英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

2024王位戦 第1局 藤井王位-渡辺九段 その2

2024-07-09 17:42:40 | 将棋
「2024王位戦 第1局 藤井王位-渡辺九段 午後8時35分」を「その1」とします。

 ……「その1」をアップした時は、まだ、勝利確率が78%でかなり優勢とは言え、残り時間切迫の中、渡辺九段が勝ち切るのはまだまだ大変だと思っていた。
 しかし、それから、暫くして藤井王位が特攻をかけたが足りず、勝利確率は「渡辺99%」となり、あとは詰ますだけという状況。
 解説の鈴木九段も、終局間近(渡辺勝ち)を確信していた。ただし、少し、逆転の伏線があったが、些細な事と思っていたようだ。(詳細は後述)


 千日手指し直し局も、渡辺九段が主導していた気配があり、用意の策戦だった気がする。

 渡辺九段が21手目に▲6六角と飛車取りに覗いたのが趣向で、△7四飛と躱した時点で前例が1局のみ。さらに23手目の▲7七桂で前例がなくなった。
 ▲7七桂以下△3四歩▲2二角成△同銀▲8二角と打ち込み、△9三香▲2六飛で第1図。

 第1図から△5四飛▲6八銀で第2図。
 藤井王位はこの辺り(第1図~第2図)で△8四飛▲9一角成△7一金と先手の角(馬)の働きを封じておくべきだったという感想を述べており、その後はずっと苦しいと思っていたそうだ。

 とは言え、実際は微差で、角打ちから飛車をふわりと中段に泳がせ、2筋に回し飛車成りを見せ、▲3九金を強要(先手は歩切れで、飛成りを歩で防げない)するなど、藤井王位の反撃も迫力十分。以下、10手ほど進み、第3図。

 先手の渡辺九段も飛車を8筋に転回。互いに飛車を軸に敵陣突破を目指す。
 これに対し、△8三歩と受けるのが読みの入った手で、以下▲8三同馬△同銀▲同飛成△7二角▲9二龍と、「角銀交換」「飛車の成り込み」「駒得した角を自陣の受けに投入させられる」と損得勘定が難しいが、おそらく最善の応酬。ただし、最後の▲9二龍では▲8二龍の方が良かったようだ。(後に▲8四桂と絡む筋が出てくるが、この時、龍の紐が付いている方が得)
 ▲9二龍に△6四歩で第4図。

 △6四歩と突いて、防戦一方と見られた角が一気に先手の急所に利いてきた。ただし、△6四歩ではなく△3六歩が最善手らしい。
 ▲9二龍で《先手わずかに良し》から《後手やや良し》に。△6四歩がやや疑問で、第4図は、ほぼ互角。ただ、この△6四歩が見えていなかった渡辺九段は少なからず動揺したようだ。
 《局勢は互角》《精神的にやや動揺》の渡辺九段ではあるが、残り時間は渡辺61分、藤井9分と大優勢。
 渡辺九段も腰を落とし、読み直し▲3五歩と最善手。さすがである。
 以下△3六歩▲3四歩と互いに桂頭を攻める。

 第5図は互角。残り時間は先の▲3五歩で20分消費したとは言え、渡辺39分対藤井9分と少し差は縮まったが、時間的にはまだ有利。
続く
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2024年度NHK杯将棋トーナメント1回戦 西山女流三冠-木村九段 その7

2024-07-05 11:21:38 | 将棋
「その1」「その2」「その3」「その4」「その5」「その6」………大概、「その3」ぐらいで疲れてくる……)


 図の▲3一金には少し驚いた。
 金ではなく▲3一銀が通常だろう。解説の藤井九段も銀打ちが一感だった。
 おそらく▲3一銀が最善手だが、1三へ玉を追うことになりそうなのが気になる(実際は1三に逃がしても大丈夫)。
 ▲3一金は持駒が増えると後手玉に即詰めが生じるし、次に▲3六龍と歩を払う手が詰めろになる。
 以下、木村九段は△3五桂や2筋での竜頭への歩の叩きで凌ぐが、手順に先手玉の嫌味が解消されてしまった。
 途中、どこかで△5一歩と先手飛車の利きを緩和する手があり(▲同飛成なら王手飛車がある)、そう指せば、若干勝負のアヤもあったが、木村九段は観念していたのだろう。
 最後に△4七桂成りと銀を取り、収束を待った。


 投了図以下は、△2一同金▲同龍△同玉▲3一成桂以下詰み。

 解説の藤井九段は、序盤の時に「西山さんの終盤はトップクラスだ」と述べていた。
 確かに、プロ棋士としての寄せの感覚、詰み手順の読みなどは体に染みついているように感じる。
 福間女流五冠も同様に感じるが、両者の質は違う。
 西山女流は敵防御を正面から破壊する。敵玉を頭からねじ伏せる。寄せが見えたら躊躇なく突き進む。
 福間女流は、寄せの網を絞っていき、機が熟したらスパートをかける。やや曲線的だが、一気に受けなしに持っていく瞬発力もある。



 終局直後、木村九段は西山女流の顔を見やり、にっこり微笑んだ。
《強くなったね》と言っているように感じた。


 昨日(7月4日)に「朝日杯将棋オープン戦」の1次予選で阿部光瑠七段に勝利
 この結果、直近のプロ公式戦で13勝7敗となり、「10勝以上」かつ「勝率が6割5分以上」などの条件を満たして、プロ棋士への「編入試験」を受験する資格を得た。
 西山女流は編入受験の意思を表明。

 "西山四段”と表記する日が来るかもしれない。
 
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2024年度NHK杯将棋トーナメント1回戦 西山女流三冠-木村九段 その6

2024-07-03 17:46:18 | 将棋
「その1」「その2」「その3」「その4」「その5」………大概、「その3」ぐらいで疲れてくる……)


 ▲5五角の好所の角打ちに、木村九段は△6八馬。
 この手は▲2五歩△同歩▲2四歩△同銀▲2三歩以下の開き王手と▲7七銀の馬の捕獲を防いだ手だが、直前の△8六角成を自ら否定したような手だ。この△6八馬では△4三歩と▲2五歩以下の攻めが来る前に動いてもらう方が良かった。
 △4三歩以下▲7七銀△同馬▲同角△4四歩▲7一角△6一飛▲4四角成が想定される。先手有利だとは思うが、これからの将棋であろう。
 実戦の△6八馬に西山女流三冠は▲7四歩。最善手は▲7三桂成で、この方が勝ちが早いと思われるが、玉頭に不安がある先手にとっては、後手に桂馬を渡すのはためらいを感じる。歩で攻めて間に合うのなら、その方が良い。
 以下、西山女流三冠は歩を成って、そのと金を敵玉に寄せていく。その間、木村九段は飛車を3三まで移動させ、2筋の歩を伸ばして先手玉にプレッシャーをかける。

 第13図は、そのと金で3一金を取り、後手が△3一同金と応じたところ。
 ここで西山女流三冠の手が止まる。
 先手が勝ちに近づいているのは間違いないが、注意しなければならないのは、①△2七歩成▲同玉に△3九銀などと打たれて、上下挟撃されること。②△3九銀(角)▲同玉△2七歩成とされ、5八の馬と2七のと金による挟撃。③玉が2六や2五までおびき出されて2筋に飛車を回られたり、香を打たれて頓死(頓必至)を食らうこと。
 いずれも、実現は困難だとは思うが、後手玉は穴熊なので「ゼの形」(絶対詰まない状態)」で一発食らう危険性がある。

 ここで西山女流三冠は▲3三角成!
 もし羽生九段が解説していたら「ギョエ~」と叫びそうだ。
 わざわざ角を渡さなくても、▲5三歩成で充分に思えた。(おそらく最善手)
 テレビ画面の評価値(勝率)グラフも少し縮んだ。
 おそらく、▲5三歩成だと△3四銀▲4二と△2七歩成▲同玉△2三飛が嫌だったのではないだろうか。

 以下▲2六歩に△2五歩(変化図5)や△3五馬(変化図6)が相当な迫力。

 △2五歩(変化図5)には、一例として▲1八玉△2六歩▲2八歩(変化図5-2)で大丈夫。

 また、△3五馬(変化図6)にはガッチリ▲1七金と受けておく。さらに重ねて△2五歩と打ってくる手には、そこで▲3一ととする手が間に合う。(△2六歩と取り込まれても▲2八玉と引いて大丈夫。図面省略)

 "大丈夫”と言っても、実戦的にはいろいろ危険。
 ここは、自玉の安全と、寄せのスピードを重視して▲3三角成の方が良いと判断したのだろう。"実戦的好手”と評価できる。
 ▲3三角成に木村九段は△同金と応じたが、△3三同桂の方が良かったかもしれない。一瞬、玉の腹が空くので弱体化が強いように感じるが、▲6一飛には△2一金寄で2二の金との連携が良く、抵抗力が強い。それに、3三の桂が先手玉への足掛かりとなる可能性がある。

 本譜は▲3三角成△同金▲6一飛△2二金▲4二成桂△8四歩と進み、ここで▲3一金!

続く
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2024年度NHK杯将棋トーナメント1回戦 西山女流三冠-木村九段 その5

2024-07-02 17:33:08 | 将棋
「その1」「その2」「その3」「その4」………大概、「その3」ぐらいで疲れてくる……)

風向きが変わったとはいえ、形勢は互角。

 ここで龍の逃げ方に迷う。
 おそらく最善手は▲5八飛で、次いで▲5四龍。
 西山女流三冠の▲5五飛は後手の飛車の捌き(△6四飛)を防ぎも見た手だが、△8八角と打たれる手があり、やや損だった。
 この△8八角に気が進まないが▲6六銀と投入し、△8六角成にも▲6五角と中央から後手陣に対して支配力を強める方が良かったようだ。本譜は▲5六龍と躱したが、これだと0手で△7七角と打てたことになる。(▲6六銀は気が進まないが……)
 しかし、この後、木村九段も飛車の引き場所を間違えたらしく、後手有利→互角に。
 ただし、時間切迫の中、最善手を追及するのはナンセンスで、勘(大局観)を基に、指し手の方向性を見極めることが肝要。評価値や最善手という要素は、考慮時間がたっぷりある時に意味を成すのであって、時間切迫時は指し手(指し方)の分かりやすさの重要度が高くなる。第一感を信じ、読み進め、貫けることが勝利につながることが多いような気がする。もちろん、相手の読み筋(狙い筋)にもアンテナを張り、読み抜け、錯覚をなくすことも大事なので、30秒の秒読みは大変である。

 そんな均衡状態を崩す手を木村九段が指してしまう。それが、△8六角成。
 直後、▲5五角(第11図)と西山女流三冠が天王山に角を打つ。
 角にとって5五の地点は最も利き数が多い(16マス。隅にいる場合は8マス)。尤も、角は頭が丸いので5五に居ても負われることが多く、一歩譲って4六とか6四に位置して存在感を示すことの方が多い。
 とにかく、第11図の5五の角は光り輝いている。▲2五歩△同歩▲2四歩△同銀▲2三歩△同金▲3二桂成(▲5二桂成)のあき王手の狙いがあり、場合によっては▲7七銀と打ち馬の捕獲。さらに、▲7三桂成や▲7四歩と後手飛車のコビンを攻める手も見ている。その上、先手玉の弱点の3七もカバーしている。

 この角打ちは△8六角成として角の利きをそらしてしまったため生じた。代えて△8八角成とする方が良かった。ただし、△8八角成は▲5五角打に対し△同馬とする手を残したのではなく、△8九馬▲3六馬△9八馬と指す含みらしい。すぐに香を取らずに△8九馬(飛車取り)▲3六飛と後手の攻めの拠点の3六の歩を取り払わせて、△9八馬と香を取る。3八に歩があるので、次に△3三香(△3四香)が厳しいという仕組みなのだろう。
続く
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2024年度NHK杯将棋トーナメント1回戦 西山女流三冠-木村九段 その4

2024-07-01 10:38:52 | 将棋
「その1」「その2」「その3」………大概、「その3」ぐらいで疲れてくる……)

 木村九段はここで△3一金と金を逃げたが、この手が問題だった。
 ここは、△6四飛と遊び駒の飛車を世に出すのが急所だった。
 この手に対し、飛車成りを防ぐ▲6五歩は△4四飛と切ってしまうのが決め手となる。何しろ先手の期待の4四の桂と遊び飛車の交換は、単純な駒の価値を逆転させる働きの差がある。しかも、先手は切ってくださいと、一手をかけて▲6五歩とお願いしたことになる。▲6五歩△4四飛に先手は▲同歩と応じるしかなく、そこで△4五桂が痛すぎる!この桂打ちの場所は飛車切りによって生じているのが、先手にはなんとも悔しい。
 そこで△6四飛には先に▲3二桂成と金を取る。
 以下△3二同銀▲3一銀△6九飛成▲4二金(変化図1)と後手玉に絡みつく。

 後手としては穴熊玉が引っ張り出され、守備は銀1枚で、しかも4二に金と絡みつかれ、嫌な展開だ。
 しかし、図で△6四角の王手角取りが好手。これには▲5五角と打ち返す手があるが、△同角▲同飛に再度△6四角(変化図2)と打って、ほぼ後手勝勢。

 変化図2から、先手も▲3二金△同玉▲4三銀△同玉▲4四歩△同玉▲5四金(変化図3)と強引に6四の先手の角を排除する頑張りがあるが、

 △3三玉▲6四金に△2九金▲2七玉(▲2九同玉は△4九龍▲3九合駒△1七桂以下詰み)と足場を作っておいて、△6四龍と手を戻して後手勝勢。
 上記の手順の△3三玉に▲6四金と角を取る前に▲4四角と足掛かりを作っておいて角を取る手も考えられるが、▲4四角には△3四玉と角にプレッシャーを掛けて逃げる手が巧手で、やはり後手勝勢。


 木村九段は変化図1以下の絡みつきの嫌味が気になり、△3一金と金取りを受けたが、その金は浮き駒状態で、▲5一飛成と金当たりの先手で飛車を成り込まれてしまう。上記の変化とでは、彼我の飛車の働き具合のプラスマイナスが大きく、後手"ほぼ勝勢”から"互角”に戻ってしまった。

 大きく棋勢を損じたとは言え、金取りを△4一金打と龍をはじき返した形勢は、まだ互角で、《これでも指せる》という木村九段の判断は間違いとは言い切れない。ただ、彼我の飛車の勢いの差もあり、将棋の流れは悪い。それに、こういう指し方は木村九段らしくないなあ……と。
続く
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2024年度NHK杯将棋トーナメント1回戦 西山女流三冠-木村九段 その3

2024-06-29 09:27:15 | 将棋
「その1」「その2」

 後手から角馬交換を迫られたところ。
 先手としては、せっかくの馬なので交換は避けたいが、▲6三馬や▲7二馬だと△6六とと引かれて後手が盤石となる(△6六とは銀取りであるが、それよりも次の△5六とが無茶苦茶大きい)
 なので、西山女流は▲4四同馬と応じ、△同銀に▲6七飛とと金を消去する。
 これで、中央の折衝は一応一段落。先手の主張点は3歩得と飛車の働きだが、7六の銀が遊び駒か標的になる可能性が大。さらに、後手の穴熊に対して先手の"桂なし高美濃”と玉の薄さが気になる。しかも、手番は後手。
 ここで後手に有効な手がなければいいのだが……

 △4五銀!▲同歩△5五桂!

 一瞬、駒損になるが、飛車金両取り!これが痛そう。藤井九段もこの両取りをずっと懸念していた。
 以下、▲5七飛△4七桂成▲同銀で第8図。

 いいように先手がやられたようだが、この図になってみると後手が良いのは間違いないが、思いのほか難しい。
 ▲4七同銀と銀で取ったのが、形は乱れるがしぶとい手だった。
 上記の手順で、厳密に言うと△4七桂成と金を取る前に△5九歩成を利かせておく方が良かった。これに▲同飛なら△7七角と打つ手が入りそう(ゼロ手で7七に角が設置)。▲5九同金と取るのは大きな利かされとなる(第8図で△5九歩成に▲同金としたのと同じ)
 とは言え、第8図以下、△3五歩と突いた手が急所にを突いたように見え(実際は"やや後手よし”程度)木村九段が勝ちそうな気配。
 対して西山女流三冠は▲4四桂。局後、西山女流は「▲4四桂と打てて手ごたえを感じた」旨の言葉を発していたが、おそらく、悪手(▲5三飛成または▲3五同歩が良かった)。
 ▲4四桂に木村九段は△3六歩と取り込み▲3八歩と西山女流三冠が受けた第9図。


 木村九段の次の一手が問題だった。(続く
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【追記】……国会欠席にも係わらず、ボーナスや給与(歳費)などを支給

2024-06-28 16:23:54 | 将棋
「事件で起訴され、国会欠席でもボーナス319万円……根本的な政治改革は?」の追記です)
国会に出席しなかったのに、議員給与(歳費)などが支給された議員と言えば……

①河井案里氏……2019年に参議院議員に初当選したが……
2020年7月8日、公職選挙法違反(買収)の罪で克行と共に東京地裁に起訴される。
2021年1月21日、東京地裁は懲役1年4か月、執行猶予5年の判決。
2021年2月3日、公選法違反の罪で有罪判決を受けたことを受け、案里は政策秘書を通して参議院に議員辞職願を提出。同日の本会議で辞職が許可される。
被告、検察ともに控訴しなかったため、翌日5日の0時に有罪が確定。当選無効となり、2026年2月まで5年間の公民権停止となった。

 議員活動中に河井氏に支払われた「歳費」「期末手当」「文書通信交通滞在費」は合計4942万円あまりであり、当選無効になってもこれを返納する義務はない

②ガーシー氏(東谷義和氏)……2022年、ガーシーはNHK党から参議院選挙に比例区で立候補。党名簿登載者第1位の得票数で当選したが……
当選以降も正当な理由なくドバイに滞在し続け、一度も日本に帰国せず登院することはなく、2023年3月15日、参議院はガーシー議員の「除名」処分を決定し、これにより、この日限りで参議院議員を失職。
2023年3月16日、3人の著名人を自身の動画で常習的に中傷、脅迫したとして暴力行為法違反(常習的脅迫)や名誉毀損などの疑いで、動画撮影に携わった知人の男性とともに警視庁捜査2課より逮捕状請求がなされる。
同年4月14日、国際刑事警察機構よりガーシーは国際手配された。
同年6月4日、ドバイから成田国際空港に帰国し逮捕。

 初当選のあと、一度も国会に登院しなかったガーシー氏には、議員の給与にあたる歳費やボーナスにあたる期末手当など、あわせて2013万円余りが支給されている
 除名され議員の資格を失ったことから、3月分の歳費と「調査研究広報滞在費」は在職日数に応じた日割りとなり、参議院はすでに支給された今月分のうち68万円余りを返納するようガーシー氏に求めたとされている。
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2024年度NHK杯将棋トーナメント1回戦 西山女流三冠-木村九段 その2

2024-06-26 15:56:24 | 将棋
2024年度NHK杯将棋トーナメント1回戦 西山女流三冠-木村九段 その1の続きです。


 前記事最終の第2図よろ、△4二角▲6六角と進むが、この2手は疑問手だったようで、後手角は3三に居た方が反撃しやすく、替えて△9二香と▲5五角と出られた時に当たりをかわしておく方が良く、また、▲6六角では▲5四歩△同飛▲5六銀△8四飛▲4五歩の方が良かったようだ。と言っても、おそらく評価値でマイナス100点ぐらいで、誤差の範囲。評価値より、自分の指向で指した方が良い場合も多い。現に、実戦の▲6六角ではなく、▲5四歩△同飛▲5六銀△8四飛▲4五歩と進んだ場合には後手角は3三の方が良いというだけで、実戦の▲6六角に△5五歩▲同角に△6四歩と受ける手を用意している。
 解説の藤井九段は、この▲5五角と進むのなら《振り飛車良し》と見ていた(私も同感だったが)。
 それは△6四歩には▲5四歩のいわゆる“筋の手”▲5四歩(第3図)があり、気持ちよく捌けそうだからだ。

 図から△5四同銀に▲4四角で、5八の飛車による銀取りと次の▲6二角成(飛車取りになる)の両狙いがあり、先手良しに見える。
 ところが、後手木村九段に堂々と△6五歩と歩を取りながら伸ばされてみると…

 手順に銀取りを受けられ、▲6二角成(飛車取り)には△6四飛と馬取り!で返される手がある。
 西山女流三冠は馬取りの返し技を避けて▲7一角成としたが、あまり良い手ではなかった。ここは、▲4五桂と跳ねる手が最善で、以下△5七歩▲同飛△7五角と進みほぼ互角だったようだ(第3図もほぼ互角)。
 また、第4図から▲5三歩と指し、△5一歩と受けるなら▲2二角成△同金▲7四金と変則飛車銀両取りを掛ける手もありそうだ。以下△7四同飛▲同歩△6六歩で難解。
 さらに、角を成るなら、相手の思惑に嵌まるようでも▲6二角成の方がよく、△6四飛に▲4四馬(銀取りの逆先)△5五歩▲6八飛と辛抱した方が優った。▲7一角成で先手の不利がはっきりしてしまった。
 と言っても、多分、“誤差”の範囲。実戦も△3三角(”誤差の範囲”の疑問手)だった(△7五角が正着)。
 △3三角以下、▲6二馬△7三歩▲6四歩△6六歩(第5図)と進む。

 △3三角が疑問手だったので、"やや先手不利”に形勢が戻ったが、第5図に至る▲6二馬△7三歩が余計な利かしだったようで、また"先手不利”になってしまった(理由は後述)。

 △6六歩(第5図)に対する応手が悩ましい。①▲7六銀、②▲7八銀、③▲5四飛、④▲6六同銀などが見えるが…
①▲7六銀は、西山女流三冠が着手した手(その後の指し手は後述)
②▲7八銀は、以下△6四飛▲5三馬△6七歩成▲5四飛△同飛▲同馬△7八との進展が考えられる。①▲7六銀に対して、この順で進めると、銀が7六にいるので取ることができない。
③▲5四飛と銀を取る手には、後手は△6七歩成と銀を取り返す。と金を作られたうえ、3三の角に成り込まれては先手陣が持たないので▲4四銀と押さえ込みを図るが、△4二角と引かれて今度は6四への飛び出しが残るので▲5三銀不成とそれを防ぐことになるが、飛車と馬の焦点にわざわざ銀を進めるのでは冴えない。
④▲6六同銀は△6六同角なら▲5四飛と銀を取り返す意図だが、△6六同角ではなく△6四飛とされると6二の馬当たりにもなっているので▲5三馬とするしかなく、以下△6六飛▲5四飛と銀を取り合うが、これは8四で遊びそうだった飛車に成り込まれてしまうので面白くない。
 これが先の"▲6二馬△7三歩”を入れた罪である。

 本譜は▲7六銀△5七歩▲同飛△5六歩▲同飛△5五銀▲5九飛△6七歩成と進む。この歩成に▲6七同銀とできないのがつらいところ(△6四飛の馬銀両取りがある)。
 西山女流三冠は▲4五桂と攻め合いに懸けるが、木村九段は飛車を歩で止め、△4四角と馬との交換を迫る。

続く
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2024年度NHK杯将棋トーナメント1回戦 西山女流三冠-木村九段 その1

2024-06-25 17:22:25 | 将棋
 木村九段は好きな棋士(しかも、かなり)で、西山女流三冠も応援したい棋士。
 どっちを応援しようか?……ここは木村九段に我慢していただこう………
 まあ、木村九段が勝っても嬉しいので、けっこう、気楽に観戦していた。

木村研究会と藤井研究会
 解説は藤井猛九段。
 振り飛車の研究、理論、経験を数値化して合計すれば、トップに位置するのではないだろうか?
 「居飛車に急戦の気配がなければ、こう指すところ」
 「急戦に対しては、こう備えておく方がよいです」
と解説(↑文言の再現は適当です)、研究、理論、経験による序盤の体系が染みついている。振り飛車等の西山女流の解説者にはうってつけの棋士だ。

 本局に限らず、解説の合間に、棋士の情報を語ることが多い。本局も面白かった。
「西山さんは、木村九段によく教わったと語っていましたね。
 弟子の方が強くなること自体は嬉しいことだが、それは自分関係ないところで活躍する場合で、自分と対局が当たって、それで勝たれてしまうと、(教えるんじゃなかったと)後悔します。
 で、木村九段の研究会は“鍛錬”で厳しいです。で、私はやさしいんですよ。
 西山さんが属していた研究会(木村研究会?)の奨励会員は3人全員居飛車党で、振り飛車党1人対居飛車党3人では(気分的に)苦しい。
 なので、優しい私は《振り飛車等だけの研究会》を作り、西山さんを誘ったんです」
「今度西山さんに、《どっちの研究会が役に立ったか?》訊いてみたい」

 木村九段は強くするため鍛え、藤井九段は将棋を指す環境(精神的なモノを含めて)を整えた。二人ともやさしい。

異形の戦い

 将棋は予想通り、西山振り飛車対木村居飛車となったが、通常とは違う構え。(最近では、居飛車対振り飛車を“対抗形”と呼ぶが、どうもしっくりこない)
 木村玉は居飛車穴熊だが、2三銀・2二金の位置が異形。これは、左美濃から居飛車に変形した為。
 西山女流三冠の8五桂・7六銀形も珍しい。これは、7五歩と伸ばした西山布陣に対し、△6四銀と歩を取る指向を見せた為、銀で7五の歩を支えた為。さらに、その銀を活かすため、桂を9七~8五と跳ねて、歩を取った。
 木村九段の2二金型穴熊は「▲3一銀と絡まれてあっと言う間に寄ってしまう弱点もあるが、そうならないケースもある」と藤井九段。

 ただ、本局は、やはり弱点が気になるのか、木村九段は先手の動きを見ながら穴熊の強化を果たした。
 対する西山女流三冠は、8五の桂を安定させ後手の飛車の捌きを抑え、▲5五歩と中央に動きを求めた。
 “先手の1歩得”対“後手玉の堅さ”だが、やや後手有利というのがAIの評価(多分、プロ棋士の評価もそうだろう)。ただし、振り飛車党にとっては、このくらいは許容範囲。
 ただし、先手は8筋に桂、7筋に銀があり、中央より右(玉側)が戦場になる可能性が高いので、その銀桂が取り残される危険性がある。

振り飛車の呼吸
藤井九段「先手は7六に銀をおいたままで、決戦になっては勝てません。銀は6七に引いておきたい」と再三解説。「銀が6七にあれば、5八で交換になった場合、▲5八同銀とするのが味が良い(▲5八同金となるのとは雲泥の差)」

 その藤井九段の解説が聴こえたのか、西山女流三冠は▲6七銀!(もちろん、解説が聴こえるはずはなく、振り飛車としては当然の一着)
続く
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おそらく、300万人がグハッっと…

2024-05-14 21:05:27 | 将棋
300万人という数は適当です。
実際はもっと多いかも(←「そんなことねえよ」と突っ込むところです)

 難解な将棋をややリードし、着実にリードを広げていった中盤戦。
 夕方、羽生九段の残り時間は残り50分(持ち時間は4時間)、対する飯島八段は8分。優勢のうえ、残り時間もある。
 ここで41分を投入し▲7四銀!最善手、または最善手に近い手であろう。
 これで、残り時間は9分対8分と持ち時間の優位はなくなったが、勝ちを読み切ったのならそれでよい。

 ところが、その数手後、優位をふいにする悪手を指し、一気に形勢互角。
 先の長考の読み通り指し進めたのだが、その手順に読み抜けがあったと思われる。
 ▲7四銀(この手は最善手だった)に30分、更にその後、20分ほど読み直せば、間違えずに指し進めることができたであろう。

 それでも、まだ互角。しかし、この互角というのは、AIがはじき出す数値で、互いSに最善手を指した場合の形勢判断。
 人間の目からすると、飯島八段の指し手は分かりやすく、羽生九段は最善手を続けるのは難しそうだ。
 しかも、決めに行って決まらなかった……流れが悪すぎる。

 駄目かも……60%ほど負けを覚悟した。でも、飯島八段も残り時間は少ないので、羽生九段の強さを考えると、5分以上に勝てるかもと、気を取り直して観戦。
 その期待に応え、、残り時間の少ない中で、ほぼ最善手を指し続け、逆に飯島八段が間違え、勝勢に。
 それでも、将棋は一手の読み落としで簡単に逆転するので、気は抜けない。

 ……当然、羽生九段も気は抜かなかったが、自玉の頓死筋を見落とし、大逆転負け!

 グハッ!

 飛車を渡して必至を掛けたのが間違いで、飛車を渡したので、頓死してしまった。


 勝つことだけを考えれば、あそこで50分も考えずに時間を残しておくべきなのだろうが、あそこで勝ちを読み切る(最短の寄せを目指す)のが、羽生九段の羽生九段たる所以なのだろう。

 これで、王位への挑戦の道は閉ざされた。勝っていれば、4勝1敗で渡辺九段と並び、紅組優勝を掛けて戦うことになっていた。(それに勝つと、白組優勝者とプレーオフ。勝てば挑戦)
 まあ、あと2勝必要なので、今期はがなかったということで……
 リーグ残留ができて良かったと考えよう。(6人リーグで、上位2位までが残留)

 紅組は、最終局を前にして斎藤(慎)八段と佐々木(大)と藤本五段が3勝1敗で並んでいたが、
 斎藤八段が藤本五段との1敗決戦を勝利し、佐々木七段も佐藤(天)九段に敗れたので、斎藤八段が優勝。
 挑戦者決定戦は渡辺九段vs斎藤八段となった。
コメント (2)
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