英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

女流棋士考 その1「女流棋士独断ランキング」

2022-01-18 17:40:02 | 将棋
(また、余計なコーナーを増やしてしまった……)

 実は、かなり以前(2,3年前)から、女流棋士(女流棋界)についていろいろ書きたいと思っていた。それらを書くに当たり、女流棋士の棋力ランキング(Aランク、B1ランク、B2ランク以下)をまとめる必要があった。
 その時、考えたランク分けと現状は若干ずれが生じているが、まず、その当時、考えたものを再現(記憶が薄くなっているので、その当時のモノとは違うかもしれない)

(“その当時”を2年前とすると、それ以前の5年ほどをひっくるめて……つまり、7年前~2年前ぐらいのランク分けだと考えてください)
【当時のランク分け】
Aランク(タイトル、段位は現在のモノ)
 里見女流五冠
 西山女流二冠
 伊藤女流三段
 加藤清麗
 上田女流四段
 香川女流四段
 清水女流七段
 甲斐女流五段
 室谷女流三段
 渡部愛女流三段
B1ランク
 中井女流六段
 中村真女流三段
 岩根女流三段
 本田女流三段
 千葉女流四段
 山田久女流四段
 鈴木女流三段

……大体、こんな感じだったと思う。B1は7名以外は背比べ状態。
 Aランクの里見、西山の順位には言いたいことがある人がいるかもしれないし、この両者はSクラスとすべきかもしれない
(その他、いろいろ昇降・上下があるが、詳しくは、現ランク分けにて)

【現ランク分け】
Aランク(タイトル、段位は現在のモノ)
 里見女流五冠
 西山女流二冠
 加藤清麗
 伊藤女流三段
 上田女流四段
 香川女流四段
 加藤圭女流二段
 甲斐女流五段
 渡部愛女流三段
 山根女流二段
B1ランク
 清水女流七段
 鈴木女流三段
 中井女流六段
 石本女流二段
 室谷女流三段
 塚田女流初段
 千葉女流四段
 中村真女流三段
 岩根女流三段


Aランク……
 里見女流五冠と西山女流二冠は論ずるまでもない。
 加藤圭女流二段はタイトル挑戦なし、今期成績16勝14敗と際立った成績ではないが、実力者に対して良く勝っていて、敗れた将棋を含めて内容も良いがよく地力を感じる。白玲戦順位戦A級3位と実力を示した。
 当時のランク分けでのAランクの10棋士に対して、2020年度以降(2020年4月~)の対戦成績は合計11勝18敗。かなり分が悪いようだが、対里見(0-2)、対西山(0-2)を除くと11勝14敗。さらに、今年度の合計対戦成績は7勝8敗(対里見、西山を除くと7勝4敗)とAクラスと伍した戦績を残している。
 山根女流二段は女流王位戦挑戦、白玲戦A級(現在2勝1敗)清麗戦本戦入り決定戦進出、女流王座戦と倉敷藤花戦ベスト8などコンスタントに勝ち上がっている。
 当時のランク分けでのAランクの10棋士に対して、2020年度以降(2020年4月~)の対戦成績は合計12勝17敗。対里見(0-4)を除くと12勝13敗(西山女流二冠とは対戦なし)と、加藤圭女流とほぼ同成績。ただし、今年度の合計対戦成績は1勝10敗(対里見を除くと1勝7敗)と振るわない。(逆に、昨年度の対Aランク戦は11勝7敗と勝率6割を超えている。そう言えば、2020年度は公式戦17連勝していた)
 若干、疑問の余地はあるが、Aランク入りとした。

 加藤清麗は清麗奪取の他、倉敷藤花挑戦、女流王将挑戦者決定戦進出と充実。対里見戦では棋力アップと研究の深さを感じた。
 伊藤女流三段は力戦調の将棋に於いては、読みの深さや手の力を感じる。タイトルを奪取する日はそう遠くないはず。
 上記の二人は、里見、西山の双璧に続く存在と言って良いだろう。

 上田女流四段は育児などもあり将棋盤に向かう時間は減っているものの、精神力は強く、将棋の勝ちやすさ・負けやすさを熟知しており、それに読みを重ねる将棋の厚みは手強い。
 香川女流四段昨年度は25勝12敗(8月以降は23勝6敗 勝率.793)、今年度は23勝12敗、昨年度女流名人リーグ4位で残留、清麗戦ベスト4、女流王将戦ベスト4、昨年度女流王位リーグ3勝2敗で残留と着実な成績。惜しむらくは、もう一つ突き抜けたい。いきなり跳び膝蹴りを喰らわす将棋は健在なのだろうか?
 甲斐女流五段の精密な読みは健在。
 渡部愛女流三段は柔軟さと瞬発力を生かした将棋で白玲戦七番勝負に進出した。

B1ランク……
 清水女流七段は連盟の常任理事を務めており、それが響いたのか、昨年度は7勝13敗と不振。今年度は14勝8敗と復活してきたが、涙を呑んで11位(B1クラス)とした。
 室谷女流三段は昨年度の女流王将戦で、タイトル奪取目前からの大逆転を喫したのが痛かった。2019年度後半から調子を落としていたが、タイトル獲得契機に一気に浮上するかと思われたが…
 昨年度15勝17敗、今年度11勝10敗、白玲戦順位戦もC級となっては、B1クラスも致し方ない。
 鈴木女流三段は、充実著しい。昨年度21勝11敗、今年度19勝10敗、清麗戦本戦ベスト4、マイナビベスト8など、Aランク入りは近い。
 石本女流二段は、順位戦はA級入りと女流名人リーグ6勝3敗の3位は評価に値する。
 塚田女流初段はマイナビ(女王)の挑戦者決定戦進出の他、予選の上位進出がちらほらを評価。
 中井女流六段は、昨年度21勝7敗、勝率.750と健在を示したが、今年度は19勝19敗、直近では7連勝後8連敗と乱高下。清麗戦ベスト4、順位戦A級7位は流石である。

 面白い存在なのが野原女流初段。独特な戦法で倉敷藤花挑戦者決定戦に勝ち上がる。決定戦も主導権を握ったが、見た目ほどは優勢でなかったようで、勝ち切れなかった。将棋や指し手にムラがあるように感じる。
 本田女流三段も“その他大勢”とは区別しておきたい(他にも、特筆しなければならない女流棋士がいそうです。気づき次第、追記します)
【追記】
 山口女流二段は、第4期(今年度)清麗戦で清水女流七段、中村真女流三段を破っての四回戦進出。女流王座戦、倉敷藤花戦でも準決勝に進出しており、今年度17勝8敗と勝ち星を重ねている。


 実は、独断と偏見でランク分けしたのは、「その2」の為の下準備である…
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大学入試共通テスト、関係者の皆さん、お疲れさまでした

2022-01-17 16:20:14 | 時事
まず、受験生の皆さん、コロナ禍での学校生活、入試、本当に大変だと思います。
二次試験があるので、気軽に言えませんが、「お疲れさまでした」

そして、実際に共通テスト実施に携わった関係者の皆さん、本当にお疲れさまでした。
・テスト実施そのもの(不手際、ミスの防止)
・コロナ感染予防対策の実施や、濃厚接触者などへの対応

これだけでも大変なのですが
・除雪作業
・東京大学前刺傷事件発生により、同様な事件への対策
・トンガ火山噴火による津波警報を受けての対応
  共通テスト中止になった受験生も大変ですが、実施関係者もグッタリでしょうね。
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鎌倉殿の13人 第2話「佐殿の腹」

2022-01-17 10:40:26 | ドラマ・映画
「桃園の誓い」を思わせる「湯河原の契り」だった。
    桃園の誓い……劉備・関羽・張飛が義兄弟(長兄・劉備、次兄・関羽、弟・張飛)となる誓いを結び、生死を共にする宣言を行ったという逸話

 でも、相当な”人たらし”っぽい頼朝
「おまえだけには話しておく。いずれ、わしは挙兵する。都に攻め上る。憎き清盛の首を取り、この世を正す!」
「法皇様をお支えし、この世をあるべき姿に戻す!そのためには政子が、北条が欠かせぬのだ!良いな、事は慎重に運ばねばならん。このことは兄にも話すな。小四郎、おまえはわしの頼りになる弟じゃ」
という言葉、信じていいのか?「このことは兄にも話すな」と“二人だけの秘密”って、他の者に対しても使っていないのだろうか?

 八重(新垣結衣)も“決して心の内を明かさぬ人”とか言っているし……

それにしても、能天気な父・時政、夢想家で面倒は押し付ける兄・宗時、我儘な頼朝、思慮より行動が先に立つ姉・政子らに振り回され散々な目に遭う義時……
挙句、泥水たまりに顔を押し付けられ土下座させられたり、八重にも非難されるし(嘘が下手すぎ)……

第1話


【ストーリー】番組サイトより
罪人・源頼朝(大泉洋)を処断しようと兵を率いて迫る伊東祐親(浅野和之)。しかし、北条義時(小栗旬)の父・時政(坂東彌十郎)が頼朝をかばって対立。両勢力が一触即発の状態となる中、平清盛(松平健)を後ろ盾に相模の武士団を束ねる大庭景親(國村隼)が現れる。一方、目まぐるしい展開に振り回される義時は、姉・政子(小池栄子)らの助けを受けて頼朝と富士の山すそにいた。だがそれもつかの間、弓矢が放たれ緊張が走る……

脚本:三谷幸喜
演出:吉田照幸
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2021順位戦 B級1組 千田七段が佐々木勇七段、藤井竜王を連破し、昇級戦線激化

2022-01-15 15:58:22 | 将棋
千田七段が佐々木勇七段、藤井竜王を連破し、昇級争いが激化した。
それにしても、8回戦終了時点でこのような状況になるとは思いもしなかった。

 8回戦終了時点では佐々木勇七段(12位)が7戦全勝、藤井竜王(11位)が7勝1敗、千田七段(7位)6勝2敗、稲葉八段(1位)5勝3敗、三浦九段(2位)4勝3敗という状況。(カッコ内の順位はリーグでのランキング。13名リーグなので消化対局が揃わない)
 9回戦で佐々木七段が屋敷九段に敗れたものの、千田七段も三浦九段に敗れた3敗になったため、8勝1敗の藤井竜王、7勝1敗の佐々木七段の両棋士の昇級が固いと思っていた(3番手以降は3敗となり負け数の差が2になり、順位が悪いとはいえ、両棋士の充実ぶりを考慮すると、残り3、4局での逆転は考えにくい)

ところが……第11回戦終了時の成績は(勝敗の後の棋士名は残り2局の対戦相手)
藤井竜王(11位) 8勝2敗  阿久津 佐々木
稲葉八段(1位) 7勝3敗  松尾  郷田
千田七段(7位) 8勝3敗 (空き番)木村
佐々木七段(12位)7勝3敗  郷田  藤井

 稲葉八段を千田七段より上位にしたのは、負け数とランクを重視した為(稲葉八段は自力で昇級できる)。

藤井竜王…一番有利な立場だが(当然、自力昇級)、1敗でもすると、稲葉八段か千田七段が1敗しないと昇級できない
稲葉八段…千田、屋敷、三浦、久保と4連勝で自力昇級状態。残りを1勝1敗だと、藤井竜王が2連敗するか、千田七段が最終局に敗れないと(千田七段は最終局を残すのみ)昇級できない
千田七段…佐々木、藤井を連破したのは素晴らしい。最終局に勝つと、藤井竜王と稲葉八段が2連勝する以外は昇級できるという状況。逆に、最終局に敗れると、昇級は厳しい
佐々木七段…7連勝後に3連敗(対戦相手は屋敷、千田、横山)の急停車。トップから4番手に後退。残り2連勝して、上位3名のうち2名のキャンセル待ち状態

 12回戦で佐々木七段が脱落する可能性はあるが、藤井竜王と稲葉八段は負けても昇級の目は残る。昇級は最終局まで決着しない熾烈な争いとなった。一時は藤井竜王、佐々木七段の両棋士の昇級が固いと思われたが、両棋士共に昇級できない可能性も出てくるとは……
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新型コロナウイルス その130「オミクロン株における感染拡大防止と経済活動の両立」

2022-01-15 10:41:47 | 時事
「感染を止める 社会は止めない」と聞こえの良い言葉を発している小池都知事。
でも、ここ2か月の都知事や政府を見ていると、感染を止める気はないように思えてしまう。


 12月末がターニングポイントで、国内の新規感染者数は顕著ではないが上向きベクトルを示し始めていた。(「その128」
 年末から年始にかけては、帰省、旅行、食事、初詣、スポーツなどイベント観戦と、人の移動や会食の機械が増え、感染拡大が懸念されるが、政府や都は注意は喚起してはいたが、強い呼びかけではなく、イベントなどの人数制限などもしなかった。
 経済のことを考えると、そんな緩やか過ぎる宣言も仕方がないように思えるが、12月中旬からイギリスやふらんすなどヨーロッパのオミクロン株による感染急拡大の情報があったにも拘らず、施策は変えなかった。
 「こんなに急激に感染拡大するとは思わなかった」という声も多くあったが、ヨーロッパの状況を見ると、あまりにも楽観的予測であった。

 オミクロン株は感染力はイギリスなどの状況を見れば、非常に強いことは明白。これまで講じてきた感染予防策(マスク会食など)では防ぎきれないというのに。(オミクロン株に感染したした人の中には、《感染するような機会が思い当たらない》という人が多数いた)


 案の定、年末年始の人の移動によって、全国に感染を拡大させてしまった。それどころか、感染者数が明らかに増大してきた1月上旬(1月5日)でも静観。1月9日に沖縄、広島、山口県にまん延防止等重点措置が実施されても(当然、まん延防止等重点措置については1月9日より以前に検討されている)、都や大阪府は動かなかった。
 小池都知事は13日に「病床使用率が20%になった段階で「まん延防止等重点措置」を、50%になった段階で「緊急事態宣言」の発表について要請を検討する」と述べた。現状は傍観、病床使用率が高くなったら、検討すると言う。


……と、かなり批判的なことを書いたが、今回のオミクロン株に於いては、感染拡大防止を絶対的命題にして経済を止めてしまう事には、これまでそう言及してきた私も疑問の余地があると考えている。
 なぜなら、オミクロン株に感染しても、無症状や軽症で済む人が多いからである。
 インフルエンザ並みの対応でも良いかもしれないと。(詳しくは「その129」


 ただし、オミクロン株による重症化率がどのくらいかが、重要要素の一つ。
 重症化率が低い……例えば、従来株の1/5であったも、感染力が10倍だったら、重症化する人の実数は2倍になる。(なので、感染力の検証も必要)
 また、重症化や発症を防ぐ効果のあるワクチン接種も、身体的や年齢的(12歳未満)事情により、接種できない人も多い。(ワクチン接種による重症化率の低下も精査する必要がある)

 感染症としての扱いを軽度にするにしても、インフルエンザと同等にしてよいかも検証する必要がありそう。
 これまでの新型コロナウイルスの感染力はインフルエンザよりも強いと考えられるので、オミクロン株なら更にその感染力を警戒しなくてはならない。
 また、《症状がなくなってもウイルスが残存していて、感染力が残っている期間がどれくらいなのか》も検証要素であろう。


 余談になるが、昨日か一昨日の『ミヤネ屋』でMCの宮根氏が「症状がなくなっても人に感染させる危険が何日間残っているのかが示されていないので、検証して提示してほしいです」といった主旨の発言をしていた。
 この時、感染予防に係わる機関に属していると思われる医師(正式にどういう人なのか知りません)と番組コメンテーターとしての医師が同席していたが、それについての回答はなかった。
 しかし、この番組の前日に、「無症状や発熱後症状が改善し無症状になってから5~6日経過しても、陽性反応がでた」とNHKニュースで報じていたので、番組アドバイザーとしてはどうなのか?と思った。
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鎌倉殿の13人 第1話「大いなる小競り合い」

2022-01-11 16:49:52 | ドラマ・映画
久々に大河ドラマを観る(最後まで見るかは未定)
視聴の動機は脚本を三谷幸喜氏が手掛けていること。(大河ドラマは2016年の「真田丸」を担当)
氏の脚本は無茶苦茶好きなわけではないが、ストーリーに芯があり、その周囲のエピソードも掘り下げが深く、さらに、遊び心もあり、面白い。

第1話……面白かった。
主人公の北条義時(小栗旬)は常識人(周囲の人は“どこか変”)で優しいので、いろいろな騒動に巻き込まれ、その対応に奔走する。今後もしばらくは苦労が続きそうだ。

印象に残ったのは、頼朝(大泉洋)の息子・千鶴丸(太田恵晴…非常に愛らしい)の死の描写
 伊東祐親に仕える下人・善児(梶原善)が千鶴丸を川遊びに誘い、殺害。
 河原に千鶴丸の着衣をぶら下げ立ち去る様を義時が目撃し、殺害を悟る……

 具体的に殺害の手段は?……場面設定からすると、川の深みに誘い(投げ入れ)溺れさせる。または、顔を水中に押し付け溺死させる…と言ったところだろう。ただし、事故死に見せかけるのなら、着衣を脱がせて持っていたというのは不自然。
 千鶴丸を川遊びに誘うシーンも必要以上に仰々しかったので、殺害を知らしめたかったと考えられる。


伊東祐親(浅野和之)の恐ろしさ
 北条家に頼朝がいることは、三浦義村(山本耕史)から知らされていたのだろうが、最初は素知らぬ顔をして応対し、その後、本題を切り出す。時政(坂東彌十郎)の後妻の顔にあざがあると嘘をつき、北条家の腹を探ったり、見せしめのために千鶴丸を殺害させる

エピソードや登場人物のキャラクターも面白かったが、1点、腑に落ちないことが
 頼朝をかくまうことは、伊東祐親に歯向かうことになる。戦の準備や、祐親への宣戦布告のようなやり取りも、それに即しているが、頼朝を馬に乗せ逃亡するのは、どうなのか?
 宣戦布告したのなら、戦を覚悟してのこと。北条家が頼朝の家臣なら、頼朝の命を最優先して頼朝を脱出させると考えられる。しかし、北条家にはそこまでの義理はなく、《源氏の貴公子・源頼朝を旗頭に平家打倒を目指す》というのが、宗時(片岡愛之助)の意志だ。
 だったら、負けるのを前提で頼朝を脱出させるのではなく、少なくとも引き分け以上に持ち込まないと、辻褄が合わない。脱出させるのはおかしい。

 

語り:長澤まさみ
 「これまでの大河ドラマには“くノ一”(「天地人」の初音)や「真田丸」の“きり”ちゃんのような、ちょっと普通ではないキャラクターでの出演が多かったので、今回も語りという、普通ではない形で出演できてうれしいです(笑)」(本人談)
 長澤まさみと言えば、変な役のイメージが強い。その彼女が、中立的なナレーション。意外と艶っぽい声は良かった。今後、もう少しコナレてくると期待したい。
音楽:エバン・コール
 番組サイトによると「映像音楽を中心に、ボーカルソングへの楽曲提供、作詞、歌唱など、幅広く活躍する」とのこと。
 今回の逃走シーンにドボルザークの『新世界より』を挿入していたが、氏の意図だろうか?
3DCG地図監修:シブサワ・コウ
 シブサワ・コウ氏と言えば、「信長の野望」や「三國志」でのCG。
 番組終盤で、各地の動静を紹介された時、《ん?》と思ったが、氏の仕業?であったか。

【ストーリー】番組サイトより
1175年、平清盛(松平健)が大権力者として君臨していた日本。伊豆の地では、北条義時(小栗旬)が兄・宗時(片岡愛之助)、姉・政子(小池栄子)らとのんびり暮らしていた。しかし、流罪人・源頼朝(大泉洋)が義時の幼なじみ八重(新垣結衣)と恋仲になり、男児が生まれたことで状況は一変。清盛から頼朝の監視を任されていた八重の父・伊東祐親(浅野和之)は激怒する。頼朝が姿をくらます中、北条家にも捜索命令がくだり……

脚本:三谷幸喜
演出:吉田照幸
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新型コロナウイルス その129「元厚労省医系技官の木村もりよ(倫世)医師の主張」

2022-01-08 18:09:34 | 時事
 これまでにも、情報番組などで木村もりよが意見を述べているのを見て、《なかなか苛烈なことを言うなあ》と思っていた。内容もかなり過激だが、氏の口調が独特。断言調というか……おそらく、氏の中では、話している内容は”自明の事実”で、当然のことを述べる…言い切っているだけなのだろう。
 とにかく、5日の『情報ライブ ミヤネ屋』では絶好調だった。

【以下は、『YAHOO!ニュース・デイリー』の記事より引用】
 木村氏は、第5波が急減したことについて、「人流抑制がどの程度効果があったかは分からない」と話し、その上で、現在のオミクロン株への対応について「南アフリカのようにワクチン接種がかなり低いところでも収束してきているわけですから、ワクチンも治療薬もできたなかでは、感染を無理に止めない。医療体制を万全に整えることが私たちがやらなければならないこと」
 これには宮根が「感染を無理に止めないとおっしゃいましたよね?日本人にはその感覚はないんですよ」と目を丸くしたが、木村氏は冷静。「無理に感染する必要はないけど、感染は山を描く。ということは一定程度の感染ができないと、下がってこないということ」と持論を展開した。
 木村氏はオミクロン株の感染力が高いことについても「感染力が強くなるということは、変異したウイルスが私たち共存していく絶好の条件を得られたということ。コロナでも変異を繰り返しながら、感染の数は増えながら致死性は減っていて、通常の風邪に近づいていくことになる」と前向きにとらえた。
 また「この感染症はある日突然消えてなくなるものではなく、変異する前からほとんどの人にとって、軽症で無症状。にも関わらず、かかったら隔離して、社会活動を止めなければならないこんなバカげたことはない」「効果がどれだけあるか分からない自粛やまん防を繰り返すのは止めた方がいい」などと刺激的な物言いで自説を述べた。
 続けて「(コロナの)致死性は、変異が進む前からも多くの人にとっては通常の風邪かインフルエンザ並みで済んでいる。そんな感染症をここまで社会的に重篤に扱われることによって、人為的医療ひっ迫を起こしている」と話し、指定感染症2類相当に扱われている状況から5類相当に引き下げることを提案した。【引用終わり】


 MCの宮根氏が木村氏の「感染を無理に止めない」という言葉を少し誤解して「日本人にはその感覚はないんですよ」と疑問を呈したのに対し、木村氏が「無理に感染する必要はないけど」と答えた部分は、変な議論になっていたが、木村氏の論理は一貫性はある(“無理に止めない”と言うのは“まん延防止法などの経済を止めてまで感染拡大を防止しようとはしない”という意味)。彼女の主張を要約すると、
・人流抑制が感染縮小の効果があったかは疑問。効果がどれだけあるか分からない自粛やまん防を繰り返すのは止めた方がいい。
・(デルタ株あたりから)感染してもほとんどの人が軽症か無症状なので、インフルエンザ並みの対応にすべき。それなのに、指定感染症2類相当扱いにして、社会活動を止めるのはバカげている


 私は、「人流抑制>経済活動」派 である。(“経済をないがしろ”とは思っておらず、《感染が拡大しては結果的に経済へのダメージが大きくなる》という考え)
 でも、氏の論理を聞くと、それも一理あるなあと。
 ただし、全面的に賛成ではなく、いくつかの疑問点や問題点があると考えている。

①インフルエンザ並みの扱いにせよと言うなら、感染力や重症化などの検証データを示すべき(これについては、氏の著書に提示されているかもしれない)
②インフルエンザ並みの感染症扱いにするとしても、感染症なので症状が出ている間は勿論、症状が治まっても感染力があると考えられる期間は外出はできないということ。感染爆発したら、やはり、社会活動が成り立たなくなるのでは?
③感染が蔓延してしまうと、非常に感染力の高いオミクロン株だと、医療従事者も感染してしまい、医療が立ち行かなくなってしまうのでは?
④重症化率が低くなってきており、治療法も確立し、内服治療もできるとしても、重症化する危険性はあるので、やはり感染が蔓延するのは困る

 軽症化で済んだとしても、仕事を休まなくてはいけないのなら、個人事業者は痛い。風邪みたいに飲み薬で症状を緩和して仕事ができるのなら良いのだが……
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2021年度 A級順位戦6回戦終了時点での考察

2022-01-07 00:00:45 | 将棋
2021A級順位戦6回戦終了時の成績
左端数字は順位戦ランク
1 斎藤慎太郎八段6勝0敗 山崎○ 佐藤康○広瀬○ 菅井○ 永瀬○ 佐藤天○ 羽生  豊島  糸谷
4 糸谷哲郎八段 4勝2敗 菅井○ 永瀬● 山崎○ 広瀬● 羽生○ 豊島○  佐藤康 佐藤天 斎藤
2 豊島将之九段 3勝3敗 佐藤天○広瀬● 羽生○ 永瀬○ 佐藤康●糸谷●  山崎  斎藤  菅井
3 広瀬章人八段 3勝3敗 永瀬● 豊島○ 斎藤● 糸谷○ 佐藤天●佐藤康○ 菅井  山崎  羽生
6 佐藤康光九段 3勝3敗 羽生● 斎藤● 永瀬○ 山崎○ 豊島○ 広瀬●  糸谷  菅井  佐藤天
7 佐藤天彦九段 3勝3敗 豊島● 山崎○ 菅井● 羽生○ 広瀬○ 斎藤●  永瀬  糸谷  佐藤康
9 永瀬拓矢王座 3勝3敗 広瀬○ 糸谷○ 佐藤康●豊島● 斎藤● 菅井○  佐藤天 羽生  山崎
5 菅井竜也八段 2勝4敗 糸谷● 羽生○ 佐藤天○斎藤● 山崎● 永瀬●  広瀬  佐藤康 豊島
8 羽生善治九段 2勝4敗 佐藤康○菅井● 豊島● 佐藤天●糸谷● 山崎○  斎藤  永瀬  広瀬
10山崎隆之八段 1勝5敗 斎藤● 佐藤天●糸谷● 佐藤康●菅井○ 羽生●  豊島  広瀬  永瀬


 “考察”と何となく客観性を感じさせる表現だが、羽生ファンである私が、羽生九段が残留してほしいという願望で、「今後、1敗もしくは2敗しても、残留できる可能性」を追求しているだけである。

 と、その前に現状を整理しておこう。
 名人挑戦者は6勝0敗の斎藤八段でほぼ決まり。
 何しろ、成績2位とは星二つの差で、しかも、糸谷八段一人しかいない。斎藤八段は1勝すればプレーオフ以上が決定。次の7回戦で斎藤八段が勝ち、糸谷八段が敗れれば、名人挑戦者決定である。
 一応、3勝3敗の5名も挑戦者になる可能性もあるが、その可能性は斉藤八段が1勝した時点で消滅するので、挑戦権を得ることができたら、“奇跡以上”である。

 残留争いは3勝3敗の5名を含む8名に降級の可能性がちらつく混戦模様。
 ただし、ランク7位で3勝3敗の佐藤天九段以上の成績者は、降級の可能性は低い。佐藤天九段以上の3勝3敗者(佐藤天九段を含む)は、羽生九段とは“1ゲーム半”のアドバンテージがあるのが大きい。
 山崎八段には申し訳ないが、降級はほぼ確定として考えさせていただくと、永瀬王座、菅井八段、羽生九段の3者全員揃って佐藤天九段より上位の成績を上げるのはかなり可能性が低いと考えられるからである。
 佐藤天九段が残り3局を1勝2敗で終わったとしても、先の3者が佐藤天九段を上回るには、永瀬王座と菅井八段は2勝1敗、羽生九段は3戦全勝が必要。永瀬ー羽生戦もあるので、3者全員がこの条件をクリアするのはかなり難しい。
 もちろん、佐藤天九段が3戦全敗すれば降級の可能性は増すが、それでも、永瀬王座と菅井八段は1勝2敗、羽生九段は2勝1敗以上が必要になり、3者全員がこれをクリアできない可能性はかなりある。特に、悲しいことに、現在の羽生九段にとっては、2勝1敗はなかなか難しい。
 そんな訳で、残留争いは永瀬王座、菅井八段、羽生九段に絞ってよいと考える

 ここからは羽生九段を中心に考えます。
➀羽生九段が残り3局を3戦全勝の場合
 羽生九段の最終成績は5勝4敗となり、残留は決定。確か、順位戦では「指し分け以上の成績者は降級しない(降級点はつかない)」という規定があったはず。この規定がなくても、羽生九段の今期の場合、残り3局を全部勝てば、永瀬王座が1敗することになり、その他の2局を勝っても5勝4敗でランクが9位なので羽生九段より下位となる(それに、おそらく、他の3勝3敗の棋士の内、誰かは5敗するような気もします)。
 そもそも、《5勝4敗で9位になることがあるのか?》だが、5勝4敗が9人、0勝9敗が1人となる場合があり、5勝4敗の棋士でランクが一番下位の棋士が9位となる。
 それと、知恵袋で次のような回答がありました。
『第27期A級は11人参加で3人降級が原則でしたが、3勝7敗2人、5勝5敗6人、6勝4敗2人、7勝3敗1人で、降級は2人となりました。(5勝5敗で順位が一番下だった灘8段はA級に残留)』
 実際に、「指し分け以上の成績者は降級しない」という規定が適用されたことがあったのは、驚き。

②残りを2勝1敗の場合
《ケース1》勝ち星に対永瀬王座戦を含む
 巷では「羽生九段は残りを2勝1敗でも苦しい」と言われているが、対永瀬戦に勝った場合は、残留確率は上がる。羽生九段の最終成績は4勝5敗。これを永瀬王座が上回るのは、対羽生戦以外の2局とも勝たなくてはならない(対局相手は佐藤天九段と山崎八段)。
 また、菅井九段はどうかと言うと、やはり、2勝1敗以上が必要となる。対局者は広瀬九段、佐藤康九段、豊島九段なので、ハードルは低くない。
《ケース2》対永瀬王座戦で敗れての2勝1敗
 この場合は、永瀬王座に1勝提供しているので、永瀬王座はその他の2局のうちどちらかに勝利すればよいことになる。
 となると、菅井八段頼み?だ。条件は“ケース1”の場合と同じなので、羽生九段が2勝すれば、絶望と言うわけではなさそう。

③残りを1勝2敗の場合
 この場合を掘り下げるのは、精神衛生上よろしくないのだが……
 羽生九段の最終成績は3勝6敗で、これを永瀬、菅井の両棋士がこれを上回るには、ともに1勝2敗でよい(全敗しなければよい)。羽生九段が残留する可能性は低いと考えられるが、両者の内、どちらかが全敗すれば助かるので、絶望とまでは言えない……かもしれない。
 この場合、②で述べた通り、1勝が永瀬王座の場合の方が残留の可能性が少し高くなる。

④残りを0勝3敗の場合
 ……………陥落。


さて、一番肝心なのが、残り3局に勝てるかどうかだ
今日(1月7日)には対斎藤八段戦がある。
 対戦成績は5勝3敗と勝ち越しているが、ここ2局は完敗で、あまり勝てる気がしない。さらに、斎藤八段はここまで6勝0敗と充実している(他の棋戦で挑戦権争いに絡んでいないのが不思議だ)
 ただし、勝てない相手ではないはず。ここで勝利すれば、かなり道は開けてくる。

第8戦は永瀬王座戦
 対戦成績は4勝11敗(4連敗中)で、見通しは暗い。
 でも、やはり、勝てない相手ではない。そろそろ勝つ頃と考えよう。

最終局は広瀬九段戦 
 竜王戦では痛い思い出がある。対戦成績は羽生九段の21勝15敗と勝ち越している。随分以前の勝ち星はあてにならないが、ここ2年では2勝1敗と一応勝ち越し。
 今年度は14勝7敗(直前10局は4勝6敗)と好調ではない。残り3局の中では、一番勝つ可能性が高そう。

 最終局に残留の可能性を残している状態であってほしい。
 いろいろ考えると、道は険しいが、まだまだ望みはある。

 勝負はやってみないと分からない!
 とにかく、羽生九段本来の将棋を指してほしい。
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相棒 season20 元日SP 第11話「二人」 【追記】太田愛氏の脚本には存在しないシーンが放送された件

2022-01-06 17:15:16 | ドラマ・映画
まず、本記事のタイトルの状況の説明する為、太田愛氏のブログ『脚本家/小説家・太田愛のブログ』の記事を紹介(引用)させてください。

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「相棒20元日SPについて(視聴を終えた方々へ)」(2022-01-01 23:14:00)
右京さんと亘さん、そして豪華なゲストの皆様の顔合わせで、お正月らしい、華やかなSPとなりました。脚本が撮影現場でかわっていくことはよるあることで、今回も楽しいアドリブ満載でした。

ただ、それとは全く別に一点だけ脚本家の立場から申し上げておきたいことがございます。

右京さんと亘さんが、鉄道会社の子会社であるデイリーハピネス本社で、プラカードを掲げた人々に取り囲まれるというシーンは脚本では存在しませんでした。

あの場面は、デイリーハピネス本社の男性平社員二名が、駅売店の店員さんたちが裁判に訴えた経緯を、思いを込めて語るシーンでした。現実にもよくあることですが、デイリーハピネスは親会社の鉄道会社の天下り先で、幹部職員は役員として五十代で入社し、三、四年で再び退職金を得て辞めていく。その一方で、ワンオペで水分を取るのもひかえて働き、それでもいつも笑顔で「いってらっしゃい」と言ってくれる駅売店のおばさんたちは、非正規社員というだけで、正社員と同じ仕事をしても基本給は低いまま、退職金もゼロ。しかも店員の大半が非正規社員という状況の中、子会社の平社員達も、裁判に踏み切った店舗のおばさんたちに肩入れし、大いに応援しているという場面でした。

同一労働をする被雇用者の間に不合理なほどの待遇の格差があってはならないという法律が出来ても、会社に勤めながら声を上げるのは大変に勇気がいることです。また、一日中働いてくたくたな上に裁判となると、さらに大きな時間と労力を割かれます。ですが、自分たちと次の世代の非正規雇用者のために、なんとか、か細いながらも声をあげようとしている人々がおり、それを支えようとしている人々がいます。そのような現実を数々のルポルタージュを読み、当事者の方々のお話を伺いながら執筆しましたので、訴訟を起こした当事者である非正規の店舗のおばさんたちが、あのようにいきり立ったヒステリックな人々として描かれるとは思ってもいませんでした。同時に、今、苦しい立場で闘っておられる方々を傷つけたのではないかと思うと、とても申し訳なく思います。どのような場においても、社会の中で声を上げていく人々に冷笑や揶揄の目が向けられないようにと願います。
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 一部引用だと、太田氏の意図が曲解されてしまう可能性もあるので、全文引用させていただきました。

 脚本を忠実に再現する…その度合いは、ドラマや監督や演出家、はたまた、プロデューサーやスポンサーの意向にも左右されると思います。
 そう言えば、ドラマではなく舞台での話でしたが、『相棒』でもseason3第17話「書き直す女」で、劇作家の書いたセリフを勝手に変えてしまう舞台女優とその劇作家との間の確執による殺人事件がおこるというストーリーがありました。(脚本は林誠人氏)


 太田氏も、上記のブログ記事の中で『脚本が撮影現場でかわっていくことはよるあることで、今回も楽しいアドリブ満載でした』とあり、《多少の変容はよくあることで、楽しませてもらっている》ようで、許容の意思を示している。(別の視点では、『相棒』においては《脚本に現場で変更されることはよくある》らしい)
 ただし、元日SP「二人」での変更は許容範囲を超えるものであったらしい。
 ドラマでは、その冷遇さに怒った非正規社員が、ヒステリックに大声で喚き立てていた(特命の二人にもヒステリックに怒りを伝え、その後、大声を上げながら本社の方に向かっていった)
 このシーン、非正規社員の不当な労働環境(条件)とそれに対する憤りを表現していると受け取り、視聴していたが、苛烈過ぎな印象を受けた。それに、このシーンはやたら音声ボリュームが大きかったように感じた。
 太田氏が描きたかったのは、《弱い立場の非正規社員が勇気を振り絞って訴訟を起こした。過酷な労働環境に加え、訴訟による時間的精神的負担が圧し掛かる。そんな非正規社員を支える者もいる。脚本では、そういう非正規社員の状況を本社の平社員が語ることによって、非正規社員の訴訟の客観的正当性を示したかったのだろう。
 今回の脚本を書くに当たっての太田氏の取材に応じた人たち(労働環境改善に声を上げた人たち)の心を踏みにじり、太田氏の脚本の意図を台無しにした今回の変更であった。


 私は太田氏の書く『相棒』が好きです。2012年の元日SPの「ピエロ」をはじめ、どの脚本も好きです。
 そんな氏の2年ぶりの脚本だったというのに……

 今回の件で、太田氏が『相棒』から離れてしまわないことを願います。
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相棒 season20 元日SP 第11話「二人」

2022-01-02 22:16:39 | ドラマ・映画
第1話「復活~口封じの死」
第2話「復活~死者の反撃」
第3話「復活~最終決戦」
第4話「贈る言葉」
第5話「光射す」
第6話「マイルール」
第7話「かわおとこ」
第8話「操り人形」
第9話「生まれ変わった男」
第10話「紅茶のおいしい喫茶店」

《多数の伏線(謎・疑問・情報)が提示され、それらが次第に解明され、収束していく展開》と言えば、太田愛脚本。(誰が担当脚本かという情報はカットして視聴しています)
あと、太田氏の脚本の特徴
《登場人物に善人要素が多く、レギュラー陣もいつもより優しい。捜一トリオも特命係に協力的》
《世の中の理不尽さを問いかける》などが思い浮かぶ。
太田氏の伏線の回収の仕方だが、《謎がいくつか解明されるが、新たな謎が浮上する》というパターンが多いが、今回はそこまで複雑ではなかった。
それは、サブタイトルの「二人」……少年と老人、冠城姉弟、新と聡、新と祖母などの情愛がテーマだったからであろう。


疑問に感じることも少しあったが、面白かった。

★伏線(謎・疑問・情報)(前半部分)
①峯秋が会員になっているVIP御用達の高級レストランで、県有連事務総長の藤原信弘氏と与党政調会長・袴田茂昭代議士(最近、“子どもの貧困をなくす会”を立ち上げている)が来店しているのを見かける。さらにもう一人来訪するらしい。
②「最初から人数は5人と決まっている。だから、“3人を押さえてしまえば決まり”とそう考えているんでしょうね」という美彌子の言葉
老人(イッセー尾形)とどこかの秘書風の男が公園で揉めていて、その弾みで倒れて後頭部を強打し、昏倒する。頭から血も出ている。
 一旦、老人を公園のベンチに寝かせ、電話を掛けながらその場を離れる(その電話で“ゆうき”と名乗っていた)
④その後、同場所で、少年(新)の落としたスマホを探していた友だち(聡)が、男性二人がベンチ付近で揉めているのを目撃し、動画を撮影。
 それを察知した男が少年(聡)に近づき、その付近でスマホを発見し持ち帰る
⑤スマホの持ち主の少年(新)は、知り合いのマメさんに相談。男は動画の音声から男の正体を突き止めようとして、何か重大事項を掴み、男を呼び出した
冠城の姉・由梨(飯島直子)から、記憶喪失の老人について相談を受ける
 老人……湊 健雄………
・頭を強打して記憶喪失になったらしい
・横柄(身分が高い?社長)、「~たまえ」という口調
・穿いていたいたスラックスは高級品、靴はズック(シューズ)
・『デイリーハピネス」(キャピタル鉄道の駅の売店で店舗数は多い)という言葉を覚えていた
・”暇か課長”がその名前に聞き覚えがあった(組関係か?)
⑦デイリーハピネス……非正規社員を低賃金でこき使うブラック企業らしい
⑧老人を発見したのはスマホを探していた少年たち
 由梨とマメさん・遠藤佑人(システムエンジニア・腕に無限大のタトゥーがある)に助けを求めた
新(あらた)少年………
(ストーリーとは関係ないが、新(あらた)という少年の表記(漢字)は、文字に起こすと分かりにくくなる。“あらた少年”を漢字にすると“新少年”となって、なんだか、「新成人」とかいう意味に取られそう)
・かなり頭の回転が速く、機転が利く
・冠城が由梨の弟と名乗ったが、「会ったこともない」と言った(……用心深い)
・両親は離婚、母と祖母と暮らしていたが、母は病死
・祖母はデイリーハピネスで働いていたが、足の骨にひびが入る怪我をして入院中(個室って?)
⑨老人が穿いていたスラックスに見合うコートや腕時計や上着などが見当たらない→誰かが持ち去って、故買屋に売ったのでは?
⑩ボンバー高田…巡回員。少年ふたりがスマホを探しているのを見かけていた

★公園での出来事についての考察(途中経過)
 故買屋の情報から、老人のコートや腕時計を持ち去ったのはボンバー高田と判明。
 彼の話によると「老人の持ち物がベンチの付近にきちんと置かれていた」と言う(老人の身元を示すものはなかった)

 鑑識を呼び出して、現場検証したところ、ベンチに血痕と毛髪が見つかり、老人が後頭部を強打した場所がベンチと判明。
 そして、今までの情報から……
……バンブー高田が老人の持ち物を発見した時には、老人はいなかった(記憶を失った状態でさまよっていた)。
  ボンバーが来る前に、何者かが老人の上着、コート、腕時計を脱がせ、一度はそれらを持ち去ろうとした。
  なぜか、気が変わり、身元を示すものだけ抜き取り、あとはその場に置いていった……という奇妙な行動をとったことになる

そして、ほかに同じ晩に公園から持ち去られたものが2つある
・老人の靴(ジャケットやスラックスと老人が発見された時に履いていたシューズが不似合い)
・新のスマートフォン


★新たな事実の判明から真相に接近マメさんの死体発見、由梨の証言、暇か課長の記憶
マメさんの遺体の発見
・手首の8(∞)の入れ墨から身元判明
マメさんと福ちゃん(福田)の関係に関する由梨の証言
・福ちゃんの愚行をマメさんが諫めるなどマメさんが兄貴分だった
・老人が保護された日も、マメさんに叱られている福ちゃんを目撃していた
暇か課長、思い出す
・“湊 健雄”は課長が駆け出しの頃の組のガサ入れ押収品?だった
・スマホに送られてきた押収品の画像を見て仰天する右京
・“湊 健雄”は福ちゃんが若い時に組の幹部に乗せられて、演歌歌手でデビューした時の芸名だった

というわけで福田を問い詰め、供述させた
・気を失っていた老人を寝ていると思い、靴を自分のモノと取り換え、コートなどの所持品を剝いだ時に、財布の名刺入れから老人の正体を知り、ビビっていたら、意識を取り戻した老人が徘徊しだした。追いかけたが、少年たちが老人を発見してしまった。
・少年たちに由梨たちを呼びに行く指示をして、老人に自分の所業を気づかせたくない福田は、記憶が混乱するように自分を湊健雄だと思い込ませた(湊健雄と思い込ませたのは、たまたま夢を掛けた過去の芸名を思い出したから)
・福田から靴と名刺入れを回収。その名刺入れには「最高裁判所 判事 若槻正隆」の身分証明書があった。
大きな謎だった老人の正体が判明。(最初に挙げた伏線➀②に関係する人物だとは推察できた)

・そのことをマメさんに知られ、叱られていたところを由梨に目撃されたわけだが、マメさんは《老人の正体を知ったこと》や《少年たちの動画やスマホを持っていかれた経緯を知っていた》《マメさんのシステムエンジニアの技術》などの条件が重なり、議員秘書を脅迫してしまうという悪事を働いて、殺害されてしまった。

ドラマではスルーされていた驚愕のマメさんに関する推理
本名:遠藤佑人→「遠藤」→「エンドウ」→マメ

★美彌子からの情報、(それにしても美彌子は偉くなったなあ)
《若槻判事はデイリーハピネス裁判の担当裁判官(小法廷5人の裁判官の一人)で、“同一労働同一賃金”を掲げた「パートタイム有期雇用労働法」が施行され、それに関する訴訟がなされ、経営者側に有利な凡例を積み重ねるために3人の判事を抱き込もうとしていたのが袴田議員だった》
 社美彌子内閣情報官、伊丹曰く”随分なご登場”。美彌子も偉くなったなあ。リモート用の大画面で登場。実際、偉くなったが、大画面で角度的にも上から目線。

事件の真相のまとめ
 国を動かすには低賃金で働く労働者の確保が必要不可欠という考えで、「パートタイム有期雇用労働法」に関する裁判で、経営者有利な判決例を積み重ねようとして、最高裁判所判事・若槻を抱き込もうとしたが、その思惑を知り会食を拒否しようとした若槻と押し問答になった議員秘書と揉み合う。
 頭を強打した若槻が昏倒し記憶喪失。秘書は殺害してしまったと思い込み、議員に相談、現場に呼び出す。死体がないことで慌てる二人を少年たちが目撃……以後の詳しい経緯は上記の通りなので省略。
 全体の事情を把握できたマメさんが、判事の死体を処分したと嘘をついて脅迫したが、議員の命を受けた秘書に殺されてしまった。
 
【サスペンスとしての問題点や疑問点】
・偶然がないとドラマが成り立たないので許容すべきだが………偶然が多すぎ(たまたま右京たちが会食していたレストランで、VIPルームに案内される袴田議員らと遭遇。今回の登場人物とのめぐり逢い関係…例えば、事件の当事者の関係者の由梨が冠城亘の姉)
・最高裁判所の判事が行方不明になっているのに、騒ぎにならない



(以下はドラマとして)
☆悲しい、新の叫び
「聡のおばさんが言ってたよ。《貧乏人といると、一緒に恐ろしい破目に遭うか、恐ろしい事をする破目になるか、どっちか》って」(“聡のおばさん”という表現は正しいのかなあ?“聡のお母さん”が適切のような気がする)
 ある意味、《君子、危うきに近づかず》と言うか、真理のような気もするが…そう思うのは心が貧しいなあ。
 
一番、悲しかったシーン
「俺とさとしは、もともと全然違うんだ」(新)
「何が違うって言うんだぁ!」(冠城)
「うちには、ばあちゃんしかいないし、塾とかにも行けないし、あと、住民税が免除されているし」(新)
「そんなの、キミの責任じゃない!」(冠城)
「じゃっ、誰の責任だよっ!
 世の中みんな自己責任なんだよ。俺たちみたいなのは、どこまで行っても、努力が足りないんだよ」
(新)


☆袴田議員
「この国を動かすには低賃金で働く労働者の確保が必要不可欠」という考え
(「“国の経済”…“僕にはあなたとあなたのお友達の経済”にしか思えませんがね」という右京の皮肉に対して)
「国力を高め、国を豊かにするために必要なものを確保する、それが施政者の務めだ」と言い切る

☆右京
「あなた方にとって低賃金で働く労働者は国民ではなく“モノ”ということですか?
 そんな人々にも大事な家族や生活がある。どんな人にも守りたいと思うそれぞれの幸せがあるんですよっ!」

「それこそ、自分でどうにかしたらいいんじゃないのか」
「12歳の少年が、何もかも受け入れてあきらめて、《この世は自己責任だ』と言う。困ったときに助けを求めることすら恥ずかしい事だと思い込まされている……それが豊かな国と言えるでしょうか、公正な社会と言えるでしょうか!

(もっと言ってやれっ!袴田議員のような考えが横行しているから、世の中が良くならないんだ)

さらに、
「袴田さん、あなたのように自分たちの利益しか考えない愚かな権力者たちが、このような歪んだ社会を作ったんですよぉ」
「杉下とか言ったなあ。お前とはいずれ決着をつけなくてはいけないようだ」
「望むところです」
超至近距離でにらみ合うふたり。(ダチョウ倶楽部の上島竜兵ならキスのネタをしそうだ)

 このシーンには違和感。
 えっ?こんな奴、今日、決着をつけてよ!
 まだ、これからも登場するの?(それなら、役者さんを変え…(自粛))

☆根っからの悪人が少ない太田脚本
・マメさん……聡のスマホの動画データを削除し、危険な目にあわさないようにしたり、秘書を脅した後、データを処分。福ちゃんとのやり取りも情が暑そうだった
・福ちゃん……老人から身ぐるみ剥がそうとしたが、朦朧とさまよう老人の身を心配して後を追う。結局、靴と身分証だけ持ち去った
・議員秘書……議員の命令でマメさんを殺害したが、新や若槻に危害を加えたくはなさそうだった


【その他の疑問、感想】
・それぞれの「二人」の心の交流、特に、新と若槻老人の交流はよかった。
・「ワ~君(冠城)の“お姉さん”です」と名乗るのはおかしな言い方では「姉」と名乗るべき
・イッセー尾形さんが、時々、小林桂樹さんや松村達夫さんに見えた
・ジャズっぽいBGMで締めるのは、どうなのか?
・聡の母親の改心、豹変しすぎ

【ストーリー】番組サイトより
年の瀬の夜、亘の姉から奇妙な依頼が
記憶喪失の男の意外過ぎる正体とは!?


 年末、峯秋の誘いで高級レストランを訪れた右京(水谷豊)は、与党政調会長の袴田(片岡孝太郎)と経済界の重鎮が、会合を開いているところを見掛ける。個室のテーブルには、3人の席が用意されていたので、もう1人、参加者がいると思われた。同じ夜、落としたスマホを探していた少年が、大人同士が言い争う姿を目撃。それに気づいた男に、落としたスマホを持ち去られてしまう。
 翌日、年末年始の当番勤務にあたっていた亘(反町隆史)は、ある女性から呼び出しを受ける。同じく当番だった右京に、「紹介したい人がいる」と言い、連れ出した先は教会。そこにいたのは、亘の姉・由梨(飯島直子)だった。ピアノ教師をしながら教会でボランティアをしているという由梨は、保護した記憶喪失の男性(イッセー尾形)の身元を調べてほしいと依頼する。しかし、本人が“湊健雄”と名乗っている以外、手掛かりはなし。唯一、大手鉄道会社の駅売店の名前が記憶に残っているらしいが…!?
 そんな中、右京と亘は、湊を最初に見つけた2人の少年から話を聞く。利発な2人は、当時の状況を分かりやすく説明してくれたが、何かを隠している様子。どうやら、片方の少年が、雑木林でスマホをなくしたようで…!? 身元調査の糸口を求めて、駅売店の本社を訪れた右京と亘は、同社が非正規雇用の賃金問題で紛争を抱えていることを知るが、湊に関する情報は得られなかった。同じ頃、少年のスマホを手にした男が、身分を偽り、2人のすぐそばまで迫っていた。

2人の少年は何を目撃してしまったのか!?
亘の姉が保護した記憶喪失の男とも関係が?
人々の思いが交錯するとき、驚きの真実が明らかになる!


ゲスト:イッセー尾形 片岡孝太郎 飯島直子

脚本:太田愛
監督:権野元
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