英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

相棒 season21 第5話「眠る爆弾」

2022-11-11 18:07:39 | ドラマ・映画
タイトルは“眠る爆弾”
 今回の爆弾は3種類
・ドラマ冒頭、大学構内で爆発した実際の爆弾
・三沢准教授に仕掛けられた爆弾
……クラッシュ症候群が起きるように犯人・平山が細工していた(クラッシュ症候群については後述)
・現代社会に内包する様々な問題……それらの問題は相当切迫していて、いつ、社会に大打撃を与えるような事件や事故が勃発しても不思議でない状況
 その一つが、今回の事件の起因となった大学の研究費不足問題。現実では、円安(円安についてはいろいろ書きたいが…)、外国人技能実習生問題、ヤングケアラー・老々介護…数多くの眠る爆弾がある。(環境問題、エネルギー問題、資源問題など既に世界的にも問題になっているものを考えたら、ノイローゼになりそうだ)
   
クラッシュ症候群
 “クラッシュ症候群”と言えば、救命病棟24時 第3シリーズ 寺泉隼人(仲村トオル)が妻の香織(渡辺典子)に起きた症状を思い出す。検索したら、
『atsuの部屋』さんの「救命病棟24時 クラッシュ症候群ってなんだ? (2)」がヒット。クラッシュ症候群について調べられていて、引用させていただく(正確に言うと、引用の引用)
[地震の際の応急手当とその心得」
http://www2.wbs.ne.jp/~eltango/bousai/bousai.html
講師は静岡大学助教授 池谷直樹

 重量物の下敷きになり、四肢が損傷した状態。筋肉損傷に伴い、循環障害や腎不全を合併して高カリウム血症を生じる致命率の高い疾患で阪神・淡路大震災で注目された。
(引用の引用終わり)

ドラマ内の右京さんの解説では
クラッシュシンドローム(挫滅症候群)……長時間にわたって身体が圧迫を受けていると、細胞内に毒性の高い物質が蓄積され、圧迫からの解放と共に、その毒素が全身に回り、内臓にダメージを与えてしまう

 今回の事件の発端となった女子学生・森原真希の事故死も、爆発により崩落した天井の下敷きとなったことによるクラッシュシンドロームが原因。
 そして、平山が仕掛けた体内爆弾も、右京さん曰く
「足を縛り上げて血流を止め、細胞の挫滅を促した、その状態から縛ったロープを解くと、血流の解放と同時に、毒性物質が全身を駆け巡る」という仕掛け。

 准教授の奥さんが彼を救おうとしてロープを解く行為をその体内爆弾の起爆装置にした。

事件の真相
①森原真希が研究費不足の窮乏を訴えようとして、「資金不足によって摩耗した器具を使い続けたことによる爆発事故が起きてしまった」という事実を作って世間に訴えようとした
②真希の事故工作が失敗し事故死してしまったが、それを、男女関係のもつれと勘違いしてしまった平山が復讐の為、クラッシュシンドロームを利用して准教授を殺害しようとした

今話の見どころとして……
・タイトルの「眠る爆弾」を体内爆弾と社会が内包している諸問題の決壊(爆発)と掛けて、問題提起した
・復讐の鬼と化した平山の殺害計画の巧妙さ

……それらは面白かったが……それ以外の点は、評価できない


私が愛読しているブログさんの『相棒』記事での表現
《「短絡的」と「迂闊」を「一途」に置き換えたお話》
 実は、この「短絡的」と「迂闊」という言葉は、今回の『相棒』を視聴中に浮かんだ言葉。
 記事を書く前に、記事がアップされているのを知り、訪問してこの表現を見て、《そうだよなあ》と共感すると同時に、頭を抱えてしまった。
 《同じ語句を使用すると、パクリだと思われてしまう》……
 で、他の語句をいろいろ思案して、「安直」とか「浅はか」などが思いついたが、「短絡的」には及ばない。
 承諾は得ていませんが、「短絡的」という言葉を使うことをお許しください。

「短絡」……物事の間の関係を正当な考察の過程を経ずに簡略に考えて結びつけること【旺文社 国語辞典】

 物事の間の関係を簡略(簡単)に考えて結びつける―――
 今回の女子学生・真希の行為、考え方がまさにこれ!
「器具を買い替えることができないことによる事故を起こす」→「研究室の資金の困窮を世間が認知」→「資金不足解消」
 そんなうまくいくわけないし、その行為によって起きる様々な不都合・問題・迷惑(爆発による修繕費や身体の危険性、共同研究者への迷惑、事故検証する手間など)が生じてしまうことを全く考えていない。

 それから、《「短絡的」と「迂闊」を「一途」に置き換えた》という表現、指摘も感服しています。「一途」という言葉で、美化してはいけません!(右京口調で)
 しかも、手違いによる天井崩落による事故死してしまったが、爆破の規模や爆破のタイミングの見誤りによるもので、これも「迂闊」と言う他ない

あと、気になったのは
―――半ば強制的に?平山が誤解するよう誘導するエピソード
・研究費が得られないことを悲嘆して、女子学生の森原真希が教授の胸で泣く……
・盗聴していて、准教授が教授に告白で「森原君を殺したのは私です」という部分だけしか聞かない。(その言葉を聞いて、激怒のあまり、ヘッドホンを外してしまう。ご丁寧に、教授の部屋に学生がやってきたので、廊下に出て二人で密談。

 さらに……
―――犯人・平山も短絡的で迂闊すぎ
・あれだけ信頼し親密だったのに、準教授の話を聞かない
・研究者なら、事故の原因や過程などをもっと検証すべき。人の命を奪うなら、准教授が真希を殺したという確証を得ないとダメ(確証を得ても、殺害してはいけないが)
・自力で確証を得ず、爆破予告で事実を明らかにしろというのは、研究者としても人間としても失格
・准教授の奥さんにもよくしてもらったのに、体内爆発の起動装置役をさせるのは非道過ぎ

・第一の爆発も、威力があり過ぎ


第1話「ペルソナ・ノン・グラータ~殺人招待状」(初回SP)
第2話「ペルソナ・ノン・グラータ~二重の陰謀」
第3話「逃亡者 亀山薫」
第4話「最後の晩餐」

【ストーリー】(番組サイトより)
神出鬼没の爆弾犯が警察を翻弄!
右京と天才の知恵比べが始まる


 大学構内に爆発物を仕掛けた男が、警察を挑発する動画を送りつけてきた。男は顔を隠そうとしないどころか、自ら素性を明かすような行動を取ったため、犯人は問題の大学に籍を置く平山翔太(山本涼介)という学生であることが判明する。
 右京(水谷豊)と薫(寺脇康文)は、同大学で先月、女子学生が実験中に死亡する事故があったことを知り、爆弾事件との関連を捜査。実験計画書には、平山の名前があり、本人の供述も不自然だったため、殺人の可能性も疑われていた。
 そんな中、平山が共同研究者である准教授の三沢(山崎潤)を監禁していることが発覚。さらに平山は、大胆にも自ら警察と接触し、女子学生死亡事故の再調査を要求してくる。

警察を挑発し、暴走を続ける爆弾犯
女子学生の死亡事故に犯行の動機が!?
天才の仕掛けた危険な罠に特命係が挑む!


ゲスト:山本涼介 山崎潤

脚本:岩下悠子
監督:権野元

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クラッシュシンドローム(挫滅症候群) (marumori)
2022-11-13 15:25:12
英さん、こんにちは。

 クラッシュシンドローム(挫滅症候群)については、『教場』で知っていました。(原作の方です。ドラマは見ていません)

 誰かが物体の下敷きになったり、何かに挟まれているのを見たら、大抵の人はすぐ助けようと物体をどかしてしまいそうです。

 こういう時、素人は下手に手を出さず、救急隊の到着を待った方がいいのでしょうね。

 事件については、真希も平山も愚行としか言えませんね。研究室にどれだけ迷惑がかかるかということくらい想像できそうなものです。
返信する
今回の脚本は… ()
2022-11-13 17:36:19
marumoriさん、こんばんは。

>誰かが物体の下敷きになったり、何かに挟まれているのを見たら、大抵の人はすぐ助けようと物体をどかしてしまいそうです。

 まあ、普通はそうしますよね。
 崩落などによって瓦礫などの下敷きになっている状況でしたら、クラッシュシンドローム以外にも、出血や内臓破裂などの命の危険要素もありそうですし。一刻も早く、治療処置をとなりますよね。
 クラッシュシンドロームの危険性は念頭に入れるべきでしょうが。
 今回は、クラッシュシンドロームだけを狙っていたので、右京の指示は正しかったと思いますが。

>事件については、真希も平山も愚行としか言えませんね。研究室にどれだけ迷惑がかかるかということくらい想像できそうなものです。

 ええ、短絡的で幼稚な思考の結論でした。
 事故死した女子学生・真希を「一途」と美化してしまったのは、どうなのか?と思いました。

 脚本を担当した岩下悠子氏ですが、最近の脚本は
★相棒 season20 第17話「米沢守再びの事件」
 《松原の殺人行為も短絡的すぎ………残念なストーリーだった》

★相棒 season20 第14話「ディアボロス」
《氷室の才能に心酔した一之瀬が、悲哀や絶望の淵に突き落とすことで、氷室の創作を更なる高みに引き上げていた……という真相だったが、芸術の高みを求める志向(思考)が私には、理解し難かったです。

 氏は『相棒』では古参の部類に入る脚本家で
season3では1作、season4でも1作、season
5では5作、season6では4作、season7では1作、担当されています。面白い作品が多かったです。
 「アゲハ蝶」「犯人はスズキ」「殺人シネマ」「正義の翼」が好きな作品です。
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