「落ちゆく巨星」、もっと言えば「腐りゆく果実」………
老いて正常な判断ができなくなった秀吉、これに三成&淀の悪行コンビが輪をかける……
正直、ここ数回の『軍師官兵衛』はパスして、≪もう「関ヶ原の戦い」を詳細にやってくれ≫と……
しかし、こういう陰の部分を描いてこその大河である。
★非業の死を遂げる秀次とその縁者たち
わが子可愛さに拾(秀頼)の将来に少しでも影を差す者を排除すべく、秀次に難癖を付け蟄居を命じる。
秀吉は蟄居に留めるつもりだったが、淀の口車に乗り一族根絶やしに成敗。
秀吉……自分でも「異常」だとは自覚しつつ制御できない
淀………わが子可愛さに秀吉、三成を操縦。「~~して(せよ)」と請わず(命ぜず)、仄めかして誘導する狡猾さ
淀の本心が“わが子可愛さ”ではなく、父母(浅井、お市)の復讐で“豊臣家の滅亡”だったら面白いのになあ
三成……淀の意図(命令)を読み取り、実行するが、なんとなく、≪そこまでするの?≫と少々辟易している模様
三成にとっては、「淀>秀吉」のように描かれているように感じるが、これだと関ヶ原の戦いが面白くない。
「淀>秀吉」と記したが、自分(三成)はどの位置に来るのか?「淀>秀吉>自分」のい思えるが、このドラマでは三成の心の内が示されていないのでよくわからない。
秀吉の天下取り以降、今回の大河の図式が「官兵衛VS三成」(実情は一方的に三成が官兵衛を疎み排除←あくまでもドラマ内)であるが、だとしたら、もっと三成の内面を描くべきだ。
単に「官兵衛=善、三成=悪」では、あまりにも浅はか。
三成を官兵衛に抗するものとして描く。それは、三成を“悪の権化”にしてもかまわない。しかし、上辺だけの悪、「敵」として描くのではつまらない。やはり、敵もきっちり描いて“魅力あるライバル”として存在してこそ面白いのである。今回のそれは、単に“嫌な奴”である。
★よくわからない秀次の成敗
秀吉は正常な判断ができなかったとして、秀次の成敗は今後の豊臣家にとってマイナスのはず。
実力者・家康に対して、何の警戒心もなかったのだろうか?秀次よりもはるかに警戒を要する人物である。
朝鮮出兵の件でもほとんど消耗せず、他の諸将は疲弊し、無茶な命令を出した秀吉(三成)に遺恨を持った。
ここで、形ばかりではあったが関白の秀次を排除は、家康に漬け込むすきを十二分に与えたしまったことになる。
また、官兵衛が秀次の相談役なら、官兵衛が秀次に乗っかって天下取りに動く危険性もある。
朝鮮出兵、秀次排除が三成主導であったなら、三成は相当な愚か者である。“秀吉を絶対視”あるいは“熱烈淀君”だったら理解ができるが。そういう風にも描かれていない。一番感じるのは“官兵衛へ嫉妬”である。
★官兵衛の処遇と官兵衛の本心
秀次の相談役の官兵衛、“秀次成敗”は官兵衛にまで及ぶのだが、秀吉が「信頼できる家来が誰もいないよぉ」と召し抱える。
官兵衛も“秀吉の尻拭い”を覚悟。
領地は播磨、これは秀吉の温情だったのだろう。しかし、石高や地位は低く、世間は官兵衛を軽んじた。
秀吉は半分耄碌(もうろく)しており細かい処遇は三成に任せたのであろう。嫌な奴。
さて、“秀吉の尻拭い”であるが、秀吉の最期はもちろん、予想されるその後の動乱の決着を付けるつもり(隠居していては参加できない)。
そんな官兵衛であるが、今回(前回を含めて)の秀次の件は冴えない。
秀次を助けるのなら、拾が生まれて秀吉の態度が変わった時点で、下手な小細工(婚姻)をせずに関白を返上させるべきであった。
結局、秀吉を説得せず(不安要素・家康を挙げて形式的にも秀次を関白に留めておくべき)、蟄居→切腹に至らしめてしまった。
「天下の為に伏見に行かれませ。それが天下を治める関白殿下のお役目にございます」と、秀次を説得。
「天下の為」なら秀吉を説得、家康を警戒すべきであろう。
【その他の感想】
・福島正則と太兵衛の“勝負”は面白かった。
・明との和睦決裂の際、小西行長が「秀吉の書状を官兵衛が燃やした」よ暴露しないかヒヤヒヤだった。
・官兵衛が被害を最小限にするため挑戦に赴く……ヤン・ウェンリーみたいだ。
・小早川隆景、退場。11月に入ると、主要人物の退場が目立ち始めるなあ。
老いて正常な判断ができなくなった秀吉、これに三成&淀の悪行コンビが輪をかける……
正直、ここ数回の『軍師官兵衛』はパスして、≪もう「関ヶ原の戦い」を詳細にやってくれ≫と……
しかし、こういう陰の部分を描いてこその大河である。
★非業の死を遂げる秀次とその縁者たち
わが子可愛さに拾(秀頼)の将来に少しでも影を差す者を排除すべく、秀次に難癖を付け蟄居を命じる。
秀吉は蟄居に留めるつもりだったが、淀の口車に乗り一族根絶やしに成敗。
秀吉……自分でも「異常」だとは自覚しつつ制御できない
淀………わが子可愛さに秀吉、三成を操縦。「~~して(せよ)」と請わず(命ぜず)、仄めかして誘導する狡猾さ
淀の本心が“わが子可愛さ”ではなく、父母(浅井、お市)の復讐で“豊臣家の滅亡”だったら面白いのになあ
三成……淀の意図(命令)を読み取り、実行するが、なんとなく、≪そこまでするの?≫と少々辟易している模様
三成にとっては、「淀>秀吉」のように描かれているように感じるが、これだと関ヶ原の戦いが面白くない。
「淀>秀吉」と記したが、自分(三成)はどの位置に来るのか?「淀>秀吉>自分」のい思えるが、このドラマでは三成の心の内が示されていないのでよくわからない。
秀吉の天下取り以降、今回の大河の図式が「官兵衛VS三成」(実情は一方的に三成が官兵衛を疎み排除←あくまでもドラマ内)であるが、だとしたら、もっと三成の内面を描くべきだ。
単に「官兵衛=善、三成=悪」では、あまりにも浅はか。
三成を官兵衛に抗するものとして描く。それは、三成を“悪の権化”にしてもかまわない。しかし、上辺だけの悪、「敵」として描くのではつまらない。やはり、敵もきっちり描いて“魅力あるライバル”として存在してこそ面白いのである。今回のそれは、単に“嫌な奴”である。
★よくわからない秀次の成敗
秀吉は正常な判断ができなかったとして、秀次の成敗は今後の豊臣家にとってマイナスのはず。
実力者・家康に対して、何の警戒心もなかったのだろうか?秀次よりもはるかに警戒を要する人物である。
朝鮮出兵の件でもほとんど消耗せず、他の諸将は疲弊し、無茶な命令を出した秀吉(三成)に遺恨を持った。
ここで、形ばかりではあったが関白の秀次を排除は、家康に漬け込むすきを十二分に与えたしまったことになる。
また、官兵衛が秀次の相談役なら、官兵衛が秀次に乗っかって天下取りに動く危険性もある。
朝鮮出兵、秀次排除が三成主導であったなら、三成は相当な愚か者である。“秀吉を絶対視”あるいは“熱烈淀君”だったら理解ができるが。そういう風にも描かれていない。一番感じるのは“官兵衛へ嫉妬”である。
★官兵衛の処遇と官兵衛の本心
秀次の相談役の官兵衛、“秀次成敗”は官兵衛にまで及ぶのだが、秀吉が「信頼できる家来が誰もいないよぉ」と召し抱える。
官兵衛も“秀吉の尻拭い”を覚悟。
領地は播磨、これは秀吉の温情だったのだろう。しかし、石高や地位は低く、世間は官兵衛を軽んじた。
秀吉は半分耄碌(もうろく)しており細かい処遇は三成に任せたのであろう。嫌な奴。
さて、“秀吉の尻拭い”であるが、秀吉の最期はもちろん、予想されるその後の動乱の決着を付けるつもり(隠居していては参加できない)。
そんな官兵衛であるが、今回(前回を含めて)の秀次の件は冴えない。
秀次を助けるのなら、拾が生まれて秀吉の態度が変わった時点で、下手な小細工(婚姻)をせずに関白を返上させるべきであった。
結局、秀吉を説得せず(不安要素・家康を挙げて形式的にも秀次を関白に留めておくべき)、蟄居→切腹に至らしめてしまった。
「天下の為に伏見に行かれませ。それが天下を治める関白殿下のお役目にございます」と、秀次を説得。
「天下の為」なら秀吉を説得、家康を警戒すべきであろう。
【その他の感想】
・福島正則と太兵衛の“勝負”は面白かった。
・明との和睦決裂の際、小西行長が「秀吉の書状を官兵衛が燃やした」よ暴露しないかヒヤヒヤだった。
・官兵衛が被害を最小限にするため挑戦に赴く……ヤン・ウェンリーみたいだ。
・小早川隆景、退場。11月に入ると、主要人物の退場が目立ち始めるなあ。