英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

「将棋とは、最後に……」 ~藤井五冠の1日3勝を見て、つくづく思った~

2023-01-16 17:54:04 | 将棋
少し前(“遠い昔”のような気も…)「将棋とは、最後に羽生が勝つゲーム」と言われていたが、
昨日の藤井五冠の“1日3勝”を見て………
  ……つくづく「将棋とは、最後に藤井くんが勝つゲーム」だと思った。


 昨日(1月15日)、藤井五冠はNHK杯将棋トーナメント3回戦・対佐藤天九段、朝日杯将棋オープン戦本戦1回戦・対阿久津八段、同本戦2回戦(準々決勝)・対増田康六段をすべて勝ち、1日で3勝を上げた。
 NHK杯は収録なので、実際は1日2戦2勝なのだが、主観的には3戦3勝である。


 昨日は都道府県対抗女子駅伝があったので、3局すべては観なかったが、佐藤天九段戦(NHK杯)は、難解な将棋で、終盤は何度も形勢が揺れたが、最後は藤井五冠が勝利
 持ち時間が短いNHK杯戦は、秒読み、しかも30秒の秒読みになるので、AIの評価値が乱高下する。しかし、勝率が90%でもそれは最善手をさせた場合で、それ以外の手では評価値(勝率)が急降下してしまうケースが多々あるので、「勝率90%」=「勝勢」とは言えない。もちろん、勝率90%で候補手の4手が88%以上の手で、5番手でも80%あるような局面もある。
 つまり、NHK杯で勝つには、《勝ちにくい将棋になるのを避けること》《終盤で決定的な見落としはしないこと》《勝機を逃さないこと》が肝要で、もちろん、《優れた大局観》と《読みの精度とスピード》が必須となる。
 で、少し前の羽生九段は、《最後には勝ってしまう》という状況だった。(NHK杯に限らず)

 朝日杯の阿久津戦は未見、対増田戦は終盤から観戦した。
 中継画面を見ると……後手の増田康六段の玉がいない!……いや、先手陣にいた。
 画面の評価値グラフは、途中増田康六段が勝勢だったようだが、観戦を始めた局面は、逆に藤井五冠の勝勢になっていた。
 一昔前なら、AIは入玉の形勢判断が苦手だったが、現在は数値通りの形勢なのだろう。
 でも、秒読みなので波乱はあるかもしれないと思ってみていたが、順当に勝った。

 棋譜を再現してみると、先手の藤井玉はほぼ受けなしで、後手増田玉に詰みがあるかどうか……
 評価値が“増田康六段の勝勢”を示していたので、後手玉には詰みがないのだろう。ただし、正確に受ける、逃げなければ、容易に詰んでしまうのが、将棋の怖さ。
 と言っても、益田六段はトップレベルの棋士なので、詰まされてしまうことは考えにくい。
 棋譜再現を続けると、藤井五冠の王手ラッシュを浴びる後手玉が、上部に逃走。
 途中▲3二飛成の王手に対して、3三に金合いをしたので、少し混戦模様に(金合いでは銀合いが正着……でも、後で▲4三龍と擦り込まれる手を防いで普通は金を打つ)。それでも、その後、増田六段は的確に指し、優位は保つ。その道中で先手玉を追い詰めていた馬を消されてしまうが、馬を消されても、依然、増田六段が大優勢なのだが、評価値とは裏腹に、正着を指すのが徐々に難しいという局面になっていった。そして……

 藤井五冠の王手ラッシュが始まってから、40手目についに悪手を……
 おそらく、私が観戦を始めたのがその直後で、先述したように、勝勢になった藤井五冠が勝ち切った。



「将棋とは、最後に藤井くんが勝つゲーム」だなとつくづく感じた一日だった。
コメント (2)
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