漢検一級 かけだしリピーターの四方山話

漢検のリピート受検はお休みしていますが、日本語を愛し、奥深い言葉の世界をさまよっています。

【兪】

2015-08-23 15:07:10 | 雑記
 まだまだ暑いですが、私のところでは、その中にも秋の気配を感じる瞬間も増えてきたように思います。もういい歳(?)ですので猛暑酷暑が一段落して涼しくなっていくのはありがたいですが、一方で何やら寂しさを感じる季節でもありますね。

 このところ一時期よりは時間を取れる日もあって、細々とですが漢字の勉強も進めています。と言っても知識を増やすというところまでは手が回らないので、手元に溜めた問題の復習が主ですが、それでも改めて調べてみると新しい発見もあって、やはり勉強するのは楽しいものです。


 さて、きょうは 【兪】 について。


【兪】 (「漢検漢字辞典」初版 P.1487/第二版 P.1503)
音 : ユ
訓 : しか・り
 【兪り】 の訓読みは必須と思いますし、また言うまでもなく、実に多くの漢字の構成要素になっている重要な漢字ですね。学習中の「白川文字学」によれば、この文字の成り立ちは、『把手のある手術刀で患部を刺して膿漿(うみしる)を盤に移しとること。これによって治癒する。』とのことで、現在 【治癒】 などと使われる 【癒(ユ/い・える、い・やす)】 の元の字形だそうです。 


【愈】  (1487/1503)
音 : ユ
訓 : いよいよ (い・える) (い・やす)
 【兪】 に 【心】 が付いた字ですが、【心】 だけが付いたこの 【愈】、 「やまいだれ」だけがついた 【瘉】、 【心】 と「やまいだれ」 の両方が付いた 【癒】 の3つが全部漢字として存在しているのが面白いですね。なお 「い・える」 「い・やす」 は、「辞典」初版にはなく、第二版で追加記載された訓です。


【瘉】  (1488/1504)
音 : ユ
訓 : い・える  い・やす
 「辞典」初版では、次の 【癒】 の異体字との扱いでしたが、第二版では独立した見出し字の扱いに変わっています。1級で 「ちゆ」 の書き取りが出題されたら、【治瘉】 と書いてもOKなのでしょうか? 異体字との扱いだったのですから許容されるのかな?? (まあ1級で出題されることはないでしょうけど。2級以下での出題の場合は 【治癒】 でないとNGですね。)


【癒】  (1488/1505)
音 : ユ
訓 : い・える  い・やす
 準2級配当の常用漢字。 【治癒】 はともかく、 【癒合】 【癒着】 などが書き取りで出されたら迷わず書けるか、個人的にはちょっと心もとないです。