深田久弥さんの
日本百名山より
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八甲田という名称が、この山の性質を現わしている。
前岳、田茂范岳、赤倉岳、井戸岳、大岳、小岳、石倉岳、高田大岳の八つの峰と、
その山中の所々に湿地、つまり田が多いので、八甲田と名づけられたと伝えられる。
(中略)
山として高いとはいえないが、
これらの多くの峰々が頭状花序のように集った一つの山として見る時、
やはり名山として推すに足りよう。
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酸ヶ湯温泉から八甲田大岳への最短コース
地獄湯の沢を
仙人岱に向かって登ります。
この日の天気予報は曇りです。
雨具なしで登れることがありがたいのですが
今日も見上げる山は雲に隠れています。
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緑豊かな林の中を進むと15分で
火山性ガスの影響で
立ち枯れたダケカンバ?に囲まれた
植物の生息できないエリアがあり
心なしか足早に通り過ぎます。
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進むほどに
登山道の周囲の樹木も
赤みを帯びた葉が多くなり
右手の硫黄岳の向こうから
太陽が薄日を射すと
緑の山に散りばめられた黄色の葉が
浮かび上がります。
地獄湯の沢を見下ろせば
秋色の森に囲まれて
沢の黒い石が異様に映ります。
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一度だけ
しっかりした丸太橋を渡ります。
このあたりの石は乾いているからか
真っ黒ではありません。
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沢の向こう側
所々に陽があたり
沢の下に建物が見えました。
酸ヶ湯温泉かと思ったら
八甲田ホテルでした。
宿泊料が酸ヶ湯温泉の倍以上する
高級なホテルだそうです。
ツアーじゃあ泊まれないね
の声がありました。
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登山道が次第に傾斜を増して
アオモリトドマツの森を抜けると
酸ヶ湯温泉から2時間で
仙人岱に着きました。
湿原の中央に小さな広場があり
八甲田清水が湧き出していました。
夏にはサクラソウ科のヒナザクラが
群生しているそうです。
八甲田山は花の百名山でもあります。
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ここまでは、紅葉の季節なのに
すれ違う登山者が少なく
ストレスはありません。
標準時間は1:30ですから
ゆっくりしたペースです。
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晴れていれば見えていたかもしれない
高田大岳への道を左折し
八甲田大岳に向かい
ほんの少しの樹林帯を抜けて
森林限界を超えると
石詰めの土砂流出防止柵沿いの急登です。
花の季節には
高山の花が咲いている山肌を想像し
旧噴火口の鏡沼が見えると、
まもなく
八甲田大岳の山頂です。
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昨日の岩木山に続き
ガスで何も見えませんでした。
台風が去った後なので
もう少し晴天を期待していたのですが
残念です。
酸ヶ湯温泉から3時間
のんびりしたペースです。
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つづく