monologue
夜明けに向けて
 



わたしがギターを初めて見たのは友達の家だった。お兄さんがギターを持っているというので家に行ってみせてもらった。お兄さんは不在だったがこれがギターかと認識した。それで父に頼んでギターを買ってもらった。それはクラシックガットギターでナイロン弦を張るギターだった。ナルシソ・イエペスの「禁じられた遊び」を練習する教則本がついていた。弾いているとなにか出る音が違う気がした。ヒット曲で聞こえるギターの音はもっと現代的でかっこよかった。それで弦をスチール弦に替えてみた。そしてテープレコーダーのマイクをサウンドホールから胴に入れてモニターして音を増幅した。今から思えばアンプ替わりにテープレコーダーを使用したのだった。それで音はある程度ヒット曲で聞こえるギターの音に近づいたけれどわたしは「禁じられた遊び」のメロデイやヒット曲のメロデイばかりを弾いていてそれから先へは進めなかった。
その頃クリフ・リチャードのエヴァー・グリーン・ツリーがヒットして友達がこの曲はギターでコードを弾いているといった。わたしはまだコードということばを知らなかったけれどテープに録ってバックで聞こえるギターを聞きかえした。音楽にはメロデイ、リズム、和音が必要で、その和音をコードというらしいのだ。それを覚えなければいけないらしい。それでわたしはギターコードの本を買って押さえ方を勉強した。それからわたしは曲のコードをバラバラに弾くアルペジオやジャンジャンとリズムをつけて弾く練習を始めたのである。メロデイを弾くのではなくコードを弾くとそれに合わせて歌うことができるようになる。色々なヒット曲を集めた本の曲のコードを指やピックで弾きながら歌う稽古した。それが弾き語りを始める原点だった。みんなギターや楽器を弾いている人は初めはわけがわからず苦労してそれぞれに試行錯誤してやっと音楽を奏でられるようになるのだろう。
fumio

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