引き続き、「BPDを生きる七つの物語」 からの記述です。
アメリカ精神医学界の診断基準 「DSM-Ⅳ-TR」 の、
BPDの基準は9項目ありますが、これらは 3つに部類できるといいます。
「不安定な関係」 「コントロール不可能な行動」 「気分のむら」 です。
9項目の診断基準の 要約を書いてみます。
1.見捨てられることを避けようとする、なりふり構わない努力。
2.極端な理想化とこき下ろしという、不安定で激しい対人関係。
3.同一性障害。不安定手自己像。
4.自己を傷つける衝動性。 (浪費,物質乱用,性行為など)
5.繰り返される自殺の行動,そぶり、また自傷行為。
6.周囲の状況に対する、激しい気分のむら。
7.慢性的な空虚感。
8.不適切で激しい怒り。その制御困難。
9.一過性の妄想様観念、または解離症状。
まず、「不安定な関係」 は対人関係だけでなく、
自分との関係 = 自己同一性も含まれます。
同一性の不安定が続くと、空虚感を持つようになります。
自我の感覚が消えてしまうと、解離が起こります。
このカテゴリーに分類されるのは、次の4つの診断項目です。
2.不安定な関係
3.同一性の混乱
7.空虚感
9.現実からの分離
「コントロール不能な行動 」には、
破壊的な行動や 自己破滅的な行動が含まれます。
4.破壊的な衝動性
5.自傷行動
「気分のむら」 は 残りの診断基準です。
気分の不安定さは、不適切な怒りの表現に 繋がりします。
それは、人から見捨てられることに なってしまいます。
1.見捨てられることへの恐れ
6.不安定な気分
8.怒り
ところで、9つのうち5つ以上が該当すると BPDと診断されるということは、
5つのうち1つが 基準から外れると、突然 “治癒した” という
パラドックスが起こり得てしまいます。
そのため、BPDであるか ないかの白黒ではなく、
人格の機能の程度によって、多面的に定義されるべきだ と主張する人もいます。
例えば 男か女かではなく、男性らしさ女性らしさは、
様々な要件によって 多面的に考えられるということです。
BPDには非常に 多種多様な側面があるので、
確かに柔軟な診断が 必要なのかもしれません。
〔 「BPDを生きる七つの物語」 (星和書店) より 〕