見ごたえのあるドラマでした。
①現代の痴漢逮捕、起訴、裁判の現状に対する問題提起
②痴漢の冤罪に陥った主人公とその家族の葛藤と絆、さらに、人としての尊厳
このふたつが大きなテーマと言える。
①-Ⅰ 痴漢逮捕時の歪んだ取り調べ、扱い
裁判員制度発足により、裁判の基本的姿勢を知ったが、それとはかけ離れた現状。「刑が確定するまでは無罪、被告側は無実を立証する必要がなく、検察側に立証責任がある。疑わしきは罰せず」などの精神は、痴漢に関しては、存在しない。
被害者の女性の証言があれば逮捕され、痴漢をしていないという証明をしないと有罪になるそうだ。
ドラマでの警察は、被害者には事情聴取はしていたが、主人公に対しては自供を求めるだけで、主人公の言い分を精査するのは勿論、聞こうともしない。
留置所では、番号で呼ばれ、検察への移動時には、手錠で拘束される。囚人扱いだ。
①-Ⅱ 自供のみを強要する理由(私の推測なので、間違っているかもしれません)
無実を立証するのも、痴漢行為を立証するのも、相当困難だとかっが得られる。現場を再現しようにも、ビデオでもない限り、その車両にいた不特定多数の乗客を集め、証言を取るなんてほとんど不可能である。
また、裁判において、被害者にその状況の証言を求めるのも、残酷である。
つまり、裁判になるのは相当面倒。しかも、日本においては、裁判官、検事、弁護士は不足しているという状況が、ずさんな捜査・裁判を後押ししている。
①-Ⅲ 自供するか、否認するかで、身柄拘束の期間に雲泥の差がある
(やっていなくても)罪を認めれば、示談の可能性もあるし、早期保釈もされるが、主人公は否認した。そのため、逮捕時から起訴されるまでは勿論、裁判になっても、被害者への証言が終わるまでは保釈がみとめられず、半年後にようやく保釈された。
そのため、会社には半ば強制的に依願退職を強いられ、裁判費用もかかる。さらに、裁判でその99%が有罪になるという現状。
一方、自供さえすれば、ほとんど拘束されることなく、うまく立ち回れば、被疑者の社会的損害は軽度で済む。
それにしても、逮捕から初公判まで、実に3か月を要し、その初公判もたった15分で終わってしまったのは、ひどいとしか言いようがない。
②尊厳ある生き方と、家族の絆
主人公の無実が立証されることを願ったのはもちろん、主人公が苦しい状況に屈せずに、「私はやっていない」と言い続けてほしく、言い続けた主人公、そして、それを支えた家族にジーンとした。
特に、1審で有罪となり、控訴するかどうかで悩んだ末、「控訴する」と子供たちに告げた時、娘から「そうだよね、だって、やってないんだもんね」と、また、息子から「お前は好きに生きろって、父さんが言ったんだよ。だったら、見本見せてよ」と励まされるシーンには、胸が熱くなった。
さて、例によって、疑問に感じた点がいくつかあったが…
①無実の決定的な証拠となったのが、痴漢行為を撮る盗撮マニアが偶然主人公の事件を撮っていて、その盗撮マニアが捕まり起訴された証拠品を、主人公の友人の弁護士がたまたま関わっていて、映っていた被害者と思われる女子高生のカバンに提げられていたぬいぐるみが、姉が作った世界に1つしかないものであったという、奇跡だった。
ちょっと、出来すぎだろうと思ったが、そんな奇跡が起こらない限り、無罪の立証はできないという意図だろう。
②『誰かが嘘をついている』というタイトルだが、実際、間違い(逮捕ミス)はあっても、嘘をついた者はいないように思え、このタイトルには違和感を覚えた。
しかし、「誰も嘘をついていないのに主人公はこんなに苦しんでいる」=「何かがおかしい」=「誰かが嘘をついている」=「痴漢などの犯罪が多く、それに追われる警察・検察・裁判所・弁護士の現状がおかしい(嘘)」と解釈すればいいのかな。
③無実が立証され、無罪が確定し、喜ぶ被告たちの傍らで、被害者の女子高生がが「じゃあ、いったい誰がやったっていうのよ」とつぶやいた。
確かに、痴漢行為をされ、すごく嫌で悲しかったと思う。痴漢は絶対許せない。しかし、彼女自身が現行犯逮捕し、主人公やその家族は、人生崩壊、家族崩壊の危機に陥った。その罪の大きさを実感し、謝るべきだろう。彼女には、非常に大きな憤りを感じた。
そう呟いた彼女に、主人公は何かを言いかけたが、弁護士に制された。制されなかったら、どういう言葉を彼女に掛けたのだろうか?
それにしても、痴漢冤罪の怖さを、まざまざと実感し、恐ろしく感じた。
①現代の痴漢逮捕、起訴、裁判の現状に対する問題提起
②痴漢の冤罪に陥った主人公とその家族の葛藤と絆、さらに、人としての尊厳
このふたつが大きなテーマと言える。
①-Ⅰ 痴漢逮捕時の歪んだ取り調べ、扱い
裁判員制度発足により、裁判の基本的姿勢を知ったが、それとはかけ離れた現状。「刑が確定するまでは無罪、被告側は無実を立証する必要がなく、検察側に立証責任がある。疑わしきは罰せず」などの精神は、痴漢に関しては、存在しない。
被害者の女性の証言があれば逮捕され、痴漢をしていないという証明をしないと有罪になるそうだ。
ドラマでの警察は、被害者には事情聴取はしていたが、主人公に対しては自供を求めるだけで、主人公の言い分を精査するのは勿論、聞こうともしない。
留置所では、番号で呼ばれ、検察への移動時には、手錠で拘束される。囚人扱いだ。
①-Ⅱ 自供のみを強要する理由(私の推測なので、間違っているかもしれません)
無実を立証するのも、痴漢行為を立証するのも、相当困難だとかっが得られる。現場を再現しようにも、ビデオでもない限り、その車両にいた不特定多数の乗客を集め、証言を取るなんてほとんど不可能である。
また、裁判において、被害者にその状況の証言を求めるのも、残酷である。
つまり、裁判になるのは相当面倒。しかも、日本においては、裁判官、検事、弁護士は不足しているという状況が、ずさんな捜査・裁判を後押ししている。
①-Ⅲ 自供するか、否認するかで、身柄拘束の期間に雲泥の差がある
(やっていなくても)罪を認めれば、示談の可能性もあるし、早期保釈もされるが、主人公は否認した。そのため、逮捕時から起訴されるまでは勿論、裁判になっても、被害者への証言が終わるまでは保釈がみとめられず、半年後にようやく保釈された。
そのため、会社には半ば強制的に依願退職を強いられ、裁判費用もかかる。さらに、裁判でその99%が有罪になるという現状。
一方、自供さえすれば、ほとんど拘束されることなく、うまく立ち回れば、被疑者の社会的損害は軽度で済む。
それにしても、逮捕から初公判まで、実に3か月を要し、その初公判もたった15分で終わってしまったのは、ひどいとしか言いようがない。
②尊厳ある生き方と、家族の絆
主人公の無実が立証されることを願ったのはもちろん、主人公が苦しい状況に屈せずに、「私はやっていない」と言い続けてほしく、言い続けた主人公、そして、それを支えた家族にジーンとした。
特に、1審で有罪となり、控訴するかどうかで悩んだ末、「控訴する」と子供たちに告げた時、娘から「そうだよね、だって、やってないんだもんね」と、また、息子から「お前は好きに生きろって、父さんが言ったんだよ。だったら、見本見せてよ」と励まされるシーンには、胸が熱くなった。
さて、例によって、疑問に感じた点がいくつかあったが…
①無実の決定的な証拠となったのが、痴漢行為を撮る盗撮マニアが偶然主人公の事件を撮っていて、その盗撮マニアが捕まり起訴された証拠品を、主人公の友人の弁護士がたまたま関わっていて、映っていた被害者と思われる女子高生のカバンに提げられていたぬいぐるみが、姉が作った世界に1つしかないものであったという、奇跡だった。
ちょっと、出来すぎだろうと思ったが、そんな奇跡が起こらない限り、無罪の立証はできないという意図だろう。
②『誰かが嘘をついている』というタイトルだが、実際、間違い(逮捕ミス)はあっても、嘘をついた者はいないように思え、このタイトルには違和感を覚えた。
しかし、「誰も嘘をついていないのに主人公はこんなに苦しんでいる」=「何かがおかしい」=「誰かが嘘をついている」=「痴漢などの犯罪が多く、それに追われる警察・検察・裁判所・弁護士の現状がおかしい(嘘)」と解釈すればいいのかな。
③無実が立証され、無罪が確定し、喜ぶ被告たちの傍らで、被害者の女子高生がが「じゃあ、いったい誰がやったっていうのよ」とつぶやいた。
確かに、痴漢行為をされ、すごく嫌で悲しかったと思う。痴漢は絶対許せない。しかし、彼女自身が現行犯逮捕し、主人公やその家族は、人生崩壊、家族崩壊の危機に陥った。その罪の大きさを実感し、謝るべきだろう。彼女には、非常に大きな憤りを感じた。
そう呟いた彼女に、主人公は何かを言いかけたが、弁護士に制された。制されなかったら、どういう言葉を彼女に掛けたのだろうか?
それにしても、痴漢冤罪の怖さを、まざまざと実感し、恐ろしく感じた。