龍の尾亭<survivalではなくlive>版

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評判の悪い首相の沖縄訪問

2010年05月09日 12時40分59秒 | 社会
鳩山首相の米軍普天間基地移設問題の対応が厳しい批判にさらされている。

私個人としては「よくやった」という感じなのだけれど、日本国中、そういう人は多くないのかな……。
「よくやった」というのが言い過ぎだとすれば、時代の大きな転換点に立っている、と言い換えてもいい。

自民党の政治が稚拙だった、というのではない。
かつて、沖縄に有無を言わせず米軍基地を置き、それを保持することは、政治的な現実の中ではほとんど選択の余地がないことだったのだろう。

今は、具体的な「軍事的抑止力」を踏まえた国際政治の舞台に、日本も否応なくプレーヤーとして舞台に上らねばならない時期にもなり、国民もまたそれが沖縄であれ鹿児島であれ、黙って堪え忍ぶようなことはしないだろうし、官僚のシナリオを介して政治家が地元との根回しをしてすむ時代でもなくなった。

また、こういうある種の「NIMBY」問題(注)について、国民レベルで考えていく必要が出てきている、ということでもあるだろう。
国(中央)VS県(地元)という単純な対立ではすまない。
鳩山首相の「愚かさ」を、ではいったいどんな「首相」の振る舞いと「交換」すればいいというのか。
その答えは決して簡単ではないだろう。

育ちがよく、あまり深く考えずに他人の言葉を受け入れる身振りをし、結局対応しきれない「無能な誠実さ」を持つ首相をこの時期私たちが持った歴史的事実を、むしろ評価できる方向に持っていきたい、と思っているのは、これも私の他にどれほどいるのか分からないけれど……。個人的な「好み」もあるのかもしれないけれど、時代が彼を「選んだ」ことは間違いないんじゃないかな。
「つけ」を先送りするのではなく、その単純な解決方法がないという「現実」を、身をもって指し示した、という意味で。


そろそろ私たちも、「政治的」な場所に一人一人が立って思考するべき時代に入った、ということだと思う。
沖縄の人が反対するのも当然。徳之島の人が反対するのも当然。
じゃあ、どうすればいいのか。「政治や軍事の専門家がうまくやってくれよ」というだけでは、すまないと思うのだけれど、どうなんでしょう。




注:「NIMBY」とは「not in my backyard」の略。「必要性は分かるけど、うちの近くは困るよ」という住民の発想のこと。
かつては地元民のわがまま、といったニュアンスを含んで否定的に使われることも少なくなかった。しかし、現在では全体の不利益がある特定の地域や市民にのみ負担されることの「不公平さ」をどう乗り越えるか、という課題として用いられる言葉。

沖縄の米軍基地問題は、国際関係の外交問題も抱えているので、それ自体が「ゴミ処理施設」「原発」などと同列には論じられない側面もあるが、一方では「NIMBY」的問題として分析・検討・対応が必要な側面も持つと考えられる。