60歳からの眼差し

人生の最終章へ、見る物聞くもの、今何を感じるのか綴って見ようと思う。

面接

2014年08月08日 09時52分16秒 | Weblog
 以前このブログで書いたことがあるが、親会社で事務社員の退社から2ケ月が経過した。その人員補充でやっとオーナーが動き、昔の従業員から紹介された女性と面接をし、9月からの入社を決めたようである。先日辞めた事務社員もオーナーが面接して決めた男性である。しかし彼は入社3年目になっても、言われたことしかやらない、言われたことも満足にできないと、戦力にならず結局は会社になじめずに辞めてしまったのである。「社長は人を見る目がない」と、社員から言われるほど自己中心で人が読めない人。そんな社長が面接して決めた社員である。さてどんな人が入ってくるのか楽しみでもある。
 
 「面接」、中小零細企業はほとんど履歴書と面接だけで人を採用する。一方大手企業も書類選考、ペーパーテストを経て、最後は責任者が面接して採用を決めている。だから面接は応募者にとって最大の関門なわけである。しかしわずか何十分の面接で人を評価できるのか?、応募する側は何をアピールすれば良いのか?、今日はそんな面接をテーマに書いてみることにした。
 
 私の息子も10数年前に就職活動で5~6社の会社にエントリーしたはずである。そんな中で、ある会社の面接の様子を聞いたことがある。その会社では最終の役員面接の前に、人事部面接というのがあったそうである(ペーパーテストなどで残った50人から人事部が20人まで絞って役員面接に送る。後は役員が10人程度を採用する)。その面接の時に人事部長が、「あなた自身を物に例えるとすると、何に例えますか?」という質問をした。息子としては想定外の質問に面食らったようだが、とっさに面接官の前にあった水の入ったコップを見て、「コップです」と応えたそうである。当然「それはなぜですか?」という質問が飛んでくる。それに対して息子がどう応えたのか聞いたが、今は思い出せない。たぶん面接官としては、想定問答で覚えてきたような答えを聞いても意味がないと思ったのであろう。この質問には模範解答があるわけでも無いし、立派な答えを期待したわけでもないのだろう。不意をつくことで受験者の鎧を外し、その人の素を見たかったのだと思う。息子の就活は他にも採用通知が来たようだが、結局息子はその会社に就職することになった。入社後その人事部長に会った時、「私の面接の基準は、《こいつと一緒に働いて見たい!》、そう思えるかどうかで決めています」、と言っていたそうである。
 
 数年前、大手菓子メーカーの営業の何人かと、工場見学に行ったことがある。見学が終わって、夕方なので直帰することになった。その折、帰りの方向が一緒だからとそのメーカーの新入社員と一緒に帰ることにした。帰りの電車の中で彼と話すうちに、私の興味は、この就職氷河期に彼が一流企業に採用されたポイントはどこにあるのだろうと考えた。しかしそれは話すうちに直ぐに分かったよううな気がした。それは会話の中でこんな話を聞いたからである。
 彼は大学2年の夏休み、家から北海道に自転車(ママチャリ)を送り、そこから1人で鹿児島まで走破したそうである。途中2台自転車を乗りつぶし、安い自転車に買い換えた。当然学生だから貧乏旅行である。夜は基本的には駐車場やお寺に野宿する。どうしてもゆっくり休みたい時やお風呂に入りたい時だけ安宿に泊まる。北海道から鹿児島までの所要日数は37日間、その間に、苦労したこと、面白かったこと、旅先で出会った人々とのふれあい、そんなことを楽しそうに私に語ってくれた。彼は就職時の面接でこの話もしたそうである。
 
 もう一つ、私の就職時の面接の話である。今から45年前、当時も就職難の時代であった。その頃は学生が勝手にエントリーするのではなく、学校に来た企業からの募集に対して、学校側が推薦する形で応募し試験に臨んでいた。従って学業優秀な生徒から順番に良い企業に紹介してくれる。私は成績があまり芳しくなかったから、なかなか順番が回ってこなかった。そしてやっと照会されたのが4年生の秋口、しかも学校の専門とは関係の無い、当時新興の流通業であった。その会社の大卒の採用予定は100人、しかも応募人数も2000人と多く、高い倍率であった。1次試験は大阪と東京と2ケ所で筆記試験、合格すれば東京で面接である。なんとか大阪でのペーパーテストをクリアーして、東京に面接を受けに行った。
 
 決められた時間に会場に入り、受付を済ませて順番を待つ、やがて名前が呼ばれ面接会場に入った。そこには面接官7~8人が長いテーブルに並び、応募者は5人づつ離れた椅子に座り面接官と向かい合う。一人の面接官が質問をすると、最初は右端から順番に受験者が応えていき、次の人の質問には今度は左端からというとふうに入れ替わる。確か私は左から2番目に座ったと思う。その時それぞれの面接官からどんな質問があり、どういう風に応えたかはほとんど覚えてはいない。しかし唯一覚えている質問と回答がある。それはある面接官が、「あなたは悩みがあるとき、どのようにな方法で解決をしますか?」という質問である。その時は右端の人から応えていった。最初の人は「親に相談して・・・・」、2番目の人は「友達に相談して・・・・・」、3番目の人は「公園など静かな場所に行って一人で悶々と考える。・・・・・」、そして私の番になった。
 
 3人が答えている間に少しの間があったのに、自分の順番が来ても、どう応えるか決まっていなかった。だから一瞬、前の人達と同じように、友達に相談するとか、父親に相談すると応えようとも思った。しかしそんな経験はほとんど記憶に無い。こんな場で嘘を言っても仕方ない、「え~い、ままよ!」と思い、「今までそんなに思い悩むこともなかったので、自分の中で特別な対処法は持っていません」と応えていた。それに対して一人の面接官が、「ほ~う、あなたは幸せな人ですね。なぜ悩まないのでしょう?」とたたみ掛けて質問してきた。しばらく考えてから、「自分のことは自分で決めたいと思っています。何かを決めなければいけない時は、その時点までの自分の知識と経験が全です。だから自分の判断はその時点では最善と思っているから、あまり思い悩むことは無いのでしょう。後は結果が良いか悪いかは運に任せるしかないと思っています」、たぶんそのような内容のことを応えたように覚えている。その答えを面接官がどう受け止めたのかはわからない。しかしほかの人とは違った答えだったのは確かである。数日後採用通知が来たのだから、結果的には良かったのであろう。
 
 年配者でそれなりの経験者が、まだ若い人達を面接するわけである。正確ではないが、ある程度の性格は読み取れるものである。だからあまり飾らず、自分を素直に出して、明るく、はきはきとし、前向きで、嘘が無く、ユニークであることが一番なのではないだろうか。最初に書いた人事部長が言ったように、「こいつと一緒に働いてみたい」そう思わせるのが一番の対策なのであろう。






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