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移植時の食事~⑥クリスマスメニュー

最初の入院から5ヶ月経った12月17日、朝の回診で医師より初めて外泊
の許可が下りる。


クリスマスの一日だけの外泊。



なんとか少しずつでも食事ができる様になり、外泊の話しも出て、どうせな
らと、クリスマスだけでも帰宅出来ないものかと、それでも遠慮がちに、少
し前から看護師さんに伝えていた。

検査数値は良くないが体調は安定している。


だから自分ではきっと大丈夫だと思っていたので、先生から許可を貰った事
で舞い上がる。

なんと言っても5ヶ月振りの我が家。



妻は妻で、早速、ケン○ッ○キーのチキンを予約。
他にも食べられそうなメニューを色々と考えていたようだ。



ところが・・・

12月21日夜、テーブルには休みに入る担当看護師さんからのメモ書きが。


  「血糖が高くインスリン注射が導入されたり、朝の採血時間まで
   帰って来るのが難しいので、現在、24日の外泊は延期の方向
   で考えています。
   外泊は年末年始にできるよう、それに向けて準備していきます。」



入院中は色んな種類のショックを受けたが、このメモは間違いなくベスト3
に入るショック!

浮かれ気分は一瞬にして吹き飛んだ。


スッカリ「その気分」の妻におそるおそる電話をすると、

「え~、なんで?? 先生はいいって言ってたしょ。」


と、当然の反応。


NSに向かい看護師さんと交渉するも、あえなく却下。

先生からの許可を盾に、言葉も荒く少々強気で攻めるも、「先生と相談の結
果です。」と言われればどうしようもなく・・・


確かにこの時点では、薬の自己管理が始まったばかり。
自己管理表も付け始めたばかり。

おまけに、6時、8時、20時と、薬の服用済みをNSにコールしなければ
ならない状態。


むしろ「まだ無理」という看護師さんの判断の方が正当。

採血と血糖値の問題は致命的だった。

特にインスリンの自己注射は22日にやっと始まったばかり。それも看護師
さんに見守られながら。





12月24日、クリスマスイブ。

昼食のテーブルには妻が買ってきてくれたチキン。

家族揃ってのはずが、二人だけのクリスマスだった。




夕食、4人部屋には自分一人。

クリスマスだからか、メニューは、ちらし寿しと鳥のから揚げ。

寂しさも落胆も、怒りも、何の感情も無く、ただただ口に入れていた。



そしてデザートで小さなケーキが付いていた。

血糖の関係で自分は食べられないケーキ。

この日の夜間当直は二人の看護師さん。

看護師さんにとってもクリスマス。

NSにケーキを持って行った。「良かったら二人で分けて下さい」と。




・・・・・・・・・
21日夜に貰った担当看護師Nさんの、外泊不許可を伝えるメモは今も持っ
ている。

何と伝えていいか悩んだのか、言葉を選びながら、何度も何度も書き直した
跡の残るメモが、今は心に響きます。
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