「分野別の戦略」後半です。
(六)熟字訓・当て字 目標9点
25-3 では分類Aで8点。25-1、25-2 でも同じく8点でしたので、過去問と「完全征服」「分野別」でほぼ8点確保できると考えて良いでしょう。一方、以前に「熟字訓・当て字をどこまで覚えるか」の記事に書いた通り、この設問は「漢検 漢字辞典」巻末の「熟字訓・当て字索引」に出ている語を網羅すれば、ほぼ毎回10点満点が期待できます。分類Aだけで8点取れるものを、あと2点のために索引掲載分を全部覚えるのかどうか、効率という観点では悩ましいところで、1級四字熟語を網羅することほど強くはお勧めしませんが、熟字訓が嫌いでなければ取り組む価値はあると思います。理由は、
★事実上「出題範囲が限定されている」設問であり、得点源としうること。
★覚えていれば確実に正解できる一方、覚えていなければそれまでであること。(その場の推定での正解はまず期待できない。)
★地名・国名は無視して良いとすれば、覚えるべきは1,700個程度であること。(これを多いと見るか少ないと見るかということですが。)
です。熟字訓が好きだということと、分類Aだけで8問取れるなどとは学習当初には露知らずにやみくもに全部覚えに行ったという個人的事情から、私は結果的に索引掲載分は網羅することとなりましたが、実際にどうするかは受検者個々のご判断でしょう。分類Aだけに絞って勉強し、残りの時間は他の分野に当てるという選択肢ももちろん有力と思います。
なお、地名・国名に関してですが、漢検協会が公表している1級の「審査基準」には今でも「地名・国名などの漢字表記(当て字の一種)を知っていること。」と記載されています。従っていつ出題されてもおかしくはないのですが、実際には平成15年度以降1問も出題されていませんので、「完全征服」「分野別」を学習する際も、効率の観点からは地名・国名は捨象すべきでしょう。
(七)熟語の読み・一字訓読み 目標9点
25-3 では分類A~Cで6点、25-2、25-1も7点ですから、9点の目標は少し高いかもしれません。あえて9点としているのは、ここの対策に力を入れて学習することで、一つの漢字に出会ったときに音読み・訓読み両方に注意を払う習慣がつき、(一)と(七)の対策が同時に進められるからです。(一)の音読み問題の過去問が、そのまま(七)の熟語として出題されるケースもままあります。従って、分類Aを一通り学習した上での追加学習としては、ある漢字の音読み(訓読み)を学習する際、その漢字の訓読み(音読み)にも着目して(七)の形式の問題を自作し、ストックしていくことをお勧めします。その自作問題に採用する訓読みは、「漢検 漢字辞典」に記載されている読みに限ることは言うまでもありません。
(八)対義語・類義語 目標14点
ここは次の(九)と並んで、近年の難化が著しい分野です。「地道に語彙を増やしていくしかない」という、身も蓋もない「戦略」になりますが、逆に、分類A~Cに属する出題は絶対に落としてはいけません。解答は過去問と同じでも問題の熟語が違っていたり、問題と解答の熟語が入れ替わったりと、出題者からの投げかけはさまざまですので、過去問に取り組む際も表面的な学習にとどめず、掘り下げていく必要があります。過去問そのものではないが過去問から正答が可能な「分類B」をきっちり正解することが大切な分野と言えます。
(九)故事・諺 目標14点
新出問題を正解することはなかなかハードルが高く、私自身も地道に学習はしていますが今も「14点」を上回ることができません。一方、多くの場合分類D・Eは3問程度であり、分類A~Cをしっかり確保することで、14点は確保できます。中でも(五)でも書いた通り、「●●之●」の形を含めた1級配当四字熟語をしっかり学習して、分類Cを正解することが重要です。
(十)文章題 目標 書き取り14点 読み9点
実践できていない私が言っても説得力がないですが、明治期以降の著述を読むことが苦にならない方は、良く出題される幸田露伴、森鴎外といった作家の著作を読むことが対策になるのではないかと思います。そうしたことを別とするなら、内容は書き取りと読みですから対策は(一)(二)(七)などと大きな違いはありませんが、受検テクニック的な観点から一言。特に書き取りに関して、文章題ならではということで、文章全体の文脈から正解を推定できる場合があります。特に新出の熟語に関しては、そうした推定が可能な出題を出題者が意図しているように思える問題が少なくありません。にもかかわらず、私に関して言うと本試験のその場では推定ができず、帰宅してよくよく問題文を読んでみたら「あぁ、推定できる問題だったなぁ・・・」と悔しい思いをすることが多々あります。これは試験本番での緊張感ということももちろんあるのですが、恐らくは1時間の試験時間の後半になって文章題に取り組むことによる、脳の疲労が一因です。試験後半になると、難解な文章を注意深く読むだけの頭の体力が残っていないのですね。若い方には無縁の話かもしれませんが、50代という年齢ゆえでしょう。なので次回から、(十)を最初にやるというのを試みてみようかと思っています。
「分野別の戦略」は以上です。
次回(最終回の予定)、勉強のための教材について書いてみたいと思います。
(六)熟字訓・当て字 目標9点
25-3 では分類Aで8点。25-1、25-2 でも同じく8点でしたので、過去問と「完全征服」「分野別」でほぼ8点確保できると考えて良いでしょう。一方、以前に「熟字訓・当て字をどこまで覚えるか」の記事に書いた通り、この設問は「漢検 漢字辞典」巻末の「熟字訓・当て字索引」に出ている語を網羅すれば、ほぼ毎回10点満点が期待できます。分類Aだけで8点取れるものを、あと2点のために索引掲載分を全部覚えるのかどうか、効率という観点では悩ましいところで、1級四字熟語を網羅することほど強くはお勧めしませんが、熟字訓が嫌いでなければ取り組む価値はあると思います。理由は、
★事実上「出題範囲が限定されている」設問であり、得点源としうること。
★覚えていれば確実に正解できる一方、覚えていなければそれまでであること。(その場の推定での正解はまず期待できない。)
★地名・国名は無視して良いとすれば、覚えるべきは1,700個程度であること。(これを多いと見るか少ないと見るかということですが。)
です。熟字訓が好きだということと、分類Aだけで8問取れるなどとは学習当初には露知らずにやみくもに全部覚えに行ったという個人的事情から、私は結果的に索引掲載分は網羅することとなりましたが、実際にどうするかは受検者個々のご判断でしょう。分類Aだけに絞って勉強し、残りの時間は他の分野に当てるという選択肢ももちろん有力と思います。
なお、地名・国名に関してですが、漢検協会が公表している1級の「審査基準」には今でも「地名・国名などの漢字表記(当て字の一種)を知っていること。」と記載されています。従っていつ出題されてもおかしくはないのですが、実際には平成15年度以降1問も出題されていませんので、「完全征服」「分野別」を学習する際も、効率の観点からは地名・国名は捨象すべきでしょう。
(七)熟語の読み・一字訓読み 目標9点
25-3 では分類A~Cで6点、25-2、25-1も7点ですから、9点の目標は少し高いかもしれません。あえて9点としているのは、ここの対策に力を入れて学習することで、一つの漢字に出会ったときに音読み・訓読み両方に注意を払う習慣がつき、(一)と(七)の対策が同時に進められるからです。(一)の音読み問題の過去問が、そのまま(七)の熟語として出題されるケースもままあります。従って、分類Aを一通り学習した上での追加学習としては、ある漢字の音読み(訓読み)を学習する際、その漢字の訓読み(音読み)にも着目して(七)の形式の問題を自作し、ストックしていくことをお勧めします。その自作問題に採用する訓読みは、「漢検 漢字辞典」に記載されている読みに限ることは言うまでもありません。
(八)対義語・類義語 目標14点
ここは次の(九)と並んで、近年の難化が著しい分野です。「地道に語彙を増やしていくしかない」という、身も蓋もない「戦略」になりますが、逆に、分類A~Cに属する出題は絶対に落としてはいけません。解答は過去問と同じでも問題の熟語が違っていたり、問題と解答の熟語が入れ替わったりと、出題者からの投げかけはさまざまですので、過去問に取り組む際も表面的な学習にとどめず、掘り下げていく必要があります。過去問そのものではないが過去問から正答が可能な「分類B」をきっちり正解することが大切な分野と言えます。
(九)故事・諺 目標14点
新出問題を正解することはなかなかハードルが高く、私自身も地道に学習はしていますが今も「14点」を上回ることができません。一方、多くの場合分類D・Eは3問程度であり、分類A~Cをしっかり確保することで、14点は確保できます。中でも(五)でも書いた通り、「●●之●」の形を含めた1級配当四字熟語をしっかり学習して、分類Cを正解することが重要です。
(十)文章題 目標 書き取り14点 読み9点
実践できていない私が言っても説得力がないですが、明治期以降の著述を読むことが苦にならない方は、良く出題される幸田露伴、森鴎外といった作家の著作を読むことが対策になるのではないかと思います。そうしたことを別とするなら、内容は書き取りと読みですから対策は(一)(二)(七)などと大きな違いはありませんが、受検テクニック的な観点から一言。特に書き取りに関して、文章題ならではということで、文章全体の文脈から正解を推定できる場合があります。特に新出の熟語に関しては、そうした推定が可能な出題を出題者が意図しているように思える問題が少なくありません。にもかかわらず、私に関して言うと本試験のその場では推定ができず、帰宅してよくよく問題文を読んでみたら「あぁ、推定できる問題だったなぁ・・・」と悔しい思いをすることが多々あります。これは試験本番での緊張感ということももちろんあるのですが、恐らくは1時間の試験時間の後半になって文章題に取り組むことによる、脳の疲労が一因です。試験後半になると、難解な文章を注意深く読むだけの頭の体力が残っていないのですね。若い方には無縁の話かもしれませんが、50代という年齢ゆえでしょう。なので次回から、(十)を最初にやるというのを試みてみようかと思っています。
「分野別の戦略」は以上です。
次回(最終回の予定)、勉強のための教材について書いてみたいと思います。