英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

羽生情勢(12月26日) ~順位戦B級1組10回戦など~

2023-12-26 22:31:37 | 将棋
“ひとり表彰式”で盛り上がった達人戦(リンク記事の最後の方に少しだけ情報)の後は、
●久保九段 竜王戦1組 ランキング戦 2回戦 (12月7日)
○岡部四段 朝日杯 二次予選 1回戦(12月14日)
●近藤七段 朝日杯 二次予選 決勝(12月14日)
○島 九段 叡王戦 九段戦 3回戦(12月18日)
○豊島九段 叡王戦 九段戦 決勝(12月18日)
●木村一基 順位戦 B級1組 10回戦(12月21日)

 順位戦B1の対木村戦は……
①中盤の入り口辺りでは、やや有利→
②指し手の方向を誤り、やや不利→
③辛抱強く指して踏みとどまる→
④終盤、勝機が訪れる→
⑤急所で誤り、敗勢…敗局
 ……《羽生九段の負けパターンのひとつ》に陥ってしまった。
 ③、④の振れ幅は対局によって異なり、③は“踏みとどまる”ではなく“逆転、優勢に”というパターンも多く、④も“勝機が訪れる”程度ではなく、“優勢から勝勢を確立”という将棋も多い(そこから逆転負け)
 傍流として、④が夕休前で絶対優勢まで持っていきながら、夕休を挟んでの大長考で指した手が悪手で、その後踏みとどまり、勝機を掴みかけたものの、勝ち切れず敗局
というパターンもある。
 いや、このパターン(夕休付近での長考→悪手)の方が多い。

 以前も書いたが、終盤、時間切迫で勝ち切れないパターンが多く、さらに、夕休付近での長考後の悪手が多いので、そこはセーブして、寄せの段階で1時間10分は残していただきたい
 《熟慮して納得した手を指したい》《妥協した手は指したくない》という姿勢は棋士としては正しい。終盤に時間を残すために妥協して、時間を残してほしいというのは、ファンの我儘であろう。
 だが、勝つことに比重があるのなら、戦い方を少し変えた方が良いのではないだろうか?
・どちらが良いか分からずに迷う場合は、ある程度深く読んで、自分の大局観や指したい手を信じて決断を早くすべき
・AIの手は、筋は変だが最善手という場合が多いが(羽生九段もその傾向はある)、ある程度、棋士としての筋を優先した方が良い
・突き捨てを入れるかどうかは、非常に難しいが、《突き捨ては入れない方が良い》ことが多い。一方、《何故ここで突き捨てを入れる?》と思うこともあり(後で、その理由が判明する》、突き捨ての判断は非常に難しい。その場合は、ある程度考えて着手して、局後分析するぐらいで良いのでは?そして、それを積み上げて、“経験則”を積み上げる


 ……まあ、とにかく、もう少し寄せの段階で、時間と体力(脳力)を残してほしい。

 さて、B級1組は10回戦が終了
 13人なので消化対局数が8局または9局と揃わないが、成績順に並べると カッコ内の数字はランキング(昨年度成績による順位付け)で、同星の場合はこのランキングが優先される
1位 増田七段(13) 8勝2敗 残り対局 大橋 ーー 屋敷  
2位 千田七段( 8) 6勝3敗 残り対局 羽生 屋敷 大橋
3位 澤田七段( 4) 6勝4敗 残り対局 横山 佐藤 ーー
4位 糸谷八段( 1) 5勝4敗 残り対局 三浦 羽生 佐藤
5位 羽生九段( 6) 5勝4敗 残り対局 千田 糸谷 三浦
6位 山崎八段( 7) 5勝4敗 残り対局 木村 三浦 近藤
7位 屋敷九段(10) 5勝4敗 残り対局 佐藤 千田 増田
8位 大橋七段(11) 5勝4敗 残り対局 増田 横山 千田
9位 近藤七段( 3) 5勝5敗 残り対局 ーー 木村 山崎
10位 佐藤九段( 2) 4勝5敗 残り対局 屋敷 澤田 糸谷
11位 三浦九段( 5) 4勝5敗 残り対局 糸谷 山崎 羽生
12位 横山七段( 9) 1勝8敗 残り対局 澤田 大橋 木村
13位 木村九段(12) 1勝8敗 残り対局 山崎 近藤 横山


 9回戦でトップを快走していた増田康七段が澤田七段に敗れ、さらに3敗だった糸谷八段、羽生九段、大橋七段も敗れ、混戦模様になってきた。
 とは言え、増田七段は残り2局で1勝すると9勝となり、それを上回れるのは千田七段だけ(両者とも増田七段よりランクが上なので、同じ9勝でも上位になる)となり、2位以上が確定し、昇級が決まる。
 残り1席は大混戦。暫定順位2位の千田七段が有利なのは間違いないが、千田七段から暫定8位の大橋七段辺りまでは、昇級の可能性がありそう。


 羽生九段は、降級が決まっていた木村九段が相手だったので、勝ち星が大いに期待されたが、痛い1敗。しかし、同じ3敗者も敗れたので、昇級の可能性は意外と残されている。
 しかも、暫定順位が上の千田七段、糸谷八段戦が残っており、自力で逆転が可能。昇級するには、さらに増田七段か澤田七段を上回らなければならないが、羽生九段が残り3戦全勝すれば、《増田七段は2連敗》または《澤田七段は残り2局の内1敗》でA級復帰となる。
 なので、3連勝すれば、かなり昇級が期待できそう。とは言え、3連勝はなかなか難しいので、昇級には固執しないでおこう。でも、2勝1敗では終えてほしい。
コメント
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