漢検一級 かけだしリピーターの四方山話

漢検のリピート受検はお休みしていますが、日本語を愛し、奥深い言葉の世界をさまよっています。

「模擬試験」作成後記

2014-04-13 09:39:38 | 雑記
 勉強していて、本試験形式の模擬試験問題集がもっとたくさんあればなぁといつも思っていました。その時々の自分の実力が的確に測れ、かつ、そこで誤答した問題がそのまま血となり肉となるような・・・。

 そんな思いが、今回自分で作ってみるきっかけになりましたが、何事もやってみて初めてわかること・感じることがあるものです。


★ 「良い問題」を作るのは難しい。
 これは初めてわかったと言うより、改めて実感したと言うべきですが、良問を作るのはやはり難しいですね。私が個人的に理想とする「良問」とは、
  ・「辞典」の見出し語にある。(少なくとも、小さい字では出ている。)
  ・過去問になく、新出である。
  ・言葉の意味に奥深さがある。
  ・短文であれ長文であれ、直接その熟語を知らなくても前後の文脈から推定が可能である。
  ・近世、近代の著作に実際に使用されている。
  ・漢検本試験に実際に出題されそうに思える。
といったところですが、実際に作ってみると、自作の問題はこれには程遠い気がします。

★ 問題作成、特に例文作成は非常に勉強になる。
 これも今更ですが、言葉は文章の中で使われて初めて意味があるわけで、熟語単体として読めて書けて意味がわかるというだけでなく、文章中で使えてこそ自分の語彙になったと言えるわけです。知っているつもりでも、いざ例文を作ろうとすると四苦八苦の連続でしたが、そうやってうんうん苦しんでいろいろと調べ、頭をひねることで、一段とその言葉に対する理解が進むように感じました。こと漢検対策としては効率の良い勉強法とは思いませんが、例文作成は苦しくも楽しい時間でした。

★ 良い文章題の作成には読書量がものを言う。
 私は読書そのものは好きで人並み以上に本は読む方だと思いますが、読書傾向は極めて偏っており、1級漢字が出てくるような、近世・近代の著述にはほとんど馴染みがありません。今回、問題を作成するにあたって青空文庫のサイトを渉猟しましたが、結局のところ定番中の定番、中島敦の2作品に頼ることになりました。以前に夏目漱石を読み返していて、結構1級対象の漢字・熟語があるなぁと感じたことがありましたが、問題にするとなると、ある程度短い範囲の文章中にそれなりの数の語数が必要なので、あてもなく探すというのは難しかったです。やはり、もともとたくさん読んでいるということに勝るものはないですね。次回作成するときは、もう少し時間をかけて探してみたいと思います。実際の出題回数の多い、幸田露伴、森鴎外など、あたってみたいですね。


 今回、第1回はすべて頻出過去問(採用した問題は、すべてこの10年で3回以上出題されているものです)、第2回は逆に大半が新出問題と、難易度的には両極端になりました。初めての作成でもあり、あえてそうしたことではありますが、「実力を的確に測る」ものにはなっていないということですね。なかなか大変なので、またすぐ次をというのは難しいですが、次回作るときには、過去問と新出のバランスをとって、「本試験並みの難易度」を念頭に置き、かつ、新出問題については冒頭に記した「良問」の定義に極力近づけるよう、チャレンジしてみたいと思っています。いつになるかわかりませんが、その際にはぜひまたおつきあいください。