( http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/53685637.html からの続き)
BPDの人は、見捨てられる恐怖と、取り込まれてしまう恐怖という、
相反する ふたつの恐怖の間で ジレンマに陥ることがあるといいます。
愛する者を失うと 自分の存在 (自己同一性) もなくなってしまうと感じ、
同時に、愛する者に支配されると 自分の感覚がなくなることを恐れます。
自己同一性を求めて 融合したいという欲求は、
相手に呑み込まれて 自律性を失うのではないか という恐怖と、
隣り合わせにあります。
この葛藤の結果、フラストレーションに満ちた 恋愛関係になってしまいます。
見捨てられることを恐れて なりふり構わない努力をするほど、
パートナーを困憊させ、その結果の別れに 傷つきやすくなります。
そのため 見捨てられそうになると、本能的に次の関係に 手を伸ばすのです。
心子の場合を考えると、僕は彼女を 支配しようとすることはなかったので、
心子が呑み込まれるのを恐れた ということは思い当たりません。
心子は、愛し合うことを 「ひとつになる」 と表現し、
それは 彼女の究極の一体感を 表していました。
しかし 身も心も一体になることを 求める余り、ご多分に洩れず 要求が高くなり、
僕も負担が 重くなってしまうのは、お定まりのことでした。
BPDの人の 見捨てられ不安に 対処するには、
まず彼らの感情を 認めることです。
見捨ててはいないということを、理屈で説明しようとしても うまくいきません。
一方で、無制限の寛容さは 控えなければなりません。
BPDの人の必要性と、それに応えられる こちらの限界の折り合いをつけ、
限度を超えたら 一時的に距離や時間を 置くように決めておきます。
無理をすれば パートナーも破綻してしまい、
結局 BPDの人のためにもなりません。
でも しばらくして落ち着いたら、また二人で やっていくことができます。
「限界設定」 は ずっと一緒にいるための 知恵です。
BPDの人に対して 最も大切なことは、「一貫性」です。
正しい対応かどうかよりも、常に一貫している ということのほうが重要なのです。
わずかなことで変転する BPDの人に対して、
何があっても変わらないものがある ということを伝えることになります。
〔参考文献:「BPDを生きる7つの物語」(星和書店)〕