延喜十二年十二月、春立つ朝に、定方の左衛門督の、尚侍に、賀奉れるときの歌
ことしおひの にひくはまゆの からころも ちよをかけてぞ いはひそめける
今年生ひの 新桑繭の 唐衣 千代をかけてぞ いはひそめける
延喜住人(912年)十二月、立春の朝に、藤原定方左衛門督が、妹である尚侍に、誕生日のお祝いを宴を催したときの歌
今年生まれた新しい繭から作った衣を染めて差し上げ、本日を初めに千代までもお祝いいたします。
「十二月」なのに「春立つ朝」ですから、年内に立春を迎えたということですね。古今集 0001 の歌が思い出されます。「定方の妹の尚侍」とは、藤原満子(ふじわら の みつこ)のこと。第五句の「そめ」は「染め」と「初め」の掛詞になっています。