易摩擦は改善の兆しがみえず、欧州連合(EU)と中国の投資協定もウイグル族への人権問題を背景に欧州議会での審議が止まっています。また、米国は、中国に依存しない供給網づくりを主張し、日本も半導体の供給網などで連携する方針です。中国には「中国抜き」の貿易の枠組みが進展しないうちにRCEPをテコにASEANで地域貿易の主導権を握る狙いがあるとの見方も出ています。カンボジアも中国の意向を受けて、RCEP歓迎方針を強く打ち出すととともに、RCEP批准手続きを前倒しで進めたものと見られます。
(写真は、日本の支援で拡充されたシアヌークビル港)
JETROのサイト
https://www.jetro.go.jp/biznews/2021/09/4a1cee50b5c7c92b.html
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RCEP協定は、参加しているASEAN10カ国のうちの6カ国と非ASEAN5カ国のうちの3カ国の批准書がASEAN事務局長に寄託された日から60日後に発効すると定められています。9月13日にオンラインで開催された第24回ASEAN+3(ASEAN10カ国と日本・中国・韓国)経済大臣会合の共同声明では、RCEP協定について2022年1月までの発効を目指す方針を盛り込みました。発効のめどを示したのは初めてとなるとのことです。批准手続きについては、日本と中国は手続きを終えており、韓国とニュージーランドは現在、手続きを進めている状況です。一方、ASEAN諸国では、これまでにシンガポールだけしか手続きを終えておらず、今回の合意通りに来年1月までに発効できるかは不透明なところもあるものと見られます。
発効を早めたい要因としては、RCEPを足がかりにASEANとの結びつきをさらに強めたい中国の存在があると見られています。米国と同盟国による「中国包囲網」が強まる中で、中国と米国との貿易摩擦は改善の兆しがみえず、欧州連合(EU)と中国の投資協定もウイグル族への人権問題を背景に欧州議会での審議が止まっています。また、米国は、中国に依存しない供給網づくりを主張し、日本も半導体の供給網などで連携する方針です。中国には「中国抜き」の貿易の枠組みが進展しないうちにRCEPをテコにASEANで地域貿易の主導権を握る狙いがあるとの見方も出ています。カンボジアも中国の意向を受けて、RCEP歓迎方針を強く打ち出すととともに、RCEP批准手続きを前倒しで進めたものと見られます。
(写真は、日本の支援で拡充されたシアヌークビル港)
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