「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

BPDの診断基準について

2008年04月09日 22時27分28秒 | 「BPDを生きる七つの物語」より
 
 引き続き、「BPDを生きる七つの物語」 からの記述です。

 アメリカ精神医学界の診断基準 「DSM-Ⅳ-TR」 の、

 BPDの基準は9項目ありますが、これらは 3つに部類できるといいます。

 「不安定な関係」 「コントロール不可能な行動」 「気分のむら」 です。

 9項目の診断基準の 要約を書いてみます。

1.見捨てられることを避けようとする、なりふり構わない努力。

2.極端な理想化とこき下ろしという、不安定で激しい対人関係。

3.同一性障害。不安定手自己像。

4.自己を傷つける衝動性。 (浪費,物質乱用,性行為など)

5.繰り返される自殺の行動,そぶり、また自傷行為。

6.周囲の状況に対する、激しい気分のむら。

7.慢性的な空虚感。

8.不適切で激しい怒り。その制御困難。

9.一過性の妄想様観念、または解離症状。

 まず、「不安定な関係」 は対人関係だけでなく、

 自分との関係 = 自己同一性も含まれます。

 同一性の不安定が続くと、空虚感を持つようになります。

 自我の感覚が消えてしまうと、解離が起こります。

 このカテゴリーに分類されるのは、次の4つの診断項目です。

2.不安定な関係

3.同一性の混乱

7.空虚感

9.現実からの分離

 「コントロール不能な行動 」には、

 破壊的な行動や 自己破滅的な行動が含まれます。

4.破壊的な衝動性

5.自傷行動

 「気分のむら」 は 残りの診断基準です。

 気分の不安定さは、不適切な怒りの表現に 繋がりします。

 それは、人から見捨てられることに なってしまいます。

1.見捨てられることへの恐れ

6.不安定な気分

8.怒り
 

 ところで、9つのうち5つ以上が該当すると BPDと診断されるということは、

 5つのうち1つが 基準から外れると、突然 “治癒した” という

 パラドックスが起こり得てしまいます。

 そのため、BPDであるか ないかの白黒ではなく、

 人格の機能の程度によって、多面的に定義されるべきだ と主張する人もいます。

 例えば 男か女かではなく、男性らしさ女性らしさは、

 様々な要件によって 多面的に考えられるということです。

 BPDには非常に 多種多様な側面があるので、

 確かに柔軟な診断が 必要なのかもしれません。

〔 「BPDを生きる七つの物語」 (星和書店) より 〕
 
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