英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

竜王戦第七局④

2009-01-04 10:43:02 | 将棋
 前回よりかなり間が空いてしまいましたので、前回の最後の部分を再掲載します。
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 BS中継解説の藤井九段と淡路九段がいろいろ考えて、「▲6二金が決め手かも」と言ったので、ほっとした途端、△6五香!(第10図)。

 次に△6七銀成が厳しいので▲6六歩と受ける一手。そこで、△5三飛と逃げられてみると、5四に打つ歩がない。これを先に△5三飛と手順前後すると▲5四歩に△6五香と打っても▲5三歩成で先手の勝ちになる。
 △5三飛に▲6五歩と香を取っても、△8七歩成が厳しく、そこで▲5四香には金2枚取られ、6三にも銀の質駒があるので、先手勝てそうにない(実際は先手が残っているらしい)

 「変調ですね」(淡路九段)
 「こんなことなら、先ほど▲2三歩のところで▲5二金と打ったほうがよかった」(藤井九段)
 「これはちょっと変でしょう」
 「ここ(6二)に金を打つくらいなら、こっち(5二)に打ったほうが(良かった)」

 おいおい、「▲6二金は決め手かも」と言ったところやんか!
 もちろん、大盤での解説は大変なので、両九段を責めるところではないが、羽生ファンとしては「え~、そんなあ!」と叫びたくなる。

 戻って▲6二金では▲6四角が正着で、以下△5三香▲5四歩で先手が良いとのこと。

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 実戦は第10図以下、▲6六歩△5三飛▲6五歩△6七銀成▲同金△5八金▲7八玉△6五桂(第11図)と進む。

 第11図は先手玉は後手の駒に包囲されて風前の灯。後手に金気1枚と香車1枚持たれると詰んでしまう。しかも、6二と6三に質駒がある。そして何より、遊んでいた後手の8四の角と7三の桂馬が働いてきたのが大きい。取りにいった筈の後手飛車も健在だ。羽生名人、ピンチ!

 ▲6六金!玉の懐を広げた手だが、終盤で防戦一方の手では苦しい。しかし、羽生名人は「おそらくこれが最善手」と『囲碁将棋ジャーナル』で解説したように、ギリギリ踏みとどまっている。
 渡辺竜王は△4八金と銀を取る。これに対し▲4八同飛と応じると△5九飛成で収拾がつかなくなるので、▲5四香(第12図)。

ようやくこれで飛車を捕獲したが、金銀香と投資した上、その間、銀を取られ遊んでいた後手の角桂が働いてきてしまった。羽生ファンとしては生きた心地がしなかった。
 第12図より△6二角▲5三香成△5三角(第13図)と進む。

 先手は、ようやく飛車を手に入れたがその間に後手の角に6二→5三と金香を取り逃げされてしまった。相当流れの悪い先手だが、この第13図は先手勝ちの局面だったらしい。改めて図を見ると、先手の飛車金交換の駒得(歩損)。遊び駒が多いのと歩切れが先手のマイナス要素だが、駒得の上手番を握っているのが大きい。それに大駒の威力も再認識させられる局面で、先手玉は小駒だけではなかなか寄らず、後手玉は大駒の威力で詰み筋が生じている。
コメント
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