monologue
夜明けに向けて
 

icu  


渋谷の芝居の稽古場で反原発劇の練習中、頸椎を損傷したわたしは救急車で北品川第三病院のICUに搬送されて長時間に及ぶ手術が始まった。平井という若い医師がむづかしいけれどこれまでやったことのない方法を試すということだった。リスクが大きい方法をとったことをのちに他の医師が非難したが結果的にはその新手法を使用したことが良かった。
もし治っても一生寝たきりか良くても車椅子の生活ということだった。しかし、そのことを自分の将来像として現実感を伴って考えることはできなかった。手術後、麻酔が醒めて、まだ手足が動かないことを再確認した。のちに医師に聞いたところでは手術中に息を引き取らなかったのは腹式呼吸で鍛えていたからだそうだ。なるほどそんなものかと思った。
fumio

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