英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

「気前」(中田七段作詰将棋)の解答

2016-01-08 22:32:12 | 詰将棋
「気前 ……中田七段作詰将棋 『将棋世界』2015年10月号」の解答です。



 初手は▲1六飛、▲2七馬、▲3八飛などありますが、何となく▲3七飛と打ちたくなります。



 これに対し、2六と4六の二通りの逃げ方がありますが、4六の方が開き王手(場合によっては両王手)が掛けられそうで危険な感じがしますが、ここはそれ…作為手順ぽいので、4六へ逃げるべきです(逃げましょう、逃げたいですよね)。△2六玉と逃げる変化は後述。


 めでたく開き王手の位置に入ったのですが、開き王手の掛け方(飛車の移動場所)が9通りもあります。また、開き王手せず、持駒の飛車で王手を掛けることもできます。
 しかし、あれこれ考えず、何となく▲3六飛と両王手を掛けたくなりませんか?……なりますよね。



 この手には△3六同玉とするよりありません。



 さて、第4図は初図と比べると、攻め方の4六の歩が消えています。飛車1枚使って4六の歩を消したことになります。
 実戦だと≪飛車を一枚使ったのに何の成果もなし、いえ、拠点の歩まで失って、大失敗だぁ≫となるわけですが、詰将棋だと≪邪魔駒消去完了、ゴールは近いぞ≫となるわけです。
 もし、この図が初図として出題されたら、すぐ詰みが見えるはずです。

 ▲4六飛!

 よくある捨て駒ですが、初図では歩が邪魔で打てません。

 △4六同とに▲2七馬で詰みです。


 持駒の飛車2枚を気前よく捨て、“邪魔駒消去”を織り込んだ詰将棋でした。


 2手目に△2六玉と逃げる手には、▲1六飛が必殺。


 △1六同玉に▲1七飛△2六玉▲2七馬で詰みです。


 玉方配置の1七の歩は詰手順に絡まず、余詰防止でもなさそう。意味がよく分からなかったのですが、この2手目の変化の詰みで歩が余るようにするための存在のようです。


 第2図に戻ります。


 ここで▲5七飛も有力です。


 △3六玉には▲3七馬で詰み。


 また、合駒を打っても(たとえば△3七金)

 ▲4七飛打△3六玉▲3七馬で豪華に詰みます。


 しかし、△3七香成(不成も可)で

 3五への逃走経路ができ、逃れられます。



詰手順……▲3七飛△4六玉▲3六飛△同玉▲4六玉△同と▲2七馬まで7手詰
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気前 ……中田七段作詰将棋 『将棋世界』2015年10月号

2016-01-05 22:56:56 | 詰将棋
『将棋世界』2015年10月号掲載、中田七段詰将棋コーナー(第9問)です。

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「“2”ではなく“二”」(中田七段作詰将棋)の解答

2015-11-23 16:29:01 | 詰将棋
「“2”ではなく“二” ……中田七段作詰将棋 『将棋世界』2015年10月号」の解答です。


 初手に▲4三香と打って△同馬とさせて、攻め方の角道を通して、▲5三金と捨て馬を5三に誘導させる筋は、慣れた方なら一目でしょう。
 Stanleyさんは「30秒くらいで解けました」とおっしゃっていましたが、詰形までは10秒と掛からなかったと思います(確認作業を含めて30秒)。


 初形から、いきなり▲5三金と捨てるのは△同玉とされてしまうので、▲4三香△同馬(第2図)とさせる必要があります。
 ▲5三金(第3図)には△同馬の一手となりました。5三の地点を睨む必要をなくして、勇躍の▲1五角。

 4四にいて強大な守備力を誇っていた馬が、3三の守りを放棄したうえ、玉の退路の5三の地点を塞いでいる邪魔駒と化しています。
 玉は4三に逃げるしかなく、▲3三角成と飛び込んでフィニッシュ。


 詰めあがりは漢字の「二」の字。もしかしたら、カタカナの「ニ」かもしれません。

詰手順……▲4三香△同馬▲5三金△同馬▲1五角△4三玉▲3三角成まで7手詰
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“2”ではなく“二” ……中田七段作詰将棋 『将棋世界』2015年10月号

2015-11-21 17:43:37 | 詰将棋
『将棋世界』2015年10月号掲載、中田七段詰将棋コーナー(第8問)です。

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「木の葉落とし」(中田七段作詰将棋)の解答 【補足】あり

2015-11-14 16:32:43 | 詰将棋
「木の葉落とし ……中田七段作詰将棋 『将棋世界』2015年10月号」の解答です。

 タイトルの『木の葉落とし』は、スノーボードの初歩のテクニックや航空機の特殊機動(マニューバ)の用語ですが、『アタック№1』の必殺技?の名前にもなっていたような気がします。
 本作は、木の葉がゆらゆら落ちていくイメージが浮かびました。


 まず、初形より▲2五歩は△1四玉で、▲1五歩は打ち歩詰の禁、また、また、初形より▲2五銀も△1五玉で、▲1六歩がまたも打ち歩詰の禁でうまくいきません。
 打ち歩詰解消の手筋は、攻め方の戦力を減らして、玉の包囲網を甘くしたり、玉方の駒を誘導して守備力をアップさせるなどです。
 そこで、上記2手段(▲2五歩や▲2五銀)の周辺で工夫はできないかといろいろ考えるわけですが、なかなか打開策が見つからなかったという方が多いのではないでしょうか。

 正解は▲4六角。

 この手が見えにくい。確かに、攻め方の攻撃力ダウンで、打ち歩詰解消の手筋に則っていますが、マイナスが大きく、その見返りがなさそうで、候補手として視野に入りません。
 さらに、詰形に至る手順も上部脱出される不利感が大きく、視野に入ったとしても除外してしまいそうです。

 ともかく、▲4六角△同歩とさせ、


 ▲2五銀△1五玉と進めると


 角がいなくなったため、▲1六歩の打ち歩詰の禁が解消されています。
 ただ、▲1六歩にするりと△2六玉と逃げられると、どんどん上部に逃がしてしまっている感が大きいです。


 しかし、ここで、颯爽と▲3六龍と飛び込んできて、ピタリと決めます。


 ちなみに、1二のと金は、初手の▲4六角に△1四玉とかわされた時の詰めに働きます。
【補足】
 初手の▲4六角に△1四玉とかわされた時、と金がなくても作意手順と同手順で詰みます。(九鬼さんに示唆されて、気がつきました)
 これは、厳密には「変化同手数駒余らず」のキズとなるので、それを避けたのだと思われます。


詰手順……▲4六角△同歩▲2五銀△1五玉▲1六歩△2六玉▲3六龍まで7手詰
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木の葉落とし ……中田七段作詰将棋 『将棋世界』2015年10月号

2015-11-10 17:56:05 | 詰将棋
『将棋世界』2015年10月号掲載、中田七段詰将棋コーナー(第6問)です。

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「袈裟固め」(中田七段作詰将棋)の解答 【補足あり】

2015-01-30 21:38:48 | 詰将棋
「袈裟固め ……中田七段作詰将棋 『将棋世界』2014年10月号」の解答です。



 初手は普通に▲5三香と打ってみます。


 これに対し、5二に合駒をすると(何を合駒しても同じですが、図では歩を合駒しました)

 5二の利きは攻め方の方が多いので、▲5二同○成と取っていけば詰みます(取る順は厭いません)。

 そこで、王手をかわして△4一玉と銀を取ります。


 ここで▲4二歩と打ちたいところですが、打ち歩詰になってしまいます。
 ん?じゃあ、その前に工夫が必要?
 初手に戻って、▲5二歩と打ってみます。

 これを△5二同銀とするのは▲同○成として参考図2と同様に詰み、また、▲5二歩に△4一玉なら今度は香が残っているので、▲4二香で詰みます。
 しかし、▲5二歩に△6一玉と逃げられて、詰みません。


 そこで、再び▲5三香△4一玉と進んだ第2図を考えます。

 打ち歩詰め打開の手法として主に、①攻め駒を弱くする ②玉の逃げ道を作るがありますが、この場合は………


 ▲5二馬!
 攻め駒を捨てるので①にも適合しますが、

 △5二同銀とさせて5三の香の利きを遮断させて、5一への逃げ道を作るのが主眼です。

 勇躍、▲4二歩と打ち、△5一玉と進みます。


 ここで▲3一龍とすれば、何と詰んでいます。


 4一に合駒が利きそうですが、5二の銀は5三の香が玉を睨んでいるので、4一の合駒は▲4一龍とされると取られるだけで、無効と見なされます。

  攻め方から打ち歩詰の局面に誘導し、馬を捨て△同銀と取らせることによって、初手に打った香者の利きを遮断し、その上、最後に間接的に香車の利きで合駒を無効にするという、見事な作品でした。

詰手順……▲5三香△4一玉▲5二馬△同銀▲4二歩△5一玉▲3一龍まで7手詰

【補足】無駄合について

 詰め上がり図で合駒が利きそうな感じがしますし、打つこと自体は反則ではありません。
 ここで、「無駄合」について考えてみます。


 図は1四のと金を2三に入って王手をしたところです。
 玉の逃げ場はないので、合駒をして王手を防がなければなりませんが、1筋のどこに合駒しても▲同香とされて詰みます。詰将棋では、「合駒をしても取られて大筋の詰手順は変化しない無意味な合駒」を『無駄合』と見なして、詰手順に入れません。
 もちろん、反則ではないので、実戦では指し手もかまいません。悪あがきで“見苦しいやつ”とは思われるでしょう。ただ、「(時間)切れ負け将棋」で、相手の残り時間が数秒なら、実行すれば時間切れの勝利も可能性が大きいです。人格が疑われると思いますが。
 個人的には『無駄合』という言葉は完全ではないように思います。王手を掛けられて無意味でない合駒をして、攻め方が正しく攻めれば詰む場合も、“無駄”と考えることができます。
 分かりやすい表現を求めるなら『悪あがき合』ですが、直接的過ぎるので、『無意味合』でいかがでしょうか?

 では、次の図の場合はどうでしょう。

 △1二合▲同と(香成、桂成)△同金、▲同桂成(香成、と金)で詰みます。
 この場合の合駒も無駄(無意味)に思えますが、一般的には有効な合駒と見なされているように思います。
 実際には、このように単純な詰みが詰手順になる作品はないので、深く考えたことはありません。
 実戦ではよくあり、解説では「以下簡単な○手詰」と表記されている場合、手数に数えられている記憶があります。


 これは、本記事の詰上がりと原理は同じで、1二への合駒は『無駄合』です。


 さて、再び詰め上がり図に戻ります。


 この図まで、あるいは一歩手前まで読んで、合駒が利かないことに気づかず、迷宮に入ってしまった方も多いようです。それだけ、『無駄合』の言葉で完了してしまうのが勿体ないほどの詰上がりの素晴らしさでした。
 それに、実戦なら

 と合駒され、詰んでいることに気づかない可能性や、▲4一同歩成としてしまう可能性が低くはないように思います。
 (実戦なら、飛車成りよりも歩成りの方が本筋です)



 △6一玉と逃げられて、大魚を逃がすことになってしまいます。


 実戦なら、“無駄”にはならないかもしれませんね。




 タイトルの『袈裟固め』ですが

 柔道の抑え込みの技のひとつです。
 龍が玉を腹部から支配し、香車が龍とは垂直方向から玉を牽制する感じが、袈裟固めを彷彿させないでしょうか?
 
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袈裟固め ……中田七段作詰将棋 『将棋世界』2014年10月号

2015-01-14 21:33:24 | 詰将棋
『将棋世界』2014年10月号掲載、中田七段詰将棋コーナー(第7問)です。
「袈裟固め」という検索で、たどり着いた柔道愛好家の方、紛らわしいタイトルで申し訳ありませんでした)



10月号の作品の中で、前作が一番好きで、一番感心したのはこの作品です。
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「フェンシング」(中田七段作詰将棋)の解答

2015-01-13 21:00:28 | 詰将棋
「フェンシング ……中田七段作詰将棋 『将棋世界』2014年10月号」の解答です。


 初形で▲1六歩は打ち歩詰の禁で、本作は「打ち歩詰の打開」が主題です。

 まず、目につくのが、▲2六桂の開き王手。


 これに対し、△1六に合駒をしてくれるのなら、▲1六同香で“シメシメ”なのですが、
 △1七桂(逃れ図)などで打ち歩詰は解消されません。


 うっかり1六に利かせて△1七金としてしまうと、

▲1六歩(受け間違い図)が打ち歩詰にならず(一旦、△1六同金とできる)、詰みとなります。

 となると、強力な馬を消すことで打ち歩詰の解消を図ります。
 ▲1四馬と捨ててみましょう。


 これに対し、△1四同玉と取ってくれると

 ▲2六桂の両王手がさく裂しますが……


 △1四同歩で、打ち歩詰は解消されないままです。


 今度は▲3七馬と捨ててみます。


 これには△3七と引が最善です。(理由は後述)

 この捨て方だと、1四に玉の退路ができ、ようやく▲1六歩が実現します。


 △1四玉には▲2六桂が気持ち良い手。


 これには△2六同ととするしかありませんが(この時、2手目が△3七と寄だと▲2六桂を取ることができず早く詰んでしまいます)、
 


 香の利きが通ったので、▲1五歩で玉の死命を制することができます。



 打ち歩詰を打開して打った歩を、突いて詰め上げる気持ち良い手順です。

詰手順……▲3七馬△同と引▲1六歩△1四玉▲2六桂△同と▲1五歩まで7手詰
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フェンシング ……中田七段作詰将棋 『将棋世界』2014年10月号

2015-01-05 20:27:37 | 詰将棋
『将棋世界』2014年10月号掲載、中田七段詰将棋コーナー(第6問)です。
「フェンシング」という検索で、たどり着いたフェンシング愛好家の方、紛らわしいタイトルで申し訳ありませんでした)


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