monologue
夜明けに向けて
 



「悲しき願い」にはこんな思い出がある。
わたしがアメリカで学生結婚した頃、全米ヒットパレードでサンタ・エスメラルダのラテンディスコ風悲しき願いがヒットしていた。カリフォルニアの海に面した風光明媚なガラスの教会(フランク・ロイド・ライト設計)での結婚式後の内輪のパーテイでダウンタウンのわたしのアパートに集まった友達たちが所望するので結婚した者にはあまり似合わない曲ではないかと思いながらギターで「悲しき願い」を弾き語りしてみせたのだった。友達たちに出した食事はわたしたちが作ったサンドイッチやスナック類。親は日本で遠いので呼ばなかったし留学生夫婦だからその程度で精いっぱいだった。それで「悲しき願い」を聴くとあの手作り結婚式の日を思い出して幸せな気分になる。
fumio

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