漢検一級 かけだしリピーターの四方山話

漢検のリピート受検はお休みしていますが、日本語を愛し、奥深い言葉の世界をさまよっています。

挑戦記 その4

2013-04-25 22:19:08 | 挑戦記
 先日ご紹介した通り、準1級の対象範囲は「JIS第1水準漢字集合2,965字(常用漢字1,945字(当時)を含む)」、要するに常用漢字全部と、それ以外にあと1,020字ということになります。この1,020字ですが、その後苦しむことになる1級の漢字とは違い、「全然見たことないっ!」というような字は、必ずしもたくさんはありません。ですが、やはり「勉強しなくても、もともと書ける」という字はほとんどないですし、出てくる熟語も、2級に比べて格段に知らない言葉が多くなります。そして何より私が(と言うか、おそらくほとんどの受検者が)苦しんだのは四字熟語でした。

 もともと私は四字熟語が好きで、普通の人よりは良く知っているはずと自負していましたし、実際、2級の段階では知らない四字熟語にはそれほど出くわさなかったのです。ところが準1級になって、状況は一変しました。もともと知っている四字熟語がほとんどないのです。例えば以下の四字熟語、漢検にチャレンジしたことのない皆さんはどこかで見たことがありますでしょうか。

一顧傾城(いっこけいせい)、粉白黛墨(ふんぱくたいぼく)、仙姿玉質(せんしぎょくしつ)、太液芙蓉(たいえきのふよう)、明眸皓歯(めいぼうこうし)、沈魚落雁(ちんぎょらくがん)、紅粉青蛾(こうふんせいが)、傾城傾国(けいせいけいこく)

 これらはすべて「美人」を意味する四字熟語なのですが、私はこの中では、「明眸皓歯」を聞いたことがあるような気がした他は、まったく知りませんでした。しかも準1級の範囲とされている四字熟語は約1,000語(ちなみに1級の範囲は、これとは別に約1,000語)あるのです。この事実にぶつかったときはさすがに気が萎えるのを感じましたが、避けては通れません。問題集をやりながら、出てきた四字熟語の読み、漢字、意味をエクセルに入力し、自分で一覧化しながらひとつひとつ覚えていきました。

 当時、すでに40代後半だった私は、やはり一度覚えても若い頃のようには記憶が定着せず、すぐに忘れてしまいます(50代になった今は、もちろんさらにそうなっています。)。なので、完全に忘れ切ってしまう前に、2度目の確認(要するに「復習」)をすることが非常に大切で、これはなかなか忍耐と根気のいる作業でしたが、あるときふと気付いたことがありました。これらの四字熟語が「準1級の範囲」とされているというのは、その四文字の漢字の中に、一つ以上準1級の範囲の漢字が含まれているということをほぼ意味しています(もちろん、例外はあります)。ところで、上に書いた通りそもそも準1級の出題範囲というのは「常用漢字+1,000字」です。つまり、約1,000語ある四字熟語を一通り学習すれば、それで準1級の範囲の漢字をほぼ網羅できるのではないかということになります。学習を終えて振り返ってみると実際にはそれほど単純な関係ではなかったようですが、ただそう思いついたことで、四字熟語をひとつずつ確認・練習するという地道な作業にも、モチベーションを保つことができました。

サムライの笛は一インチ

2013-04-25 18:32:15 | 雑記
 挑戦記は一休みして別の話題を。


 画数の多い、覚えにくい漢字のいくつかには、「覚え方」が知られていますね。

 タイトルに書いた「サムライの笛は一インチ」は、「寿」の旧字体の【壽】
 サムライ(士)の笛(フエ)は一(そのまま)インチ(吋)ということで、インチ=吋という国字を知らないとわからないという欠点(?)があるとも言えますが、逆に「壽」と一緒に「吋」も覚えられるメリットがあるとも言えます。

 他には、「リンカーンはアメリカンコーヒーを三杯飲む」などが有名ですね。
 (ちなみにこれは【鬱】。説明は省略。)

 上の二つのような文章にはなっていませんが、「讒謗」の【讒】の旁(つくり)の部分を「クロヒメンテン」と覚えたというエピソードが、どなたかの先人のサイトに書かれていました。(どなたのどのサイトだったかは失念してしまいました。スミマセン。)
 「ク」「ロ」「比」「免」「、」というわけです。「讒」の字を覚えるのに、大変役に立ちました。


 この手のもの、他にもあったら是非教えてください。



<「漢検・漢字辞典 初版」の記載ページ>

 【壽】  P.675
 【鬱】  P.75
 【讒】  P.588