「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

自殺的行動と自傷行為 (1)

2008年04月20日 21時19分10秒 | 「BPDを生きる七つの物語」より
 
 BPDの症状の中で、最も 理解や対応が難しいのは 自傷行為,自殺企図です。

 心子の場合も 然りでしたし、

 現在 ネットで繋がっている BPDの人たちの中にも、そういう人がいます。

 BPDは、診断基準に、「繰り返し、故意に、自らに痛みを与えるか、

 または、自殺か自殺企図のどちらか、或いは その両方が認められる。」

 という定義が含まれる、唯一の精神疾患です。

 15~29才で 自殺をした人のうち 3分の2が、BPDと診断されました。

 BPD患者の70%以上に、自殺企図や自傷行為が見られます。

 けれども 他のパーソナリティ障害では 17.5%です。

 BPDの人の自殺既遂率は 10%に上ります。

(残念ながら、心子もこの中に 入ってしまいました。)

 一般の人の 1000倍だといいます。

 BPDの人は 怒りを感じていますが、自傷行為をする人 (するとき) は、

 それを 「外」 に向けて 表現することができません。

 自傷行為は 「内」 に向けた 怒りであると言えます。

 自傷行為には 様々な理由がありますが、衝動的な行動として 始まったものが、

 繰り返すうちに 不安を和らげる 儀式になってしまいます。

 また 自殺的な行動は、必ずしも 死にたいという願望ではなく、

 苦しみを訴えたり 助けを求める 手段だったりします。

 自殺という選択肢は、苦しみを慰めてくれる カードでもあります。

 辛いときでも、「死ねば 痛みも終わる」 と考えると、

 気持ちが落ち着くといいます。

 それはBPDの人にとって ただひとつ、

 自分の人生を コントロールできることになるのです。

 自傷行為は、何年も続く 慢性的なものです。

 一方 自殺の危険性は、長年続くとしても、いずれは減少していきます。

(続く)

〔 「BPDを生きる七つの物語」 (星和書店) より 〕
 
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