英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

相棒 season22 第9話「男の花道」

2023-12-21 16:59:55 | ドラマ・映画
「暴力団と“暴対法&暴排条例”」 「暴力団と“警察&社会”」との関係を描き、
それぞれの立場から意見を言わせ、考えさせるのがテーマか?……

 私のこれまでの何となくの認識として、報道やワイドショー、ドラマなどでは、呼称として「暴力団」、最近は「反社」(反社会的勢力…“組織”ではなく、なぜか“勢力”)と呼ぶことも増えてきたが、今話では“ヤクザ”が多用されていた。
 この3用語が全く同一のものを指すのかは、私には判断できないが、脚本の輿水氏は敢えて多用したのではないだろうか?(ただ、『こてまり』の女将・茉梨の口から“ヤクザ”が連発されるのには違和感を感じた)
 「ヤクザ」として登場した広域指定暴力団『扶桑武蔵桜』は、“武闘派”として知られているらしい(“武闘派暴力団”て、何?)
 “武闘派”はともかく、(偏りはあったと思うが)所謂、義理・人情も重視した昔ながらの“ヤクザ”の流れを汲む暴力団であろう。(表現としては良すぎるかもしれないが)“昔気質”のヤクザである。

 冒頭で書いたように《それぞれの立場から意見を言わせ、考えさせる》展開なのだが、警察関係者からは辛辣な極論(右京は“暴論”と評した)を言わせ、最後に美和子が暴力団寄りの記事をアップしていた。輿水氏の思惑は分からないが、美和子の記事が本音かも……
 
 
東京地検、検事・階 真
「刃物を振り回したヤクザに対して、素手で反撃した。結果、死に至らしめることになったが、急迫不正の侵害があり、防衛の意思も明白。過剰だったとは言い切れない。“罪とならず”で、不起訴処分が相当である」
「刃物と言っても、事前に準備してあったものではなくて、室内にあった果物ナイフでしょ。振り回したと言っても、威嚇だった可能性もあるわけだし。先に手を出したのは、弓生崇智のほうですよ」(←右京)
「一般人に素手で向かってこられて、刃物で応戦したら、威嚇なんて認めません。ヤクザが刃物を振り回したら、即アウト。“殺意あり”です。一般人とは違います
「それはまた乱暴な。“法の下の平等”が泣きますよ」(←右京)
「仕方ありませんね。“社会のクズ”たるヤクザですから」
「重ねて暴論、恐れ入ります」(←右京)
「心臓マッサージのことは聞いてますよね」(←亀山)
「それについては、善良な市民であるが故の条件反射であったと考えるのが合理的だ。当人が明確に“過剰な逆襲だった”と意識していたとは、言い切れない」

組織犯罪対策部
 扶桑武蔵桜の遺体引き取りを阻止。角田課長も嫌がらせ的挑発。
「若頭を殺されて、頭に血が上っているだろうから、血迷った真似をしないとも限らない。もし向こうが実力行使にでたら、こちらは淡々とぶっ潰すだけ。仁義なき戦いだよ」
 しかし、厳格・公正な内村部長が、横槍
(組長と部長の旧知の仲だったが、“昔のよしみ”便宜を図ったのではなく)
“デュー・プロセス”……相手が誰だろうと斟酌などなく、適正な手続きを貫いたのだろう

組織犯罪対策部、部長・朝戸彰良
「盛大な葬儀を執り行われなないように目を光らせること。もしも、奴らに協力するようなおバカな業者や市民がいたら、遠慮なくショッ引いちゃいましょうか。そのための暴力団排除条例ですし。
 今時、暴力団でいることの惨めさを、存分に味合わせてやりましょう


(若頭の死の真相が解明された後)
所詮、死んだのはヤクザ
 暴力団が合法組織なんて、笑えますよね。
 ヤクザとして社会に存在することが罪じゃないなんて、馬鹿げた話だ」


「解散届が正式に届きました。
 暴力団が一つ消滅…非常に目出度い。では、三本締めで、お手を拝借

ヨ~、シャシャシャン、シャシャシャン、シャシャシャン、…パチパチパチ……

捜査一課・伊丹
「ヤクザに向かって発砲したところで、大した問題にはならねえ」

『こてまり』の女将・小出茉梨
「暴排条例については、“何だかなあ”と思ってますよ。
 ヤクザを社会から追い出す責任を、一般市民の私たちに押し付けてどうするんだあって話」

(政界と繋がりがあった小出茉梨が“一般市民”を謳うのには少し抵抗を感じた)

『こてまり』での会話
記者・美和子、女将・茉梨、刑事・亀山
「暴対法ができてから、警察とヤクザの“持ちつ持たれつ”の関係もすっかり解消されてしまったようだ」(美和子)
「おかげで、ヤクザがらみの未解決の事件が格段と増えた。ヤクザからなかなか情報が取れなくなったから」(茉梨)
「様々問題はあれど、暴力団がそれなりに弱体化しているのも事実ですよ」(亀山)
「気の毒だわ、弓生さんて方。暴排条例の犠牲者よねえ。ヤクザと取引した一般人を罰しようとするなんて、それがそもそもナンセンス」(茉梨)


亀山美和子の記事
『お先真っ暗、やくざ稼業  暴力団に未来はあるのか?』(記事タイトルのみ)


若頭の死の真相
 弓生が襲い掛かったドラマの冒頭シーンの後、難なく撥ね返された。
 《刃物を振り回した若頭に、素手で反撃し、その結果、絞殺に至った》という正当防衛説は疑わしい。
 刃物に関しては、右京の《威嚇のため、ナイフをチラつかせた後、床に放り投げた》説は、一応、辻褄が合うが、それでも、背後に回って絞め技を決めることは難しそうだ。
 そこで、右京が出した結論は、ナイフを振り回したのは弓生で、《若頭がそのナイフを躱して弓生の腕を捻じってナイフを弓生の手から剥がす際に、バックを取られてしまった》と考えるのが合理的。
 正当防衛ではなく、過剰防衛でもなく、殺人(傷害致死)だった
初めから殺意があったのか?それとも、初めから《正当防衛に見せかけた“計画殺人”だったとも考えられるが、少し計画に無理がありそう。

 事件が落着した後、右京たちは悦に入っていたような感じだったが、《ナイフを手にしたのが、若頭ではなく弓生》というのは、まず考えそうな仮説。
 非常に疑わしい正当防衛の主張だったので、その検証を真っ先に行うのが普通なのでは?
 物証がなく、弓生の自供だけというのも、どうなのか?
 そもそも、右京たちがもっと早く真相を暴いていたのなら、組長は復讐を果たそうとはしなかったはず。

 
【その他の感想】
・(組対部長の朝戸が「内村部長はまだ予断を許さない状態」だと聞いて)
「結局、悪は滅びるんだなあ……内村さんのことじゃありませんよ。扶桑武蔵桜のこと」
容体を聞いてすぐに、「悪は滅びるんだなあ」なんて言葉を発したら、角田課長でなくても、目をむくだろう(わざと、あのタイミングで発したとしか)
・「“守り刀”ていう風習があるのは知ってるかい?死人を守るために、胸元に置いているんだが」と組長が言ったシーン、右京なら「守り刀ていう風習が…」辺りで察してほしかった。
・“悪”部長が復活しちゃったなあ…

【ストーリー】番組サイトより
暴力団幹部を一般人が殺害!?
報復の危機に特命係立ち向かう


 弓生(赤ペン瀧川)という青年実業家が、闇金トラブルでヤクザと揉め、組の№2を絞め殺す事件が発生。
 問題の組は、武闘派として知られる広域指定暴力団『扶桑武蔵桜』。その組長である桑田圓丈(大石吾朗)は、正義に目覚める前の内村(片桐竜次)と昵懇の仲にあり、特命係とも浅からぬ因縁を持つ人物。警察は弓生への報復を警戒し、実際、組の若い衆は暴発寸前だったが、トップである桑田はなぜか静観を決め込んでいた。
 そんな中、検察は弓生の正当防衛を認め、無罪放免を申し渡す。結果、弓生は警察の保護下から離れることに。それを知った内村は、右京(水谷豊)と薫(寺脇康文)に、弓生の身辺警護を指示。ボディーガードとして弓生に張り付くことになった右京と薫だったが、その矢先、桑田の子分から思い掛けない提案がもたらされる。

警察、検察、暴力団…絡み合う思惑
危険な護衛を押しつけられた特命係が
予想もしなかった事態に直面する!


ゲスト:大石吾朗 赤ペン瀧川

脚本:輿水泰弘
監督:橋本一



第1話「無敵の人〜特命係VS公安…失踪に潜む罠」(初回拡大SP)
第2話「無敵の人~特命係VS公安…巨悪への反撃」(拡大SP)
第3話「スズメバチ」
第4話「天使の前髪」
第5話「冷血」
第6話「名探偵と眠り姫」
第7話「青春の光と影」
第8話「センチメンタル・ジャーニー」
コメント (2)
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