Fさんの日々の記録と山歩き

 山歩きが生き甲斐の団塊世代オッサン、ある事無い事日々感ずるままに綴っていこうと思います。

北ア、薬師岳~立山縦走登山

2014年08月30日 | 山歩き

8月27日(水)     天気=曇り後雨

08:35折立登山口→ 10:10~21三角点ベンチ→ 11:35五光岩ベンチ→ 12:16~57太郎平小屋→ 13:16~26太郎平テント場→ 14:06薬師平→ 14:47薬師岳山荘

 

 立山駅前駐車場で車中泊の朝を迎えた。電車で有峰口駅まで行き、そこから折立登山口へ向かうバスに乗った。富山駅発の登山バスは予約制なので満席近い状況に乗せてもらえるか心配したが我々夫婦分の席を何とか確保できホッとした。

 8時半前にバスは登山口の折立に着いた。登山口にはトイレと休憩所と広い駐車場があるだけ、駐車場には10台程の車が停まっていた。バスを降りた乗客は粛々と出発して行く。我々もその列に従うように歩き始める。

 

 折立登山口

 この折立コースを登るのは30年ぶりだ。その時は我々夫婦と山仲間のS子さん、F子さんの4人パーティで4泊の幕営縦走をしたのだがあの頃の若さが懐かしく思える。

 昨日は大雨警報の富山地方は今朝も雲行きが怪しい。雨の降らぬ事を祈りつつ登る。北アルプス登山は1年ぶりの妻も中々快調な脚取りだ。ジメジメした樹林帯の道を黙々と登り、約1時間半の歩きで三角点ベンチに着いた。

 

 三角点ベンチ

 周囲は霧に覆われて何も見えない。この辺りから草原状の緩やかな道に変わる。時折薄陽も差して眼下に有峰湖が望まれた。五光岩ベンチを過ぎるとたおやかな尾根道が続き快調に進んで行く。

 

 五光岩への登り(眼下に有峰湖が見えた。)

 

 太郎平へ続く尾根道

 やがて稜線に太郎平小屋が小さく見え、お昼過ぎ広い台地に建つ太郎平小屋に着いた。売店でオデンを注文し屋外ベンチで昼食をとる。此処の展望は素晴らしく雲の平方面を眺めていると、雨雲が雨を降らせつつ東へ移動するのが見えた。

 

 太郎平小屋が見えた。

 

 太郎平小屋

 昼食を終えると薬師岳山荘目指し出発する。太郎平テント場で水を確保していたら突然の土砂降りとなった。大慌てで雨衣を装着する。登山道は水流が溢れ辛い登りになる。ケルンの建つ薬師平まで登ると緩やかな尾根道になり歩き易くなった。

 

 太郎平から薬師岳への道

 

 太郎平テント場

 

途中出会った雷鳥

 小雨降る中黙々歩いていたら、白い霧の中から建物が現れ、14時47分薬師岳山荘に到着した。山荘内の施設は新しく綺麗で従業員の人も親切だ。とても快適な環境に感激した。

 夕食も下界の宿顔負けのご馳走で、「今日はお客が少ないのでオカズを1品おまけした。」と話す小屋のご主人に皆で拍手して喜んだ。屋外は冷たい霧雨が降り続いているが、小屋の中は暖かい天国でグッスリ熟睡する事ができた。

 

 薬師岳山荘の夕食

 

 

 

 

 

 

8月28日(木)     天気=曇り

05:35薬師岳山荘→ 06:27~40薬師岳→ 07:24~40北薬師岳→ 08:53~57間山→ 09:54スゴ乗越小屋

 

 朝5時に朝食を取り5時半過ぎに山荘を出発する。辺りは昨日と同様霧に包まれているが雨が降らないだけ幸いだ。登っていると朝食前に薬師岳へ登った人たちが数名降りてきた。

 

 薬師岳山荘玄関にて(出発時)

 

 薬師岳山荘

 山荘から約50分ほどで薬師岳(2926m)に到着した。周囲は真っ白で視界数十m程、妻に山頂からの大展望を見せてやれないのが残念だ。一緒に登った単独の男性と互いに写真を撮り合い逆方向へ向かう彼とエールを交わして別れた。

 

 薬師岳山頂

 薬師岳から北薬師岳の間は岩がゴロゴロした細い岩尾根で難渋し、45分も掛かってしまった。携行する地図には30分と記されていたが相当健脚で無くては30分で歩くのは無理だと思う。北薬師岳(2900m)は、山頂標識が建つだけの簡素な山頂で期待した眺望も駄目だった。

 北薬師岳への岩尾根

 北薬師岳山頂

 北薬師岳から先もしばらくは岩がゴロゴロして歩き辛かったが、だんだん広々とした尾根道に変わり降り易くなった。天気も上向き晴れ間も覗くようになる。やっぱり登山は天気が良くなくては楽しくない。

 間山(2585m)まで降ると山頂に大きなザックを持った白人男性が居た。拙い日本語で「友人と穂高までテント縦走する予定」と彼は言った。身体もデカイが体力も凄そうだ。

 間山山頂

 間山から降るとすぐに白人女性2人とすれ違う。先程の彼の友人らしい。「ユアフレンド、オーバーヒアー」と拙い英語で教えてあげた。更に降って行くと湿地帯のヌカるんだ道に変り再び歩き辛くなった。だんだん疲れを覚えた頃、スゴ乗越小屋に着いた。

 スゴ乗越小屋への下山道(遠くの山は越中沢岳)

 時間はまだ10時前でタップリあるが、次の五色ヶ原山荘まで三つの山を越えコースタイム6時間10分の道程だ。疲れてもいるし辛い歩きになりそうなのでスッパリ諦め、少し早いが今日はこの小屋に泊る事とする。

 昨日のモダンな薬師岳山荘と大違いで、スゴ乗越小屋は古い木造で素朴な佇まいの山小屋だ。これはこれで風情があって悪くはない。午後は缶ビールを飲みつつノンビリ読書タイムで過ごす。今宵の同宿者は我々夫婦を含めて6名、同じ同好の士として和気アイアイで話も弾む。5時過ぎ到着した私と同年配の単独男性は「新穂高温泉を出発して二日目で此処まで来た。」と言う。何という健脚かと驚いた。

 スゴ乗越小屋

 夜中イビキが煩いと、妻から3~4度頭を突かれた。自分じゃあまり鼾を掻かない人間と思っていたが、老いかそれとも疲れがでてるのか。

 

 

 

 

8月29日(金)     天気=曇り

05:05スゴ乗越小屋→ 05:44~50スゴ乗越→ 06:33~45スゴノ頭(分岐)→ 07:55~08:15越中沢岳→ 08:51~58越中沢乗越→ 09:42~56鳶山→ 10:24~40五色ヶ原山荘→ 11:10~15ザラ峠→ 12:26~45獅子岳→ 13:30~37鬼岳直下→ 14:23~30富山大学観測所ピーク→ 14:54一ノ越→ 15:33室堂ターミナル

 

 昨夜は満天の星を拝めたが今日は雲の多い朝を迎えた。4時半頃起きると健脚の単独男性が出発するところだった。「室堂の温泉に入って下山する。」と言って別れた。我々も昨夜受取ったオニギリとお茶を沸かして朝食を済まし5時過ぎに出発する。

 歩きつつ東の空を見ると朝焼けが実に鮮やかだった。明日の天気予報があまり良く無さそうなので出来れば今日中に下山したいと思うが、それには6つの山を越えコースタイム10時間45分の登山道を踏破せねばならない。馬の鼻づらに人参じゃないが、今日絶対温泉に入るゾと気合を入れる。

 スゴ小屋の朝焼け

 最初はスゴノ頭への標高差240mの登り、凄い急登で両手両足を駆使して登る。こんな道では昨日行かなかったのは間違いじゃないとつくづく思った。スゴノ頭(2431m)からは昨日は見る事ができなかった薬師岳の雄大な山容が望めた。

 スゴノ頭(右)と越中沢岳(左)

 スゴノ頭から越中沢岳

 

 スゴノ頭からガクンと降って再び越中沢岳へ標高差300m余の急登、まるで修験者が修行しているような気持になる。ふと上を見ると健脚男性の赤いザックが小さく見え、越中沢岳(2591m)の山頂で彼に追いついた。「凄い健脚ですね。」と彼は言ったが我々はコースタイムと同等の時間で歩いているだけだ。流石の健脚も三日目にして疲労の度が増しているのだろうか。以後彼とは室堂まで相前後するように歩いた。

 越中沢岳山頂

 越中沢岳の展望も素晴らしく、行く手に五色ヶ原の草原が拡がり五色ヶ原山荘もクッキリ見える。背後には薬師岳が随分遠くなってきた。北アルプスの雄峰群も姿を見せ、立山の脇から先日登った剣岳が鋭いピークを出している。

 越中沢岳から薬師岳

 越中沢岳から鳶山方面

 越中沢岳を緩やかに降って行くと、幾つかのパーティとすれ違う。五色ヶ原山荘を今朝出発した人達だろう。「今日中に薬師を越えたいけど無理ですかね。」と聞かれたので、「スゴ乗越小屋から薬師岳山荘まで最低5時間以上はかかりますよ。」とアドバイスした。

 越中沢乗越まで降って今度は鳶山への登り、先程のように急では無いがやはり登りはキツイ。鳶山(2616m)からは今までの難路が嘘のように緩やかな道を降り、池塘や高山植物が拡がる五色ヶ原の大草原に入る。時期が遅くて高山植物はポツポツとしか咲いて無いが、それでも天国のような眺めに心安らぐ。

 鳶山から五色ケ原山荘

 五色ケ原の池塘

 草原のど真ん中に建つ五色ヶ原山荘で小休止する。昨日頑張れば此処まで来れたかも知れないが、辛い思いで歩いても楽しくないからやめて正解だった。さてこの先も長い。気合いを入れ直して出発する。五色ヶ原テント場へ分岐する道を右に見てザラ峠へと降る。戦国武将、佐々成政の峠越えで名高いザラ峠(2348m)は両面急峻なガレ場で、とても人が通れる地形では無い。

 ザラ峠から五色ケ原西面の岩場

 

 峠から見上げる獅子岳までの標高差は400m、見ているだけで嫌になる。それでも進まねばゴールに着かないから気を引締め黙々と登る。妻もきついだろうが健気に追随する。ジグザグを何度も繰り返し峠から1時間10分で獅子岳(2741m)に着いた。

 ザラ峠から獅子岳方面

 獅子岳への登りから五色ケ原方面

 

 この山頂も絶景が拡がる。東には去年登った針ノ木岳の鋭鋒が聳え、その下に緑色の黒部湖が横たわる。行く手には鬼岳~龍王岳の岩峰が続き、その奥に一段と高く立山主峰の雄山が聳えて見える。

 獅子岳から針ノ木岳と黒部湖

 獅子岳から鬼岳(左)と龍王岳(右)

 獅子岳から一旦降り、一箇所雪渓を横切り鬼岳へと登る。鬼岳(2750m)の肩に登り着いて一息入れる。目の前には龍王岳が一段と高く聳え、あれを登るのかと溜息がでそうだ。

 鬼岳の肩から獅子岳

 一旦降って龍王岳の左手を巻きつつ登って行く。喘ぎつつ登り龍王岳の直下を抜け、富山大観測所が建つピークに着いた。ヤッターこれで登りは終わり、後は室堂までゆっくり降るだけだ。遅れて健脚の男性も登って来て「イヤーきつい登りでしたね。」と言い、そのまま軽快な足取りで降って行った。

 富山大観測所ピーク(後方は雄山)

 一ノ越から室堂平

 我々も一ノ越山荘まで緩やかな道を降り、そこからバスが発着する室堂ターミナルまで遊歩道を降って行った。最後の降りは妻の脚も流石に重たげだったが、よく頑張り通したなあと身内ながら感心した。

 室堂への最後の降り

 団塊世代の我々夫婦にとって、高い峰々を貫く縦走登山は今後そんなに多く出来ないだろう。そういう意味で今回の登山は貴重なメモリアル登山になったのではと実感している。

コメント
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