漢検一級 かけだしリピーターの四方山話

漢検のリピート受検はお休みしていますが、日本語を愛し、奥深い言葉の世界をさまよっています。

貫之集 340

2024-03-21 05:05:33 | 貫之集

藤の花

なごりをば まつにかけつつ ももとせの はるのみなとに さけるふぢなみ

名残をば 松にかけつつ 百年の 春のみなとに 咲ける藤波

 

藤の花

河口に立つ松にかかる藤の花は、永遠に変わることなく巡って来ては去って行く春の終わりに、その名残を惜しんで咲いているのであるよ。

 

 「なごり」は「(春の)名残」と「(藤波という波の)余波」、「みなと」は「(春の)おわり」と「(藤がかかる松が立っている)河口」のそれぞれ両義になっていて、わずか三十一文字の中に巧みに二重の意味を詠み込んだ歌ですね。



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