漢検一級 かけだしリピーターの四方山話

漢検のリピート受検はお休みしていますが、日本語を愛し、奥深い言葉の世界をさまよっています。

12-1 設問別正答率

2016-02-21 10:40:52 | 本試験
 先日購入した古い過去問題集を少しずつ眺めていますが、12-1 には、すべての設問について「正答・誤答・無回答」の比率が標準解答と一緒に記載されていました。なかなか面白いので、少しご紹介します。



<正答率が高い問題>

1. 97.6%  【砦】の読み   とりで
2. 93.8%  【宏壮】の読み  こうそう
3. 93.4%  【云々】の読み  うんぬん/しかじか

 【砦】の読みなんて、今ではとても1級で出題されるとは思えないですね。(笑)


<正答率が低い問題>

1.  2.6%  【哀瓜多】の読み  エクアドル
2.  4.0%  【諧う】の読み   かな・う
3.  5.6%  【大逵】の読み   たいき

 1.の【哀瓜多(エクアドル)】、現在の「漢検 漢字辞典」にも載っていませんから、受検者にとっては「超」のつく難問だったことでしょう。もっとも、「漢検 漢字辞典」は初版の刊行が2001年(平成13年)ですから、そもそもこのときはまだ存在もしていなかったですね。受検者たちはどうやって勉強していたのでしょうか? ちなみに、国名・地名問題の他の二つは【白爾鄰(ベルリン)】と【羅府(ロサンゼルス)】でした。
 2.の問題文は「事を論うに諧うときは、則ち事理自ら通う。」です。2010年に新たに常用漢字に組み込まれた漢字ですが、表外読み問題として今出されたとしてもさほど違和感はないですね。
 3.はその後、19-3、22-3でも出題されていますし、「完全征服」や「分野別精選演習」にも収録されていますので、今見ると易しい問題に見えます。しかしこのときは 5.6% の正答率ですから、新出である上に、おそらくは受検者の盲点を突くような問題だったのでしょう。


<無回答率が高い問題>

1. 47.3%  「クルリ」の書き取り  【転】
2. 45.7%  【哀瓜多】の読み    エクアドル
3. 44.6%  四字熟語 「焦頭(  )」 の書き取り   【爛額】

 3.は普通に1級配当の熟語(「漢検 四字熟語辞典」はこのときすでに存在しています)ですから、無回答率 44.6% というのは少し意外な感じがします。正答率は 30.5% とそれほど低くありませんので、知っていればもちろん書けるけれど、知らないと推定では書きにくい(誤答であっても)問題だったということなのかもしれません。



 設問ごとの正答率が分かったからといってその後の学習にすごく役立つというわけでもありませんが、データとしては面白いですね。また公表されるようになってほしいなぁ。