漢検一級 かけだしリピーターの四方山話

漢検のリピート受検はお休みしていますが、日本語を愛し、奥深い言葉の世界をさまよっています。

古今和歌集 1098

2022-11-01 05:51:07 | 古今和歌集

かひがねを ねこしやまこし ふくかぜを ひとにもがもや ことづてやらむ

甲斐が嶺を 嶺越し山越し 吹く風を 人にもがもや 言伝てやらむ

 

よみ人知らず

 

 甲斐の山を、嶺を越し山を越して吹いている風が人であれば良いのになあ。そうすれば便りを託して送ろうと思うのに。

 第四句の「もがも」は、願望を表す助詞「もがな」の古い形です。山を越えてくる風が人だったら手紙を託す、というのですから、便りしたい相手が山の向こうにいるということですね。