monologue
夜明けに向けて
 



先週のアクセス聴取ランキングに『手をかざしてごらん』が出てきたので
この歌について以前に書いた文章を以下にコピーしておく。
*****************************************
 平成元年(1989)、頚椎損傷の治療後、退院してきたぼくは、
最も初期のヤマハのミュージックコンピュータを使って曲を打ち込んでいた。

『手をかざしてごらん』という歌を仕上げているとき、
六七十代位のご婦人の来訪を受けた。
ご主人が亡くなってから地域の民生委員を引き受けて、
あたりのお年寄や病気の方の家を訪問しているという。
色々話していると、今作っている歌を聴きたいというので
コンビューターをカラオケにして歌ってみせた。
歌い終わってご婦人の表情を窺うとなにやらこわい顔をしている。
ぼくは不安になって声をかけようかと迷った。
すると突然、、うおわぁぁーん、うわわわぁぁぁー、と吠えるような叫び声が
あがった。
ぼくはびっくりして対処に困った。
ひとしきり、叫びが終わって落ち着いた婦人は涙を拭きながら少し
はにかんで、
「わたしは、情の強(こわ)い女で何十年も泣いたことがない。
去年、夫が亡くなったときも泣かなんだ」と言った。

*****************************************************
わたしはこの歌手をかざしてごらんのアクセスが増えるとあのご婦人を思い出す。
あの時はなにごとが起こったのかと本当にびっくりした。
fumio


コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )