英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

2023箱根駅伝 往路

2023-01-02 17:15:23 | スポーツ
激戦だったが、3冠を目指す駒大の地力が上回って、往路を制した。

 今年の前評判は、出雲、全日本を制した駒澤大が最有力。順当に力を発揮すれば、総合優勝は固い。他のチームの状況によっては、独走、ぶっちぎりの優勝も考えられる。
 対抗は、昨年覇者の青山学院。層の厚さでは、駒澤に引けを取らず、チーム全体として《走力を発揮する》能力は優れていて、《20㎞以上を10人が走る》という箱根駅伝の特性を考えると、駒澤大学に対抗できる。
 この2校に続くのが4本柱(5本柱)を擁する國學院で、更に順天堂中央が追う。ちなみに中央は「往路優勝を狙う」と公言しているので、往路にメンバーを固めるのかもしれない。


【1区】
 1人が飛び出し、集団が追うという1区の展開という割とよくある展開となった。
 で、今回は、飛び出した選手がハイペースではなく、ほぼ100%、つまりベスト記録に近いペースで走り、なぜか、他のチームは追わずに、スローペースでジリジリ離されていくというパターン。
 飛び出した選手やチームにもよるが、今回は学連選抜の選手なので離されても構わないという状況。(学連選抜でなくても、チーム力としては低い大学の選手が飛び出した場合は、有力チームをマークして追わないことが多い)

 という上記の考え方は理解できるが、こういう展開を見ていて思うのは……
《駅伝選手って、頭がよくないのでは?》と思ってしまう。(ごめんなさい)
 1区を任されたランナーとしては、一番避けたいのは、「1区で大きく遅れて、レースの出鼻をくじかれて、ペースがつかめず、レースを壊してしまう」事。
 なので、慎重になるのは分かる。しかし、ハイペースで飛び出したのならともかく、今回は想定内のペース……と言うか、おそらく上位チーム選手が予定していたペースだった。
 なのに、ついていかずに1㎞3分を超えるスローペース。普段、1㎞2分50秒あたりを想定して練習をこなしてきているはずで、3分を超えるスローペースだと逆に不自然な走りとなって、ペースを乱してしまうこともある。
 チーム力が充実している駒澤は、危険を冒さず1区をトップの見える範囲でタスキを渡せば十分なのだが、強い駒大に勝とうと思うのなら、リードを奪える可能性のある区間であれば、できるだけ駒大にリードを奪う必要がある。
 チームによっては「1区はトップの見える範囲でタスキを渡せればよい」という戦略で1区の選手を配置したのなら、集団に身を任せれば良い。しかし、1区で優位に立ちたいという選手起用なら、スローペースにつき合わず、その選手の100%のペースで走らなければ意味がない。そもそも、1㎞2分50秒台ペースの練習を積んできたのに、1㎞3分を超えるスローペースで本番を走るのでは、何のための練習だったのか?

 「集団の中で走れ」という戦略のチーム、あるいは、走り出したが調子が良くないという選手もいるだろうが、残りの20チームで誰一人追わなかった……で、冒頭の馬鹿にするような言葉になってしまったのである(ご容赦ください)
 しかも、このパターン(やたらスローペースで展開するパターン)はよくある。

 結局、1区終盤、学連選抜を明治と駒澤が捉え、1区1位は明治、9秒差の2位で駒澤、飛び出した学連選抜は15秒差の3位と粘った。
 中央4位(トップと18秒差)、順天堂6位(19秒差)、青学7位(20秒差)、國學院は12位(32秒差)だった。

【2区】
 エース区間というにふさわしい各大学のエースが揃った。
 駒澤・田澤、青学・近藤、中央・吉居兄、順天・三浦(五輪3000障害7位)、東京国際・丹所、國學院・平林、山梨学院・ムルア、創価・ムルワ、東海・石原。

 襷をもらうと中央・吉居はハイペースで飛ばし、トップの明治、駒澤を抜き去る。駒澤・田澤は慎重なペースで吉居との差は開いていく。ムルアとムルワもハイペースで追い上げ、青学・近藤はそこまでハイペースではないが、追い上げていく。
 田澤は終盤の権太坂の上りを考え、抑えていたのだろう。上り坂に差し掛かるとピッチを上げ、ハイペースが祟った吉居に迫り、一気に抜き去る。これで、駒澤の独走が始まるのかと思ったが、地味に近藤が追い上げていた。ムルアとムルワはハイペースが祟ったのか、足が鈍り、近藤に抜かれていた。近藤は吉居を捉え、トップの田澤を視野に入れる。ただし、吉居も近藤に付き、走りを立て直す。苦しい状況だったが、良いタイミングで近藤に引っ張ってもらうことができたのは幸運だった。
 おそらく田澤は上り坂でエネルギーを消耗したのだろう。最終盤で足取りが重くなり、近藤、吉居に迫られる。さらに、吉居がピッチを上げ近藤を引き離して田澤に迫る。近藤も粘り、トップ二人に迫る。この2区終盤のエースの競り合いは見応えがあった。
 2区は1位中央、2位駒澤(3秒差)、3位青学(トップと4秒差)。國學院6位(1分24秒差)、順大9位(1分50秒差)。
 区間順位は中央・吉居が区間賞、青学・近藤が1秒差の2位、駒澤・田澤は3位(12秒差)、東海・石原は4位(47秒差)、山梨学院・ムルアは5位(1分差)、創価・ムルワは6位(1分7秒差)、國學院・平林7位(1分10秒差)、東京国際・丹所11位(1分44秒差)、順天・三浦12位(1分49秒差)。

【3区】
 トップでタスキを受けた中央・中野が2位グループで並走する青学・横田と駒澤・篠原を少しずつ離していく展開で、湘南大橋(18.1㎞地点)では22秒差になっていた。そこから横田が遅れ始め、逆に篠原は追い上げ始め、中継点(21.4㎞)では10秒差まで縮めた。青学・横田も粘って26秒差で踏みとどまった。
 4位國學院(1分4秒差)、5位早稲田(2分11秒差)、6位創価(2分14秒差)、順天堂は8位(2分21秒差)。

【4区】
 駒澤は準エースの鈴木が中央・吉居弟を捉え、しばらく並走した後、スパートを掛け突き放す。このまま駒澤独走かと思ったが(2度目)、青学・太田が後方で離されず走っていた。4区終盤に入ると太田がピッチを上げ追いつく。中央。吉居弟も粘り太田に追いすがる。
 結局、一旦10mほど離された駒澤・鈴木が中継点直前で抜き返し1位でタスキを渡す。青学が1秒差の2位、中央は39秒差の3位。
 区間新で区間賞のヴィンセントが4位まで追い上げた東京国際が4位(トップとは55秒差)。5位は國學院(2分18秒差)、6位早稲田(3分19秒差)。
 ヴィンセントは、これで2区、3区、4区の区間記録保持者となった。でも、何となく……何となく…2区はともかく、3区、4区と意識的にずらして、3区間の記録保持を狙いに行った気がする。

【5区】
 駒澤・山川と青学・脇田がほぼ同時に襷をもらって並走していたが、2㎞過ぎで脇田が早くも遅れだす。4㎞付近で3位の中央・阿部にも抜かれ、どんどん後退していく。このままだと、トップとは4分ぐらい離されそうな感じだったが、中盤から立て直し、何とか2分3秒差の3位で踏みとどまって、望みをつないだ。
 中央・阿部は15秒差まで詰めるが、そこからが縮まらない。「阿部は下りが得意で最高点を過ぎて、下りに入ると追いつくだろう」と解説していたが、駒澤・山川は逆に30秒差まで広げてゴール。駒澤が往路優勝!
 インタビューで山川は「登りでは詰められたが、下りは間違いなく離せると思っていた」と話していた。

 見応えのある往路だった。
 駒澤が優勝に近づいた感があるが、まだまだ予断は許さない。
 2位中央、3位青学は逆転の可能性があるが、中央は往路に主力を投入したと思われる。
 駒澤の3冠を阻止するとしたら青学だが、復路のエントリーを見ると実績があるのは7区の佐藤(前回8区2位)、10区中倉(前回10区1位、区間新)のみ。サブの岸本(前回7区1位)、中村(前回9区1位、区間新)の起用できれば、充分、逆転の可能性がある。
 駒澤の復路はそれほど強力ではないが〔訂正:9区山野は強力、8区花尾、10区青柿も相応の走力〕、サブにスーパールーキーの佐藤圭汰が控えている。
 あとは、山下りの6区が勝敗を大きく左右するかもしれない。
 4位の國學院は5本柱のうち、残っているのは2人。2強に割って入る可能性はある。


【往路 全結果】
1駒沢大 5:23:10(19年ぶり4回目 往路優勝)
2中央大 5:23:40
3青山学院大 5:25:13
4国学院大 5:27:10
5早稲田大 5:27:33
6順天堂大 5:27:41
7東京国際大 5:27:49
8法政大 5:28:53
9城西大 5:29:08
10創価大 5:29:15

11東洋大 5:30:42
12明治大 5:31:29
13東海大 5:31:40
14帝京大 5:32:20
15国士館大 5:33:16
16山梨学院大 5:33:39
17大東文化大 5:36:01
18日体大 5:36:33
19専修大 5:38:35
20立教大 5:38:51

※関東学生連合 5:36:52(オープン参加)

【往路 区間賞】
▽1区:富田峻平(明治大)1:02:44
▽2区:吉居大和(中央大)1:06:22
▽3区:中野翔太(中央大)1:01:51
▽4区:ビンセント(東京国際大)1:00:00★区間新記録★
▽5区:山本唯翔(城西大) 1:10:04★区間新記録★
コメント (2)
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