「愚かですねえ。生まれや遺伝子に囚われ、希美さんが描く絵の美しさを、あなたは見ていなかった。……残念でなりません」
………右京が犯人に語り掛けた言葉に今話は集約される
なので、今回のレビューはこれで終了! しても良いと思うが、続けます。
【今話の要素、出来事(時系列ではなく、ドラマストーリー順)】
➀2か月前、小手鞠に誘われて一面の菜の花畑を訪れた右京が、そこで虻川希美(松井愛莉)という画家と出会う(巨匠・虻川徹の娘だった)
②画商の星が殺害される。ギャラリースタッフが遺体を発見。防犯カメラはスイッチを切られていた。
③現場にはからの額縁が残されていたが、中の絵はなかった(ギャラリーの絵ではないらしい)
④現場に血液が付着したイヤリングが残されており、血液鑑定は虻川洋子の娘である可能性は99%と判定
⑤洋子によると、娘の希美は半年前に家を出ており、現在は連絡が取れない
⑥希美の画風が最近は変わっていた
⑦虻川徹の死には《心臓発作が起きた時、なぜ、持っていた薬を飲まなかったのか?》という疑問があった。その時、現場にいた星に疑惑が掛けられていた
⑧第一発見者のスタッフによると、虻川徹の死を境に、希美への星の態度が冷たくなった
⑨事件当日、希美は『菜の花プロジェクト』に出す絵を持ってくる予定だったが、その絵が見当たらない
⑩その日に、倉田ひかりも絵を搬入する予定があった
⑪尋ねた右京たちに、ひかりは訝しげに二人の警察手帳を見た
⑫ひかりは主に15号サイズの絵を描いていた。残された額縁サイズも15号で、中の絵はひかりのモノだった(彼女が認めた)
⑬星はひかりを評価し支援。自身もひかりの絵を個人的に購入
⑭ひかりは希美との親密さを否定
⑮殺害時間の希美のアリバイが判明(イヤリングは別の時間に置かれたり落ちた可能性、希美が母親を庇って工作)
⑯虻川徹の遺産の多くを星が自分のモノにしたことに対して、虻川夫人・洋子は恨んでいたのでは?
⑰洋子は「一時期、希美とひかりは仲が良かった」
⑱洋子のアリバイ成立(喫茶店で小手毬と会食していた)
⑲その喫茶店に希美の絵が飾られていた
⑳喫茶店夫妻は虻川徹の大ファンで、星の勧めで希美の絵を購入していた
㉑喫茶店の希美の絵の中に、ひかりと同じモチーフの絵があった(ひかりと希美は親密)
㉒喫茶店の目玉メニューに、ホットケーキがあった
㉓捜査の結果、希美とひかりが仲が良かったことが判明(二人は同じイヤリングをしていたのでは)
㉔《虻川徹の死亡を境に、星の希美贔屓からひかり贔屓への手のひら返しが気になると右京
㉕右京、SNSでひかりの誕生日を知る(「(真相が)見えてきた」と右京)
㉖虻川徹死亡の現場を右京たちが検証。担当した警察官が「通行人が倒れた後の様子を見ていて、虻川氏のカバンを細工する様子はなかった」と
㉗当時の虻川氏の位置・向きや太陽高度(日差しの方向)を確認(右京「すべて繋がりました」)
★キーポイントは“アーレイシンドローム”
アーレイシンドローム
……光の感受性が高く、文字が読みにくくなる
カラーレンズを付けることで、症状が和らぐこともある(赤いサングラスを掛けていた)
【虻川徹の死の真相】
・絵を描くときはサングラスを外す
・菜の花を書いていた時、不意に正面から日差しを受けてしまい、めまいと頭痛におそわれる
・その時、心臓病の発作も起こってしまった
・さらに、慣れていない新調したばかりのカバンから心臓病の薬を取り出せなかった
これらの要素が重なり、虻川氏は命を落とした
【ひかりが虻川徹の実の娘】
・ひかりと希美は生年月日が同じ
・二人の生れた助産院が同じ
・台風があって浸水、皆が避難した。その際、二人が取り違えられた可能性が低くなかった
《二人が取り違えられた》ことを裏付ける根拠として、遺伝病と言われるアーレイシンドロームの症状がひかりにもあった。
上述の⑪「ひかりが警察手帳を目を細めて凝視した」点で右京はピンときたという。(その他、ひかりは常時、直射日光を避けていた)
ひかりと親しい希美も、ひかりと父の共通点を感じていた。
【星の死の真相】
ひかりが絵を持ち込んだ時、星がひかりの素性(虻川徹の実の娘)を公表すると告げる(プロフィールで子ども取り違えの可能性に気づき、探偵を使って確信を持った)
《血筋だけを評価する星に反感を感じ、絵を持ち帰ろうとして、諍いになり、額が割れて手を切り、イヤリングを落とす。それだけで、星を殺害してはいないと言う。
その経緯を希美が知った時、洋子から血液鑑定のことを知らされ、自分が洋子の娘ではないことが判明するのを恐れ、身を隠した
ひかりは「現場でバニラの匂いがしていた」ことを右京に告げる
犯人は喫茶店の加賀さゆり
・喫茶店の目玉メニューがバニラの香りが強いホットケーキだった
・虻川徹の偏執的大ファンで希美の絵を購入していたが、希美の絵を売ろうとしていた
・犯行時刻、小手鞠と虻川洋子は店で店主と対面会話したが、妻のさゆりの姿は見ていなかった(妻が厨房にいるように思わせる夫のひとり芝居だった)
……少し論拠に乏しい気もするが……
「愚かですねえ。生まれや遺伝子に囚われ、希美さんが描く絵の美しさを、あなたは見ていなかった。……残念でなりません」
虻川の血に拘り、星から騙されて希美の絵を買わされたことに激怒。星を責めるも星のつれない態度に激高、ナイフで刺した
一方、希美とひかりは……
「絵の菜の花畑に咲くの1輪だけ色の違う黒い花…もしや、虻川家に生まれたあなた自身のことを描いたのではありませんか?」(右京)
「…はい。でも、悪い意味じゃないんです。
どこに居ても、“私は私だ”って、そう思えるように描きました」
「花が素敵なら、咲く場所など、些細な問題なのでしょうねえ」(右京)
希美とひかりは「親のことを隠さずに生きる」と言う。
母の洋子も「あなたは、ずっと私と虻川徹の娘」と
謎を絡ませながら、《どんな環境(血筋)であっても、自分がしっかり生きれば花が咲く》というテーマがブレずに描かれていた。面白かった。
ラストも秀逸!
小手鞠が仲の良い洋子の為に希美の様子を見に行きたかったが、一人で行くと洋子の差し金と勘繰られてしまうので、小手鞠が右京を菜の花畑でのデートを誘ったと右京が指摘(根拠は、後姿しか見ていないのに、迷わず希美のもとに歩み寄ったこと)
「ん~…杉下右京に隠し事はできませんねぇぇ……半分正解です」
「おや、半分とは?」
「さあ…」
「半分とはまた、中途半端なことを言いますねえ。なぜ、半分なのでしょう?」
「知りませぇん」(亀山)
「何なんですか、あなた方はぁ」
《そりゃあ小手鞠さんはデート目的を兼ねていたんですよ(こちらが主かも)》と言いたげな亀山の表情だった。
………推理力は常人離れした鋭さなのに、恋愛に関しては常人離れの鈍さの右京だった………
第1話「警察官A~要人暗殺の罠!姿なき首謀者」(初回拡大SP)
第2話「警察官A~逆転殺人!真犯人は二人いる!!」(拡大スペシャル)
第3話「楽園」
第4話「2つの顔」
第5話「幽霊ホテル」
第6話「薔薇と髭の夜明け」
第7話「復讐者は笑わない」
第8話「瞳の中のあなた」
第9話「最後の一日」(元日SP )
第10話「雨やどり」
第11話「33人の亀山薫」
第12話「細かいことが気になる患者」
第13話「レジリエンス」
第14話「中園照生の受難」
第15話「キャスリング」
【ストーリー】番組サイトより
小手鞠の知人が殺人事件の容疑者に
真相解明の手掛かりは美しき絵画!?
2か月前、小手鞠(森口瑤子)に誘われて一面の菜の花畑を訪れた右京(水谷豊)は、そこで虻川希美(松井愛莉)という女性と出会う。希美は、日本画の巨匠・虻川徹の娘で、自身もすでに高い評価を受けている美大生。小手鞠は、芸者時代に徹夫妻と交流を持ち、希美とも顔見知りだという。その菜の花畑は1年前、徹が心臓の病気で急死した場所でもあった。
2か月後、画商の男性が刺殺される事件が発生。現場の状況などから、希美が容疑者として浮上する。警察は、画商が徹の死にかかわっていて、それを知った希美が殺意を抱いたのではないかと疑っていた。
捜査に乗り出した右京と薫(寺脇康文)は、行方が分からなくなっている希美を捜すため、被害者の画商が最近、推していた倉田ひかり(山谷花純)という画家から事情を聞く。ひかりは、希美と同い年の美大生だが、境遇の違いから接点はなかったと語る。そんな中、徹の遺産をめぐって、驚くべき事実が明らかになる。
日本画の巨匠の死は病死か、他殺か?
容疑者の美大生はなぜ姿を消したのか!?
特命係が菜の花に隠された殺意に迫る!
ゲスト:松井愛莉 山谷花純
脚本:當銘啓太
監督:守下敏行
………右京が犯人に語り掛けた言葉に今話は集約される
なので、今回のレビューはこれで終了! しても良いと思うが、続けます。
【今話の要素、出来事(時系列ではなく、ドラマストーリー順)】
➀2か月前、小手鞠に誘われて一面の菜の花畑を訪れた右京が、そこで虻川希美(松井愛莉)という画家と出会う(巨匠・虻川徹の娘だった)
②画商の星が殺害される。ギャラリースタッフが遺体を発見。防犯カメラはスイッチを切られていた。
③現場にはからの額縁が残されていたが、中の絵はなかった(ギャラリーの絵ではないらしい)
④現場に血液が付着したイヤリングが残されており、血液鑑定は虻川洋子の娘である可能性は99%と判定
⑤洋子によると、娘の希美は半年前に家を出ており、現在は連絡が取れない
⑥希美の画風が最近は変わっていた
⑦虻川徹の死には《心臓発作が起きた時、なぜ、持っていた薬を飲まなかったのか?》という疑問があった。その時、現場にいた星に疑惑が掛けられていた
⑧第一発見者のスタッフによると、虻川徹の死を境に、希美への星の態度が冷たくなった
⑨事件当日、希美は『菜の花プロジェクト』に出す絵を持ってくる予定だったが、その絵が見当たらない
⑩その日に、倉田ひかりも絵を搬入する予定があった
⑪尋ねた右京たちに、ひかりは訝しげに二人の警察手帳を見た
⑫ひかりは主に15号サイズの絵を描いていた。残された額縁サイズも15号で、中の絵はひかりのモノだった(彼女が認めた)
⑬星はひかりを評価し支援。自身もひかりの絵を個人的に購入
⑭ひかりは希美との親密さを否定
⑮殺害時間の希美のアリバイが判明(イヤリングは別の時間に置かれたり落ちた可能性、希美が母親を庇って工作)
⑯虻川徹の遺産の多くを星が自分のモノにしたことに対して、虻川夫人・洋子は恨んでいたのでは?
⑰洋子は「一時期、希美とひかりは仲が良かった」
⑱洋子のアリバイ成立(喫茶店で小手毬と会食していた)
⑲その喫茶店に希美の絵が飾られていた
⑳喫茶店夫妻は虻川徹の大ファンで、星の勧めで希美の絵を購入していた
㉑喫茶店の希美の絵の中に、ひかりと同じモチーフの絵があった(ひかりと希美は親密)
㉒喫茶店の目玉メニューに、ホットケーキがあった
㉓捜査の結果、希美とひかりが仲が良かったことが判明(二人は同じイヤリングをしていたのでは)
㉔《虻川徹の死亡を境に、星の希美贔屓からひかり贔屓への手のひら返しが気になると右京
㉕右京、SNSでひかりの誕生日を知る(「(真相が)見えてきた」と右京)
㉖虻川徹死亡の現場を右京たちが検証。担当した警察官が「通行人が倒れた後の様子を見ていて、虻川氏のカバンを細工する様子はなかった」と
㉗当時の虻川氏の位置・向きや太陽高度(日差しの方向)を確認(右京「すべて繋がりました」)
★キーポイントは“アーレイシンドローム”
アーレイシンドローム
……光の感受性が高く、文字が読みにくくなる
カラーレンズを付けることで、症状が和らぐこともある(赤いサングラスを掛けていた)
【虻川徹の死の真相】
・絵を描くときはサングラスを外す
・菜の花を書いていた時、不意に正面から日差しを受けてしまい、めまいと頭痛におそわれる
・その時、心臓病の発作も起こってしまった
・さらに、慣れていない新調したばかりのカバンから心臓病の薬を取り出せなかった
これらの要素が重なり、虻川氏は命を落とした
【ひかりが虻川徹の実の娘】
・ひかりと希美は生年月日が同じ
・二人の生れた助産院が同じ
・台風があって浸水、皆が避難した。その際、二人が取り違えられた可能性が低くなかった
《二人が取り違えられた》ことを裏付ける根拠として、遺伝病と言われるアーレイシンドロームの症状がひかりにもあった。
上述の⑪「ひかりが警察手帳を目を細めて凝視した」点で右京はピンときたという。(その他、ひかりは常時、直射日光を避けていた)
ひかりと親しい希美も、ひかりと父の共通点を感じていた。
【星の死の真相】
ひかりが絵を持ち込んだ時、星がひかりの素性(虻川徹の実の娘)を公表すると告げる(プロフィールで子ども取り違えの可能性に気づき、探偵を使って確信を持った)
《血筋だけを評価する星に反感を感じ、絵を持ち帰ろうとして、諍いになり、額が割れて手を切り、イヤリングを落とす。それだけで、星を殺害してはいないと言う。
その経緯を希美が知った時、洋子から血液鑑定のことを知らされ、自分が洋子の娘ではないことが判明するのを恐れ、身を隠した
ひかりは「現場でバニラの匂いがしていた」ことを右京に告げる
犯人は喫茶店の加賀さゆり
・喫茶店の目玉メニューがバニラの香りが強いホットケーキだった
・虻川徹の偏執的大ファンで希美の絵を購入していたが、希美の絵を売ろうとしていた
・犯行時刻、小手鞠と虻川洋子は店で店主と対面会話したが、妻のさゆりの姿は見ていなかった(妻が厨房にいるように思わせる夫のひとり芝居だった)
……少し論拠に乏しい気もするが……
「愚かですねえ。生まれや遺伝子に囚われ、希美さんが描く絵の美しさを、あなたは見ていなかった。……残念でなりません」
虻川の血に拘り、星から騙されて希美の絵を買わされたことに激怒。星を責めるも星のつれない態度に激高、ナイフで刺した
一方、希美とひかりは……
「絵の菜の花畑に咲くの1輪だけ色の違う黒い花…もしや、虻川家に生まれたあなた自身のことを描いたのではありませんか?」(右京)
「…はい。でも、悪い意味じゃないんです。
どこに居ても、“私は私だ”って、そう思えるように描きました」
「花が素敵なら、咲く場所など、些細な問題なのでしょうねえ」(右京)
希美とひかりは「親のことを隠さずに生きる」と言う。
母の洋子も「あなたは、ずっと私と虻川徹の娘」と
謎を絡ませながら、《どんな環境(血筋)であっても、自分がしっかり生きれば花が咲く》というテーマがブレずに描かれていた。面白かった。
ラストも秀逸!
小手鞠が仲の良い洋子の為に希美の様子を見に行きたかったが、一人で行くと洋子の差し金と勘繰られてしまうので、小手鞠が右京を菜の花畑でのデートを誘ったと右京が指摘(根拠は、後姿しか見ていないのに、迷わず希美のもとに歩み寄ったこと)
「ん~…杉下右京に隠し事はできませんねぇぇ……半分正解です」
「おや、半分とは?」
「さあ…」
「半分とはまた、中途半端なことを言いますねえ。なぜ、半分なのでしょう?」
「知りませぇん」(亀山)
「何なんですか、あなた方はぁ」
《そりゃあ小手鞠さんはデート目的を兼ねていたんですよ(こちらが主かも)》と言いたげな亀山の表情だった。
………推理力は常人離れした鋭さなのに、恋愛に関しては常人離れの鈍さの右京だった………
第1話「警察官A~要人暗殺の罠!姿なき首謀者」(初回拡大SP)
第2話「警察官A~逆転殺人!真犯人は二人いる!!」(拡大スペシャル)
第3話「楽園」
第4話「2つの顔」
第5話「幽霊ホテル」
第6話「薔薇と髭の夜明け」
第7話「復讐者は笑わない」
第8話「瞳の中のあなた」
第9話「最後の一日」(元日SP )
第10話「雨やどり」
第11話「33人の亀山薫」
第12話「細かいことが気になる患者」
第13話「レジリエンス」
第14話「中園照生の受難」
第15話「キャスリング」
【ストーリー】番組サイトより
小手鞠の知人が殺人事件の容疑者に
真相解明の手掛かりは美しき絵画!?
2か月前、小手鞠(森口瑤子)に誘われて一面の菜の花畑を訪れた右京(水谷豊)は、そこで虻川希美(松井愛莉)という女性と出会う。希美は、日本画の巨匠・虻川徹の娘で、自身もすでに高い評価を受けている美大生。小手鞠は、芸者時代に徹夫妻と交流を持ち、希美とも顔見知りだという。その菜の花畑は1年前、徹が心臓の病気で急死した場所でもあった。
2か月後、画商の男性が刺殺される事件が発生。現場の状況などから、希美が容疑者として浮上する。警察は、画商が徹の死にかかわっていて、それを知った希美が殺意を抱いたのではないかと疑っていた。
捜査に乗り出した右京と薫(寺脇康文)は、行方が分からなくなっている希美を捜すため、被害者の画商が最近、推していた倉田ひかり(山谷花純)という画家から事情を聞く。ひかりは、希美と同い年の美大生だが、境遇の違いから接点はなかったと語る。そんな中、徹の遺産をめぐって、驚くべき事実が明らかになる。
日本画の巨匠の死は病死か、他殺か?
容疑者の美大生はなぜ姿を消したのか!?
特命係が菜の花に隠された殺意に迫る!
ゲスト:松井愛莉 山谷花純
脚本:當銘啓太
監督:守下敏行