英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

緊急取調室 3rd SEASON 第1話(15分拡大スペシャル)「私が撃ちました」

2019-04-13 16:10:09 | ドラマ・映画
 タイトルが『緊急取調室』なので、取り調べ室での容疑者との心理戦がメインになり、少々じれったさを感じてしまう。推理や捜査がないかと言うとそうではなく、取り調べ後の感想や居酒屋での飲み会で事件の裏を読み、都合よくこき使われてくれる“モツナベ”コンビ(渡辺刑事・速水もこみち、監物刑事・鈴木浩介)が捜査してくれる。
 じれったさに関しては、天海祐希とおじさん4人(田中哲司、大杉漣、小日向文世、でんでん)の味のあるやり取りが補うというのが、1st seasonからの感触。
 でも、大杉さんが亡くなり、大きな空洞感を感じてしまう。新メンバーで玉垣刑事(塚地武雅)が加入したが、彼の人間観察力は評価できるとしても、スマホ越しに相手を観るというのは、好きになれない。


【事件の表面上の経緯】
 傷害致死・死体遺棄事件で懲役12年の判決が確定し、護送中だった受刑者・野本雄太(淵上泰史)が逃走。主婦・藤沢さおり(市川由衣)を人質にして民家に立てこもった野本は、なぜか交渉役に玲子を指名する。しかも、この事件は期せずして、警視庁を揺るがす事態へと発展! なんと、たったひとりで家内に突入した玲子が、野本に対して発砲し、死なせてしまった。
【事件の裏にあるモノ】
・野本の事件の真犯人はさおりで、今回の立て籠もりはさおりに自首するよう説得するためのモノだった。
・刑事部参事官・菊池玲子(浅野温子)は野本に接見し、野本の訴えを訊いたが、握りつぶした
・その接見を担当した刑務官が遺書を残して自殺。遺書に接見の内容を記していた。自殺の大まかの経緯を後輩刑務官が把握していて、遺書の存在を知ることが出来た(かなり都合の良い展開)


 野本の事件の真相や刑務官の自殺はかなりのサプライズだが、最後の取り調べの前にネタをばらしてしまったので、クライマックスとしてのドキドキ感はなかった。
 現場の状況(発弾の間隔や角度)からも攻めてはいたが、刑務官の遺書がないと玲子の殺意は立証できないだろう(さおりの自白も玲子の殺意に結び付けるのは無理)。遺書の存在がかなり都合の良い展開で、脚本としては残念に感じた。


 
 浅野温子さんがゲスト。警視庁初の女性刑事部参事官・菊池玲子役。
「自分のやりたいことをやりたいようにやるためには権限が必要。権限は上に行かなくちゃ、得られない。
 みんな、自分がやりたいことをやって、なりたい自分であるために足掻いて生きている…(中略)
 ……こんなことじゃ、この国はダメになる。だから、警視庁という最大の組織を中から変えたかった」

 わけの分からない理屈である。
 “やりたいことをやりたいようにやる為に権限を欲する”という思想の持ち主(実際に真相を隠蔽し冤罪事件を生み、それを隠蔽するため殺人を犯した)が、警視庁のトップになったら、それこそ国がダメになるだろう。


 この弁明に対して、有希子(天海祐希)が
「だったら、どうして人の命を奪うようなことをしたんですか?
 参事官なら、自分の過ちに気づいていたはずです。踏みとどまれたはずです。
 完璧な人生を目指していたんじゃないんですか?」
と説教していたが、この弁舌も不満。
 有希子の通夜での玲子の忠告もクソのようなものだったし、今回の一連の玲子の行動もまったく酌量の余地なしだった。
 “参事官なら踏みとどまれたはず”というような玲子の美徳を感じるような描写はほとんどなかった。



 それにしても、ドラマ冒頭で取り調べを受けていた女……腹立つなあ
   

【ストーリー】番組サイトより
 全取り調べの完全可視化が実行される日を数カ月後に控えた警視庁では、各署の幹部を集め、被疑者への接し方を穏やかにするよう、極端な指導が行われていた。ところが幹部たちが見学する中、「緊急事案対応取調班(通称・キントリ)」の取調官・真壁有希子(天海祐希)は反省の色がまったく見られない被疑者を、激しい剣幕で一喝。警視庁初の女性刑事部参事官・菊池玲子(浅野温子)から、しばらく取り調べを控え、新任の教育係に専念するよう命じられてしまう。
 その矢先、傷害致死・死体遺棄事件で懲役12年の判決が確定し、護送中だった受刑者・野本雄太(淵上泰史)が逃走。主婦・藤沢さおり(市川由衣)を人質にして民家に立てこもった野本は、なぜか交渉役に玲子を指名する。しかも、この事件は期せずして、警視庁を揺るがす事態へと発展! なんと、たったひとりで家内に突入した玲子が、野本に対して発砲し、死なせてしまったのだ。
 人質救出のためにはやむなし…との見方が世間に広がる中、キントリは事件の経緯を記録するため、玲子の取り調べを開始する。キントリの面々が目を光らせる中、終始落ち着いた様子で応じる玲子。殺害時の状況に関する証言もさおりのものと一致しており、職務執行法に抵触する点は見受けられない。だが、彼女が交渉役に指名された理由はもちろん、突入から発砲までの時間の短さが、どうも引っかかる有希子たち。しかも、玲子はどういうわけか威嚇射撃は行わず、2発も発砲して…!?

脚本:井上由美子 
演出:常廣丈太
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