前回、光の世界として体外離脱の肯定的な面を述べたがどんなことにも両面あって
それだけでは不十分で
あまり書いて思い出したくないのだが
その裏の面も書いておかねばなるまい。
これもいつだったかはっきりしないのだがその記憶だけはある。
あるとき、ソファに横になっているとなんだか落下感が起こった。
その感覚が光の世界体験のときに似ているような気がしてまた光の世界に入るのかと思った。
しかし、身体が浮くわけではない。どうなっているのかわからないがどんどん落ちて行くようだった。
気を取り直して前のように自分の意志で浮こうとしたがまだ落ち続ける。
そして底なのかなんなのか止まった。
そこは光が全く射さない闇の世界だった。だれもいない。ただ無。
声も出ない。ありとあらゆる辛さ痛み悲しみ、哀惜が押し寄せ寂寥感が胸をふさいだ。
闇の中でたったひとり、真の孤独。
それが永遠に続くかと思われた。とても我慢できず帰ろうと必死でもがいた。
やがてなんの拍子にか自分の身体に戻ったとき、
この体験に比べれば悪夢にうなされることがどれほど楽なことかと思った。
60年代からのアメリカの若者のドラッグ使用にも
両面あってトリップのユーフォリア(幸福感、恍惚感、陶酔感)だけでなく
バッドトリップと呼ばれる状態がある。
そのとき、かれらはどうしようもなくなって
ビルの窓から飛び出したり自傷行為や自殺に走ったりした。
体外離脱も素晴らしいだけではない。闇の世界の体験はけっしてうれしいものではない。いうならば「天国と地獄」のような差があった。本当は地獄はないということだからわたしの持っている不安かなにかが作り出した幻だったのかもしれない。
なるべくならこの世界でベストを尽くして生きたい。
fumio
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