漢検一級 かけだしリピーターの四方山話

漢検のリピート受検はお休みしていますが、日本語を愛し、奥深い言葉の世界をさまよっています。

古今和歌集 1103

2022-11-06 04:57:08 | 古今和歌集

こしときと こひつつをれば ゆふぐれの おもかげにのみ みえわたるかな

来しときと 恋ひつつをれば 夕暮れの 面影にのみ 見えわたるかな

 

紀貫之

 

 あの人が来てくれた時間だと恋しい気持ちでいると、夕暮れの中、ただあの人の面影だけが見え続けているよ。

 詞書には「くれのおも」、左注には「忍草 利貞下」とあります。「くれのおも」を詠み込んだ物名歌、あった場所は「忍草」詠み込んだ紀利貞歌 0446 の次ということですね。「くれのおも」とは聞き慣れない語ですが、セリ科の多年草でウイキョウの別名とのことです。