鹿撃ちに 出会いし山の 櫨赤く
梅士 Baishi
昨日は股関節をかばいながら、紅葉狩りに出かけた。
九大演習林の紅葉は実に見事だったが、いわゆるも
みじはない。
さらに非公開ルートの山道を通って滝の観音に至る
裏林道を登った。
すると、未踏の演習林の横道に心引かれて登り始め
た。
もみじというものは、大半植栽されたもので、天然に
は稀なのではないかと思えた。
ずんずんと登ってゆくうちに、人の姿が見えた。
こんな立ち入り禁止のような林道で・・・。
ぴかぴかに磨かれた猟銃を肩にかけている。
「何を撃っているんですか」
「鹿ですよ」
「はあ、やっぱり鹿がいるんですねえ」
「鹿や猪がいますよ」
「鹿には会えたんですか」
「いやあ、会えませんでした」
「この道はどこまで行くんですか」
「ああ、もうすぐどん詰まりです」
「はは、そうなんですね」
短い会話を交わして別れた。
鹿に会うのも珍しいが、人に会うのも珍しい奥山であ
る。
どん詰まりという断崖の道が尽きたところからまだ頂
上に行けそうだった。
地形はまったく分からない。
切り株に荷物を置いて、もう少し登ってみた。
すると、さらに道が開けているではないか。
ではもうちょっとと、さらに坂を上り始めた。
二つ目の頂上らしいところから、さらに急斜面の道が
立ち上がっている。
道というより、雨水が駆け下る筋である。
そこを四つんばいになって這い上がった。
やっとの思いで這い上がると、さらに林道が開けた。
普通なら当然、未知のルートに突っ込んでゆくところ
である。
しかし、リュックを置いてきている・・・。
夕方3時半を回っていた。
また今度と、再び急斜面を戻り始めた。
草スキーでもするかのように、靴ごとずるずると滑降
した。
よくもまあ、こんな急斜面を登ってきたものだと感心
しながら緊張の滑降から立ち上がった。
見覚えのある林道を過ぎてさらに滑降すると、また
急斜面が続く。
ダムが見える。
知らない風景だ。
道がわからなくなったのだった。
日暮れが近い。
大いにあわてて急斜面を登ったり降りたりした。
こうなると、すごいパワーが出るものだ。
しかし、冷静に推理して、斜面を少し斜めに降りたと
ころにリュックの姿を見つけた。
ああ、助かった~。
リュックが記念碑のように思えたことである。
視界のきかない山道のこと、登ったルートに目印を
する工夫が必要だ。
さて、何が良いか、考案の課題である。
まずは、紙テープで実験してみようか・・・。
山を上り下りして思うことは、低山といえど、山腹は
切り立った谷である。
ここを登るのは容易ではない。
だから、尾根伝いに登るのだ。
道に迷ったら、沢ではなく尾根を目指すことである。
登り始めと帰還したときと、同じ茨に帽子を取られた。
智慧がなければ、山は登れないものだと、つくづく思
ったことである。
怖いめに遭うのも、ときどきは大切な危機管理となろ
う。
ああ、低山恐るべし・・・。
立憲女王国・神聖九州やまとの国
幸福実現党応援隊・ 梅士党