英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

女流名人位戦③ ~逡巡~

2011-02-21 11:11:07 | 将棋
清水女流六段の「ゴキゲン中飛車はずし」の▲6八玉に対し、
里見女流名人は8分の考慮で△5四歩(第2図)


 △5四歩は「ゴキゲン中飛車はずし」の▲6八玉を無視、否定した手である。つまり、「▲6八玉はゴキゲン中飛車封じになっていない」と言っているのである。

 さて、これに対し清水女流六段は▲2六歩と自重。
 3手目▲6八玉、4手目△5四歩の周辺については、『女流名人位戦① ~“ゴキゲン中飛車はずし”返し』『女流名人位戦② ~4手目の岐路~』でくどいほど述べたが、今一度、手の意味を会話風に再現しよう。

▲6八玉「△8四歩と来られたらちょっと損だけど、あなたには居飛車が出来ないでしょ!とにかく、これであなたの得意なゴキゲン中飛車は防いだわよ」
△5四歩「いいえ、そんな手(▲6八玉)では私のゴキゲン中飛車は封じることは出来ないわ。さあ、馬を作ってみなさいよ。退治してあげる」
 簡単に言えば、清水女流六段が喧嘩を売り、それを里見女流名人が買ったわけである。……しかし、清水女流が喧嘩(乱戦)を回避してしまった。

 もちろん、これも勝負の駆け引きのひとつで、外野がとやかく言うことではない。
 それに、5手目の▲2六歩を「あら、“ゴキゲン中飛車はずし”の対策は万全のようね。じゃあ、止めておくことにするわ。あなたの態度(研究)を訊いてみただけなの」
 「里見女流名人がゴキゲン中飛車を回避すれば儲けもの。プラス気合勝ち」と里見女流名人の出方を打診してみただけとも受け取れる。
しかし、、▲2六歩の考慮時間が13分だったことを考えると、違う推測をしてしまう。
 「えっ、△5四歩?馬を作られても大丈夫だというの?久保二冠が指したのは知っていたけれど、あなたが△5四歩と応じてくる思わなかったわ。
 もしかしたら、研究十分……な、何も、危ない橋を渡ることはないわ。こ…今回は、み、見逃してあげる」

 全然違っていたら、ごめんなさい。

 13分という考慮時間は「持ち時間3時間」を考えると、無視できない長さだ。これが、1、2分だったら、先の言葉(推測)のような軽い打診と考えられるが、13分の考慮時間には、清水女流六段に逡巡が感じられる。
 実際に逡巡があったかは不明だが、里見女流名人がそう感じたとしても不思議ではない。気合勝ちの展開と言えよう。

 私は清水将棋に対する引っかかりをずっと感じているが、この▲6八玉~▲2六歩の指し口は、それをさらに強くさせた(以下④へ)
コメント (2)
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