先週の新聞に『健康と判定される人が増える?』というタイトルで、健康診断の基準の変更の記事が載っていた。
[日本人間ドック学会と健康保険組合連合会が、人間ドック受診者約150万人を対象とした調査により、健康といえる基準値を公表した。同学会などは、2011年に200カ所の医療機関で人間ドックを受けた約150万人から、持病がなく、たばこを吸わないなどの条件に合う約34万人を選別。このうち、極めて健康な状態とされた約1万~1万5000人について、27項目の検査結果を解析し、正常とされる基準範囲を算出した。その結果、血圧は男女とも、上(収縮期血圧)が147以下、下(拡張期血圧)が94以下となり、現在の同学会の基準より高めとなった。これまでは前者で129以下、後者で84以下を「異常なし」としていた。男女差や年齢差のある項目もあり、中性脂肪では、女性は32〜134と学会基準(30〜149)より若干厳しくなったが、男性は39〜198となり、上限が大幅に緩和された。悪玉とされるLDLコレステロールは男女とも学会基準(60〜119)より高めとなった。高齢の女性で特に高い傾向があり、65〜80歳では190でも正常値とされた〕
私の昨年の健康診断の結果は、血圧は131/92で「C」評価、LDLコレステロールは131で「B」評価であった。唯一この2項目が引っかかる程度で後は「A」である。新基準でいけば2項目とも悠々セーフである。では今までの基準は何だったのだろうかと思う。例えば血圧の基準は元々は160/95であった。それが2000年に降圧薬治療開始基準が140/90に引き下げられる(健康基準は130/85)。この2000年の基準値の改定で、あらたに2500万人が『高血圧』の患者となり、降圧剤の売り上げは3倍以上〈約1兆円)になるだろうと言われている。これはノバルティスファーマの不正事件ではないが、医療者と製薬会社のもたれ合い体質が根底にあるとも言われている。
医者にしても製薬会社にしても健康関連のメーカーにしても、人の病気を治し、健康をサポートすることで商売が成り立っている。しかし一方では健康な人が多くなれば、自分達の商売は縮小していく。そこで考えつくことが、健康の基準値を狭めることである。これにより不健康な人が増え、健康関連の企業は潤うことになる。しかしその結果、国の医療費は増え続けていく。2011年度に全国の医療機関に支払われた医療費の総額(国民医療費)が、前年度比1兆1648億円増(3.1%増)の38兆5850億円だったと言う。国民1人当たりでは30万1900円で5年連続で過去最高を更新したようである。これが続けば国家予算が破綻をきたすことになる。
以前にも書いたことがあるが、メガネ屋と眼科医は人の視力が良くなることは望まない。だから必ず「焦点のあった正しいメガネを掛けないと益々目が悪くなりますよ」と言う。しかし近視は生活習慣病である。近くや暗がりで物を見る習慣を改めず、正しいメガネを作っても、また近視の度は進んでいくことになる。これではメガネ屋の思う壺である。血圧にしても同じである。医者は血圧が140を超えると、「血圧はきちっとコントロールしておいた方がいいでしょう」、そういって血圧降下剤を積極的に処方する。しかしある説によると、歳を取るほど血管の弾力は衰えるから、末端の血管まで血液を運ぶためには血圧が上がるのは自然だという。昔、血圧の目安といわれていたのは、自分の年齢プラス90であった。そういうことからすれば新基準の方が我々には適合しているように思うのである。
今TV番組は健康番組が花盛りである。従って昔に比べればはるかに健康に対する知識も意識も高まっている。しかし反対に、なまじの知識があるために健康に対して臆病になり、病気に関するけん伝に左右されすぎているようにも思われる。少し自分の体に変調があれば、医者に行って薬を処方してもらう。そしてそれを飲むことで安心感を得ているのではないだろうか。医療活動も基本的にはビジネスである。だから飛び込んできた患者はなるべく検査漬け薬漬けにし、医療点数を増やし儲けに走ることになる。医者を悪く言うつもりはないのだが、日本の医療が国民皆保険制度の上に成り立っている以上、その中でいかに稼ぐかを考えざるを得ない。そして医療を受ける側も医療費の自己負担が3割〈70以上2割)と少ないから、自分の健康を医者任せにしているように思うのである。
健康は大切である。しかし何もかも医者任せでは、自分の体をオートメーションのコンベアの上に乗せているようなものである。自分の健康は自分で管理し、自分が改善していくのが原則であろう。まずは自分の体調は常に神経を研ぎ澄まし、日常と異なる異変を感じたら速やかに医者に行き検査してもらう。そこで何らかの異常が見つかった場合は、その原因と対処法をしっかりと聞くことである。そこでの説明に納得がいけば医者の指示に従うが、納得がいかなければインターネットやセカンドオピニオンで徹底的に調べ、その上で自分で決める。我々の病気の多くは生活習慣病であるから、なるべく薬に頼らず、生活習慣を改めることで対処する。専門医の見解は素直に聞くが、どう治療するか、どう改善するかは自分で決めたいものである。
[日本人間ドック学会と健康保険組合連合会が、人間ドック受診者約150万人を対象とした調査により、健康といえる基準値を公表した。同学会などは、2011年に200カ所の医療機関で人間ドックを受けた約150万人から、持病がなく、たばこを吸わないなどの条件に合う約34万人を選別。このうち、極めて健康な状態とされた約1万~1万5000人について、27項目の検査結果を解析し、正常とされる基準範囲を算出した。その結果、血圧は男女とも、上(収縮期血圧)が147以下、下(拡張期血圧)が94以下となり、現在の同学会の基準より高めとなった。これまでは前者で129以下、後者で84以下を「異常なし」としていた。男女差や年齢差のある項目もあり、中性脂肪では、女性は32〜134と学会基準(30〜149)より若干厳しくなったが、男性は39〜198となり、上限が大幅に緩和された。悪玉とされるLDLコレステロールは男女とも学会基準(60〜119)より高めとなった。高齢の女性で特に高い傾向があり、65〜80歳では190でも正常値とされた〕
私の昨年の健康診断の結果は、血圧は131/92で「C」評価、LDLコレステロールは131で「B」評価であった。唯一この2項目が引っかかる程度で後は「A」である。新基準でいけば2項目とも悠々セーフである。では今までの基準は何だったのだろうかと思う。例えば血圧の基準は元々は160/95であった。それが2000年に降圧薬治療開始基準が140/90に引き下げられる(健康基準は130/85)。この2000年の基準値の改定で、あらたに2500万人が『高血圧』の患者となり、降圧剤の売り上げは3倍以上〈約1兆円)になるだろうと言われている。これはノバルティスファーマの不正事件ではないが、医療者と製薬会社のもたれ合い体質が根底にあるとも言われている。
医者にしても製薬会社にしても健康関連のメーカーにしても、人の病気を治し、健康をサポートすることで商売が成り立っている。しかし一方では健康な人が多くなれば、自分達の商売は縮小していく。そこで考えつくことが、健康の基準値を狭めることである。これにより不健康な人が増え、健康関連の企業は潤うことになる。しかしその結果、国の医療費は増え続けていく。2011年度に全国の医療機関に支払われた医療費の総額(国民医療費)が、前年度比1兆1648億円増(3.1%増)の38兆5850億円だったと言う。国民1人当たりでは30万1900円で5年連続で過去最高を更新したようである。これが続けば国家予算が破綻をきたすことになる。
以前にも書いたことがあるが、メガネ屋と眼科医は人の視力が良くなることは望まない。だから必ず「焦点のあった正しいメガネを掛けないと益々目が悪くなりますよ」と言う。しかし近視は生活習慣病である。近くや暗がりで物を見る習慣を改めず、正しいメガネを作っても、また近視の度は進んでいくことになる。これではメガネ屋の思う壺である。血圧にしても同じである。医者は血圧が140を超えると、「血圧はきちっとコントロールしておいた方がいいでしょう」、そういって血圧降下剤を積極的に処方する。しかしある説によると、歳を取るほど血管の弾力は衰えるから、末端の血管まで血液を運ぶためには血圧が上がるのは自然だという。昔、血圧の目安といわれていたのは、自分の年齢プラス90であった。そういうことからすれば新基準の方が我々には適合しているように思うのである。
今TV番組は健康番組が花盛りである。従って昔に比べればはるかに健康に対する知識も意識も高まっている。しかし反対に、なまじの知識があるために健康に対して臆病になり、病気に関するけん伝に左右されすぎているようにも思われる。少し自分の体に変調があれば、医者に行って薬を処方してもらう。そしてそれを飲むことで安心感を得ているのではないだろうか。医療活動も基本的にはビジネスである。だから飛び込んできた患者はなるべく検査漬け薬漬けにし、医療点数を増やし儲けに走ることになる。医者を悪く言うつもりはないのだが、日本の医療が国民皆保険制度の上に成り立っている以上、その中でいかに稼ぐかを考えざるを得ない。そして医療を受ける側も医療費の自己負担が3割〈70以上2割)と少ないから、自分の健康を医者任せにしているように思うのである。
健康は大切である。しかし何もかも医者任せでは、自分の体をオートメーションのコンベアの上に乗せているようなものである。自分の健康は自分で管理し、自分が改善していくのが原則であろう。まずは自分の体調は常に神経を研ぎ澄まし、日常と異なる異変を感じたら速やかに医者に行き検査してもらう。そこで何らかの異常が見つかった場合は、その原因と対処法をしっかりと聞くことである。そこでの説明に納得がいけば医者の指示に従うが、納得がいかなければインターネットやセカンドオピニオンで徹底的に調べ、その上で自分で決める。我々の病気の多くは生活習慣病であるから、なるべく薬に頼らず、生活習慣を改めることで対処する。専門医の見解は素直に聞くが、どう治療するか、どう改善するかは自分で決めたいものである。
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